カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)の特徴、当たり年やおすすめワインまとめ

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.05.24 公開 | 2019.05.24 更新

地中海地方(カタルーニャ、バレンシア地方)では、スパークリングワイン「Cava(カバ)」を筆頭に、バラエティ豊かなワインが造られています。

北部はフランス国境に接しており、国内の固有品種に限らず、フランスやドイツからの外来品種のブドウ栽培も盛んな地域です。

南東部は地中海に面しているため、海の影響を受けやすくなっています。

内陸に行くにつれて大陸性気候に変わっていき、ピレネー山脈の斜面、リェイダ高原の平原といった、テロワールが異なる様々な地域でブドウ栽培が行われています。

今回はスペインのカタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)について、詳しくご紹介します。

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)のワインについて

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)を代表するワインは、スパークリングワインの「Cava(カバ)」です。

「Cava」とはカタルーニャ語で「洞窟」を意味します。Cavaを名乗るには、熟成期間や製法などのスペインワイン独自の規定をクリアしなければなりません。

Cavaはスペイン全土で生産されていますが、カタルーニャ州のペネデスが全体の生産量のおよそ95%を占めています。

そのうち85%は、サン・サドゥルニ・ダ・ノイヤに本拠地を構えるコドーニュ社で造られています。

2016年6月10日には、スペインワイン独自の熟成規定である「カバ・レゼルバ」「カバ・グラン・レゼルバ」の上級カテゴリーとして、「カバ・デ・パラヘ・カリフィカード」という品質分類が新たに生まれました。

この表示をするには、「ブドウ樹齢が最低10年」「瓶内熟成が最低36ヵ月以上」「ブドウ畑から販売までの流通の追跡ができること」等といった、厳しい条件が課されます。

スペイン全土に点在するD.O.Cavaの中でも、独自の畑で時間をかけて丁寧に造られたCavaに、より高い付加価値を付けるために考案されました。

生産されているブドウ品種

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)は、白ブドウの生産が盛んな地域です。

カタルーニャ州では、Cavaの伝統的な主要品種として、マカベオ(ビウラ)、チャレッロ、パレリャーダといった、白ブドウが多く生産されています。

マカベオはフルーティー、チャレッロはフレッシュ、パレリャーダはフローラルと、それぞれ異なる特徴を持っており、Cavaの個性を生み出すのに最適なブドウ品種です。

バレンシア州では、ボバル、モナストレル、グラシアーノといった、スペイン固有品種の生産が目立っています。

カタルーニャ州とバレンシア州で共通する点は、「固有品種」と「フランス由来の外来品種」の生産がともに豊富なことです。

昔ながらの伝統的な品種にこだわったり、固有品種と外来品種をブレンドしたりと、地域によって様々なワインの製造方法が確立されています。

【 カタルーニャ州】
● マカベオ(ビウラ)
● チャレッロ
● パレリャーダ
● ウル・デ・リェブレ(テンプラニーリョ)
● ガルナッチャ・ティンタ
● サンソ

【バレンシア州】
● メルセゲラ
● モスカテル・デ・アレハンドリア
● タルダナ
● グメルセゲラ
● モナストレル(ムールヴェドル)
● ボバル

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)のテロワールについて

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)は、その名の通り「地中海を中心に拡がる地域」です。海岸沿いの地域は地中海性気候で、よく雨の降る気温の高い地域となっています。

年間を通して日差しが強く、夏は乾燥して暑くなり、冬は温暖な気候になるのが特徴です。

海外沿いの地域にはブドウ畑に影響を与えるような川がなく、海風による程よい湿度と内陸部の山脈が寒風を遮ってくれることで、ブドウの生育に適した環境が整えられています。

海岸から離れて内陸に進んでいくと、ピレネー山脈やモンサン山脈に囲まれた、大陸性気候の地域になります。

ここでは、標高が高いほど石灰の含有量が多く、下るにつれて粘土質、砂利質の土壌となっていきます。

内陸部は日差しが強い上に雨が少なく、夏は35℃を超える酷暑となり、冬は0℃以下の極寒になるといった極端な気候に変わります。

上記のような理由から、カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)は様々なテロワールが内在する地域となっており、バラエティ豊かなワインが造られる理由のひとつとなっています。

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)のワインの分類について

EU規定に基づくスペインワインの分類(原産地呼称、熟成の特徴によるスティルワインの分類など)に加えて、地中海地方ではCavaに対して、独自の規定を設けています。

熟成度によるCavaの分類

スペインの特定地域で造られたスパークリングワインで、「Cava」の表示をするには最低9ヵ月間の瓶内熟成をしなければなりません。

一般的に熟成度が短いほど、緑がかった光沢のある黄色になり、フレッシュで軽く飲みやすいCavaが出来上がります。一方、熟成度が長くなるほど、淡い黄色になり、熟した果実の風味が感じられるバランスの良いCavaに仕上がります。

2018年9月現在、熟成度によるCavaの分類は以下の4種類です。

● カバ
最低熟成期間:9ヵ月

● カバ・レゼルバ
最低熟成期間:15ヵ月
ブリュット・ナトゥーレ、エクストラ・ブリュット、ブリュットのいずれか

● カバ・グラン・レゼルバ
最低熟成期間:30ヵ月
ブリュット・ナトゥーレ、エクストラ・ブリュット、ブリュットのいずれか
収穫年表示義務、ボトル替え不可

● カバ・デ・パラヘ・カリフィカード ※2016年より誕生
最低熟成期間:36ヵ月
ブドウ樹齢最低10年、手摘みで収穫、自社内醸造、原種ワインの段階で厳選されたものであること、ブドウ収穫から販売までの流通追跡が可能であること、etc…

