ホークス・ベイ地方のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.15 公開 | 2018.07.09 更新

ニュージーランド第2の産地で、歴史のある地域のホークス・ベイ(Hawke’s Bay)。ヘイスティングズ(Hastings)とネイピア(Napier)の町の周辺50km×30kmの地域にヴィンヤードが集中しています。

白ワイン大国であるニュージーランドでは不可能だと思われていた、ボルドーブレンドやシラーといった赤ワインの銘醸地です。

ホークス・ベイワインについて

この地域では、川が多く流れており、昔から川の氾濫や洪水に悩まされてきました。

しかし、そのおかげで現在バリエーション豊富なブドウが育ちやすい土壌になり、フランスのブルゴーニュ地方とボルドー地方の中間的な気候により、ボルドーよりも親しみやすいワインが造られています。

ホークス・ベイのヴィンヤードの約96%は「Sustainable Winegrowing New Zealand」という環境に配慮したぶどう作りをしています。

生産されているブドウ品種

ホークス・ベイにおいて、最も成功しているブドウ品種は、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランといったボルドー系品種です。

北ボルドーに似た気候により、パワフルでエレガント、そして熟成向きのワインを生産しています。メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーをブレンドした「ホークス・ベイ・ブレンド」は、ニュージーランド全体に対し、88%の割合で生産しています。

また、ギムレット・グラベルズ(Gimblett Gravels)で栽培され、造られたシラーからの赤ワインは、世界的にも評価を受けています。

ホークス・ベイのシャルドネは、シトラスや熟れた桃のような香りを持ち、リッチで複雑なワインになっています。オーク樽を使わずに、「ナチュラルな」シャルドネが、世界でも市民権を得始めています。

この他にも、フレッシュでニュージーランドらしいソーヴィニヨン・ブランやアロマティック品種のピノ・グリ、ピノ・ノワールといった品種の栽培も行なわれています。

  •  メルロー
  •  カベルネ・ソーヴィニヨン
  •  マルベック
  •  カベルネ・フラン
  •  シラー
  •  ピノ・ノワール
  •  シャルドネ
  •  ソーヴィニヨン・ブラン
  •  ピノ・グリ

ホークス・ベイ地方のテロワールについて

数千年以上にわたって、ホークス・ベイでは4つの大きな川が移動し、谷間や台地を形成してきました。

これにより、粘土質土壌から石灰岩質土壌、砂礫質土壌にレッドメタル土壌といった25種の異なった土壌のタイプを生み出しました。

ブドウの栽培地は、北向きの暖かい気候の丘陵の斜面や、海沿い、川沿いの谷間や台地といったところに分布し、標高も海沿いの海抜ゼロメートル地帯から数百メートルの高さまで幅広くあります。

これらの気候と土壌の多様性が、他のニュージーランドとは異なるブドウ産地にし、ニュージーランドで最も暖かい気候にしています。

また、暖かく乾燥した北西向きの潮風や少ない降雨量、年平均2220時間もの日照時間により、ブドウの栽培期間が長くなり、完熟したブドウを収穫することができています。

ホークス・ベイ地方内の主な産地

ホークス・ベイ地方では、5つの栽培地域に分けることが出来ます。

エスク・リバー・ヴァレー(Esk River Valley)の北部からテ・アワンガ(Te Awanga)のあたりまで広がるコースタル・エリア(Coastal Areas)。ホークス・ベイの大半が海洋性気候の恩恵を受けていますが、海沿いに面しているこの地域では、気候の影響をさらに受けています。

北部のエスク・リバー・ヴァレーでは、1937年に起こった洪水の影響もあり、砂まじりの土壌で、南部に向かうほど火山灰由来の乾燥した砂岩質や粘土質の土壌です。
品質のより良いシャルドネや早期熟成の赤ワインが多く造られる地域です。

ハブロック・ノース(Havelock North)という小さな町を中心に広がるのがヒルサイド(Hillsides)。太陽光と夜の冷たい空気に恵まれたこの地域では、粘土質や砂質を多く含む石灰岩や硬砂岩の沖積土壌です。

ボルドー系品種に適した土壌です。

この地域の先駆者たちがワインづくりを始めたのが、アルービアル・プレインズ(Alluvial Plains)でした。ナルロロ(Ngaruroro River)が幾度も流れる場所を変え、そのために水はけのよく、レッドメタルや石灰岩質など様々な種類の土壌がこの地を構成するようになりました。

