ネルソン地方のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.22 公開 | 2018.07.02 更新

アーティストが集まる町、ネルソン(Nelson)。ここは、まるで絵画のような風景が広がるワイン産地です。

ニュージーランドらしい風光明媚で、人口5万人ほどの土地に3つの国立公園があります。

ネルソンには、36軒のワイナリーがあり、ブティックワイナリーと呼ばれる、家族経営で少量生産をしているところがほとんどです。

ネルソンでは、ビールのホップ栽培も行なわれており、クラフトビール文化があります。

ネルソンワインについて

ネルソンでは、ドイツ系やオーストリア系の移住者が多いため、ドイツ系品種のブドウも栽培されています。

環境に配慮したオーガニック栽培やサステイナブル栽培を行っている生産者が多く、羊とブドウ栽培を行っています。

また、ニュージーランド国内で、ネルソンはプレミアムワインの産地として有名で、生産量が少ない分、希少価値が高くなっています。

生産されているブドウ品種

この地域のソーヴィニヨン・ブランは、お隣のマールボロ(Marlborough)のものに比べて、よりエレガントな印象になります。グラッシーと呼ばれる青みよりも、完熟したトロピカルフルーツのアロマが突出しており、またリッチさがあるのが特徴です。

また、ネルソンで成功しているピノ・グリやリースリング、ゲヴェルツトラミネールといったアロマティック品種は、際立った酸と立ち上るブドウ由来のアロマが特徴的です。

シャルドネは、複雑さと深みがある味わいで、ネルソンのプレミアムワインとしての存在を担っています。ピュアで強い果実味があり、長いアフターを楽しむことができます。

ピノ・ノワールは、深みのあるタンニンと香り豊かなワインになるのが特徴で、サブリージョンによって、味わいの軽やかさが変わるのも面白いところです。

  • ソーヴィニヨン・ブラン
  • ピノ・グリ
  • リースリング
  • ゲヴェルツトラミネール
  • シャルドネ
  • ピノ・ノワール

ネルソン地方のテロワールについて

「サニーネルソン」と呼ばれるほど晴れが多く、日照時間も長いこの地域は、周囲を3つの山で囲まれています。これにより、強烈な海風からブドウ畑が守られ、他の産地よりもマイルドな気候になっています。

また、秋がドライで長いことで、収穫する時期を遅くでき、成長期が長くなり、しっかりとした酸をたくわえたブドウが収穫できています。

この地域の土壌は、粘土質をベースに砂利質のシルトローム層で、古代の川底からの砂利質沖積土が含まれています。

これにより、水はけの良さを保ちながら、夏は日光の温かさを維持し、冬は水分を保てるので、栽培家は収量やキャノピーマネジメントに労力を使うことが出来ます。

それにより、ネルソンではよりエレガントで印象的な味わいのワインが造られています。

ネルソン地方内の主な産地

ネルソンは2つのサブリージョンに分けることができます。

リッチモンド(Richmond)の町の近くに位置しているワイメア・プレーンズ(Waimea Plains)は、川の水流によって堆積した砂利や泥炭が中心で、石ころの多い土壌になっています。

そのため、ムーテリー・ヒルズ(Moutere Hills)のワインよりも軽やかでチャーミングな味わいのワインが生産されています。
リースリングやゲヴェルツトラミネールのようなアロマティック品種に適したブドウ産地です。

ムーテリー・ヒルズは、ワイメアに比べて、若干暖かく湿潤な気候になっています。

また、砂利が入り交じった粘土質の土壌により、リッチで複雑味のあるワインが生産されています。
しっかりとしたタンニンを持つピノ・ノワールが生産される地域になっています。

  • Moutere Hills(ムーテリー・ヒルズ):リッチで複雑味のあるワインの産地。
  • Waimea Plains(ワイメア・プレーンズ):軽やかでチャーミングなワインの産地。

ネルソンワインの生産量

ネルソン地域には、全体の約3.1%、1,155haの栽培面積で、36軒のワイナリーがあります。2016年には、10,028トンのブドウを収穫しましたが、これは国内全体の収穫量の約2.3%です。

ネルソン地域は、前年比で+48%の成長をしています。

ブドウ品種別にみると、50%の割合でソーヴィニヨン・ブラン、19.4%ピノ・ノワール、12.6%ピノ・グリ、8%シャルドネ、4%リースリング、2%ゲヴェルツトラミネールとなっています。