残糖量によるCavaの分類

リキュール液によって加わる糖分の量に応じた分類もあります。

ワイン1lあたりの残糖量で分類され、残糖量が少ないワインほど高級ワインとして扱われます。ブリュット・ナトゥーレ、エクストラ・ブリュットは高級Cavaの代名詞です。

● ブリュット・ナトゥーレ:0-3g、糖分添加なし
● エクストラ・ブリュット:6g以下
● ブリュット:12g以下
● エクストラ・セコ:12-17g
● セコ:17-32g
● セミ・セコ:32-50g
● ドゥルセ:50g以上

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)内の主な産地

カタルーニャ州のブドウ栽培面積は7万ヘクタールを超え、海と山に囲まれた地域に、魅力的な産地が集まっています。

カタルーニャ州の主な原産地呼称の産地は、以下の通りです。

● D.O.Ca.プリオラート:2009年に特選原産地呼称認定に昇格した歴史ある銘醸地
● D.O.コンカ・デ・バルベラ:赤ワインと上等なスパークリングワイン
● D.O.モンサン:ガルナッチャなどの固有品種と外来種のブレンドワイン
● D.O.タラゴナ:プリオラートやモンサンに囲まれたポテンシャルの高い地域
● D.O.テラ・アルタ:ガルナッチャ種を使った上質なワイン造り
● D.O.ペネデス:白をベースとした世界的に有名なCavaの生産地
● D.O.アレーリャ:白ワイン「パンサ・ブランカ」で有名
● D.O.エンポルダ:ガルナッチャ・ロハ種を使ったワイン造り
● D.O.コステルス・デル・セグレ:スペインで初めてニューワールドの製造法を導入
● D.O.プラ・デ・バジェス:1995年にD.O.認定、個性的でフレッシュなワイン
● D.O.カタルーニャ:カタルーニャ全域を網羅するD.O.
● D.O.カバ:スペインを代表する上質なスパークリングワインの生産地

バレンシア州のブドウ栽培面積は8万ヘクタールを超え、3つのD.O.、2つのV.P.、そしてV.T.がひとつあります。特に、D.O.アリカンテで造られる「フォンディヨン」が有名です。

バレンシア州の主な原産地呼称の産地は、以下の通りです。

● D.O.アリカンテ:「モナストレル種を使った麦わら色のワイン」と「モスカテル種を使った甘口ワイン」が有名
● D.O.ウティエル・レケーナ:長期熟成に適したボバル種で造られるワイン
● D.O.バレンシア:1万2000ヘクタールを超えるブドウ畑が4つのサブゾーンに点在
● V.P.エル・テレラソ:ボバル種を使った独特の個性あるワインを生み出す
● V.T.カステリョン:伝統的なビノ・ドゥルセが有名

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)のワインの生産量

2017年度におけるスペインのスパークリングワインの輸入は、9,124lとなっており2016年度よりやや減少しています。

また、2016年8月〜2017年7月における、スペイン原産地呼称保護ワインの対日輸出は162,169hlでした。

そのうち全体の40%強にあたる69,965hlをD.O.Cavaが占めており、スペイン原産地呼称保護ワインの中でトップとなっています。さらに、D.O.Valenciaが22,758hlで続きます。

以上のことから、地中海地方(カタルーニャ、バレンシア地方)のワインが、日本の輸入ワインに大きな影響力を持っていることがわかります。

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)の歴史

スペインの他の地方同様に、地中海地方も19世紀後半のフィロキセラ害虫の影響で、ほとんどのブドウ畑が消滅してしまいました。

ブドウ栽培が再開されるようになったのは20世紀に入ってからのことで、本格的に再開されたのは1960年代頃だといわれています。

近年では、カタルーニャ全域をカバーする「D.O.カタルーニャ」と、スペインの多くの地方にまたがる「D.O.カバ」が新しい原産地呼称認定地として加わりました。

さらに2009年に、カタルーニャ州のD.O.プリオラートがD.O.Ca.に昇格され、国内でリオハに継ぐ2番目のD.O.Caとなり話題を呼んでいます。

バレンシア州では、固有品種「ボバル」と「モナストレル」、そして「グラシアーノ」の新たな個性を引き出す醸造方法が発見され、品質向上が著しい地域となっています。

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)で特に有名なワイン

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)で、評価の高いワインをご紹介します。

コドーニュ クラシコ(クラッシコ) ブリュット 750ml

カタルーニャ州ペネデスで1551年に創業したコドーニュ社のCavaです。Cavaの歴史は、1872年にコドーニュ社がフランスのシャンパンの製法を基に生み出したことから始まりました。

国内でも広く流通している有名な辛口スパークリングワインのひとつです。

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アルテラティーノ・カバ・ブリュット 750ml

高級シャンパンに匹敵する辛口Cavaとして名高いアルテラティーノ。

有名なワイン雑誌「WINE & SPIRITS」では、3年連続で「VALUE BRAND OF THE YEAR」の称号を獲得したコストパフォーマンスの高い1本です。

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マルケス・デ・アリカンテ ティント 750ml

バレンシア州にあるボデガス・ボコパ社が生産するD.O.アリカンテのワイン。ワイン全生産量はD.O.アリカンテの65%以上を占めています。

柔らかいタンニンと、バランスの良いボリューム感が特徴的な赤ワインです。

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まとめ

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)は、白ワインを基調としたバラエティ豊かなワイン造りで有名です。

特にカタルーニャ州ペネデスでは、スペイン全土のおよそ95%にも及ぶCavaが造られており、ユニークなブドウ品種で個性的なワインを生み出しています。

カタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)のワインを初めて飲むなら、スペインのスパークリングワイン「Cava」をぜひ飲んでみてください。

この記事をきっかけに、スペインのカタルーニャ、バレンシア地方(地中海地方)に興味を持っていただけたら幸いです。