ワイタキヴァレー地方のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ
2018.07.09 公開 | 2018.07.09 更新

オタゴとカンタベリーの境に位置するワイタキ・ヴァレーは、ニュージーランドでもっとも新しいワイン産地です。
人口22,000人の牧歌的な土地にワイン産業ができたのは2000年にはいってからでした。
突如として現れたワイタキのワインは、世界から愛され、もっとも注目を集めるものになっています。
目次
ワイタキワインについて
2006年、ジャンシス・ロビンソン女史は、ワイタキ・ブレイズのピノ・ノワール2004を、世界のトップ9のワインとして評価しました。
2018年の収穫が終わり、ブドウ全体としてかなり質の高いものになっていると言われています。
収穫の1月ほど前に発生したサイクロンの影響で、いくつかのブドウに病害が見られましたが、それまでの成育の調子がよかったので、しっかりと成熟し、酸とpHのバランスがとても良い状態になりました。
生産されているブドウ品種
この地域でもっとも多く栽培されているブドウ品種は、ピノ・ノワールです。この地域のピノ・ノワールは、セントラル・オタゴのものより、エレガントで繊細な印象があります。
それ以外の多くは白ブドウで、リースリングやピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、シャルドネといった品種が植えられています。
とりわけ、リースリングとピノ・グリは、世界から注目され始めています。
- ピノ・ノワール
- リースリング
- ピノ・グリ
- ゲヴェルツトラミネール
- シャルドネ
- アルネイス
ワイタキ地方のテロワールについて
ノース・オタゴとも呼ばれているワイタキは、海洋性気候でもっとも冷涼な地域です。
この地は、2001年からブドウ栽培が始まりましたが、世界から注目を集めています。
その理由の1つが、ユニークな土壌。
ニュージーランドには、カンタベリーの一部とワイタキにしかない石灰岩質の土壌は、ブルゴーニュ地方のキャラクターを表すのに重要な要素となっています。
ワイタキは、石灰岩質を中心に、黄土や沖積土が堆積していますが、この地域は一昔前まで、海の下に存在していました。そのため、昔の海からの化石や遺物が多く土壌に含まれています。
国内でもっとも長い栽培期間が必要となり、冷涼すぎるため、リスクも大きいです。
いくつかのヴィンテージでは、寒すぎるためにブドウがつかないこともありました。
ワイタキワインの生産量
ワイタキ・ヴァレーには、41haの栽培面積があり、14のワイナリーがあります。
2016年には、約56トンのブドウが収穫され、4万リットルほどのワインが生産されています。
この地域のワインは、ほぼ国内で消費されており、ごく少数のみ輸出されています。
ワイタキワインの歴史
2000年の終わり頃、ある不動産業者が告げました。
ワイタキ・ヴァレーは、ニュージーランドでもっとも大きなブドウ栽培地の1つとして、急激に成長するだろう、と。
その2年ほど後、ブドウ栽培に適した土地を探していたオスラー(Ostler)のジム・ジェラム(Jim Jerram)とジェフ・シノット(Jeff Sinnott)は、オアマル(Oamaru)の内陸部にピノ・ノワールを植えました。これが、この地のブドウ栽培の始まりです。
その2年後には、ペスキュアレ・クロウとブラック・スティルトが、05年にはキュー・ワインが、06年にはローン・ヒルとボビング・クリークがそれぞれブドウを植え、毎年のようにワイナリーが増えつつあります。
リリースと同時に、ワイタキ・ブレイズのピノ・ノワールは世界トップのワイン評論家であるジャンシス・ロビンソンに高く評価され、ワイタキの名はまたたく間に世界へと広まりました。
ワイタキ地方で特に有名なワイン
ワイタキで、特に人気のあるワイナリーやクオリティの高いワインを生産している生産者のワインを紹介します。
Valli Vineyards Waitaki Pinot Noir 2012
セントラル・オタゴのピノ・ノワールの先駆者であるテイラー・グラントが設立した自らのワイナリー。ワイタキ・ヴァレーで栽培されたピノ・ノワールで生産したワインです。
Waitaki Braids Pinot Noir 2008
ジャンシス・ロビンソンが世界のトップ9ワインとして評価したワイタキ・ブレイズのピノ・ノワール。
Ostler Lakeside Pinot Gris 2017
ワイタキのパイオニアであるオスラーが手がけるアルザススタイルのピノ・グリ。
まとめ
世界的に見ても、まだ新しいワイン産地であるワイタキ・ヴァレーは、2年前まではセントラル・オタゴの一部として評価されてきました。
しかし、同時にジャンシス・ロビンソン女史の評価や世界のワイン評論家、愛好家からの評価があまりにも高いため、独立したワイン産地として考えられるようになっています。
現在は、まだ小さな地域ですが、今後マールボロのようにニュージーランドを代表する産地になることは間違いないでしょう。