ネルソン産のワインの56%は輸出されており、全輸出量の約2%です。輸出額は3139万ドル。

国内消費量は、44%です。

ネルソンワインのヴィンテージチャート

ヴィンテージチャート (赤ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★☆ 2010 ★★☆
2001 ★★☆ 2011 ★☆
2002 ★★☆ 2012 ★★
2003 ★★☆ 2013 ★★
2004 ★☆ 2014 ★★☆
2005 ★★☆ 2015 ★★
2006 ★★ 2016 ★★
2007 ★★ 2017 ★☆
2008 ★☆ 2018 NT
2009 ★★☆

ヴィンテージチャート (白ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★★ 2010 ★★☆
2001 ★★☆ 2011 ★☆
2002 ★★☆ 2012 ★★
2003 ★★☆ 2013 ★★
2004 ★★ 2014 ★★
2005 ★★☆ 2015 ★★☆
2006 ★★ 2016 ★★
2007 ★★ 2017 ★★☆
2008 ★★ 2018 NT
2009 ★★

cf. Michael Cooper, Buyer’s Guide to New Zealand wines 2012, 2013, 2016, 2017, Auckland New Zealand: Upstart Press Ltd, 2011, 2012, 2015, 2016

ネルソンワインの歴史

この地域に、ブドウが伝わったのは1841年ごろのことでした。ドイツからの移住者がアッパー・ムーテリー(Upper Moutere)に住みつき、自分たちのコミュニティー用に栽培し始めました。

本格的に商業用ワイン造りが始まったのは、1967年にデンマークからの移住者の子であるヴィゴ・ドゥ・フレネ(Viggo du Fresne)がルビー・ベイ(Ruby Bay)でセイベルとイタリア系品種を使ってワインを造ったことからでした。

1974年には、ヘルマン・サイフリード(Hermann Seifried)、アニエス(Agnes)夫妻がアッパー・ムーテリーにブドウ栽培を始め、1978年にノイドルフ(Neudorf)が同じくアッパー・ムーテリーで栽培を始めました。

1983年に、サイフリード・エステート・ワイナリー(Seifried Estate Winery)がイギリスに輸出を開始し、87年にはドイツにも輸出を始めました。

ネルソン地方で特に有名なワイン

ネルソンは、環境に配慮したワイン造りを行っている生産者が多い地域で、小規模生産者が、品質の良いワインを造っています。

サイフリードやノイドルフといった、この地域をブドウ産地へと押し上げた貢献者や、日本人でパーマカルチャーを実践しているグリーン・ソングス(Green songs)といったワイナリーが有名です。

Seifried Estate Old coach road Sauvignon Blanc 2016

ネルソンのワイン作りが始まったのは、サイフリードがきっかけでした。砂利質土壌に植えられたソーヴィニヨン・ブランです。

品種特有のハーブや青草の香りとトロピカルフルーツの香りが広がり、ライムをかじったようなフレッシュな酸味が口の中に広がります。

白身の刺し身やお寿司に、また普段しぼるレモンやかぼすの代わりに、一緒に食事と楽しむことができます。

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NeudorfMoutere Pinot Noir 2015

ネルソンの産地を表現したワインを造っているノイドルフのピノ・ノワールは、収穫後、除梗して自然酵母で発酵しました。

1日に2度ピジャージュという作業をし、新樽比率の25%のフレンチオークで12ヶ月熟成、ステンレスタンクで4ヶ月落ち着かせたのち、瓶詰め。

ダークプラムの印象を感じられ、ラベンダーのような華やかさがあります。スパイスの風味が広がり、樽のニュアンスが出てきます。スムースな酸とタンニンが心地良いです。

カモ肉やラムの肉とマッシュルームのソテーとともに楽しめる1本です。

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Green songs Pino Gris 2017

ネルソンの北部、モツエカ(Motueka)でパーマカルチャーエコヴィレッジ、アタマイ・エコ・ヴィレッジ(Atamai Eco Village)をしている小山浩平さん。

彼が造り出すピノ・グリは、ステンレスタンクで発酵しています。

バラの花の香りと、酵母由来の吟醸香が感じられ、軽やかに楽しめる一本です。

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まとめ

写真を撮りたくなるような風景が広がるネルソンには、自分たちらしいワイン造りをしている小規模ワイナリーがあります。

生産本数は多くないですが、自分とその周りにいる人を笑顔にできるようなワインがたくさんあります。

ニュージーランド国内の人たちが、この土地のワインをプレミアムワインと称し、求めているのは彼らのその哲学がワインに表れているからかもしれません。