また、品質の高いボルドーブレンドやシラーを産出する地域として世界の注目を集めているギムレット・グラベルズがあるのもこの地域です。

4つの川によって形成されたリバー・ヴァレー(River Valleys)は、内陸部に位置し、何度も川の氾濫や流れが変わったことで、ホークス・ベイのどこよりも土壌が多様です。

これにより、質の高いピノ・ノワールを生産することが出来ます。
また、ボルドー系品種やシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランも多く栽培されており、ブドウ品種も多種多様な地域です。

さらに内陸部に位置し、標高300mほどまでブドウが栽培されているのが、セントラル・ホークス・ベイ(Central Hawke’s Bay)です。

他の地域に比べて、標高も高く冷涼な地域であるため、品質の良いソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワール、ピノ・グリが多く造られています。

  •  コースタル・エリア(Coastal Areas)
  •  ヒルサイド(Hillsides)
  •  アルービアル・プレインズ(Alluvial Plains)
  •  リバーバレー(River Valleys)
  •  セントラル・ホークス・ベイ(Central Hawke’s Bay)

ホークス・ベイワインの生産量

76軒のワイナリーと71軒のブドウ栽培家がいるホークス・ベイ地域では、ニュージーランド全土の約12.6%、4,694haの栽培面積があり、42,958トンのブドウが生産されています。

前年比で19%増えています。

約3090万リットルものブドウ果汁が2016年には作られました。

ブドウ品種別に見ていくと、約28%がソーヴィニヨン・ブランで、約25%がメルロー・カベルネ・ソーヴィニヨン、21%の割合でシャルドネ、その後12%、7%、4%と続き、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、シラーとなっています。

ニュージーランド全体の輸出額の約6.9%のワインがこの地域産のもので、1億310万ドル。約60%のワインがニュージーランド国内で消費されています。

輸出量第1位は、イギリスで29.0%。第2位は隣国のオーストラリアで27.2%、第3位は近年輸出量が大幅に増えたアメリカで26.4%です。とりわけ、アメリカではイタリア、フランスに次ぐ第3位の輸入量を誇ります。

ホークス・ベイワインのヴィンテージチャート

ホークス・ベイワインのヴィンテージチャート

ヴィンテージチャート (赤ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★★ 2010 ★★☆
2001 2011 ★☆
2002 ★★☆ 2012
2003 ★☆ 2013 ★★★
2004 ★★ 2014 ★★
2005 ★★ 2015 ★★
2006 ★☆ 2016 ★★
2007 ★★☆ 2017 ★☆
2008 ★☆ 2018 NT
2009 ★★☆

ヴィンテージチャート (白ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★☆ 2010 ★★☆
2001 2011
2002 ★★☆ 2012 ★☆
2003 ★☆ 2013 ★★☆
2004 ★★ 2014 ★★☆
2005 ★☆ 2015 ★★
2006 ★★ 2016 ★☆
2007 ★★☆ 2017 ★☆
2008 ★☆ 2018 NT
2009 ★☆

cf. Michael Cooper, Buyer’s Guide to New Zealand wines 2012, 2013, 2016, 2017, Auckland New Zealand: Upstart Press Ltd, 2011, 2012, 2015, 2016

ホークス・ベイワインの歴史

ホークス・ベイのワインの始まりは、フランス人宣教師によるものでした。

1851年、宣教活動のために、ホークス・ベイに滞在していた宣教師たちは、聖祭や晩餐会用のワインを造るため、ネイピアとヘイスティングスの間、ナルロロ・リバーの近くにぶどうの樹を植えました。

当時は、アルコールを添加して造られるフォーティファイド・ワインがメインでした。

その後、いくつかの農家や栽培家がフランスワインに目覚め、1900年には、クラシックな造りの赤ワインを造る生産者が現れ始めました。

栽培当初、海岸沿いのエリアやネイピア、ヘイスティングスの町の近くで栽培されることが多かったですが、徐々にヘレタウンガ・プレインズやアルービアル・プレインズといった内陸部に進出していきました。

ホークス・ベイ地方で特に有名なワイン

ニュージーランドで最も長い歴史を持つホークス・ベイは、オーガニックや自然派ワインのつくり手が多いのも1つの魅力です。

畑の特徴が際立ったワイン造りをしており、シラーやテンプラニーリョといった品種で成功を収めているトリニティ・ヒル(Trinity Hill)。

日本人として、ホークス・ベイの地で減農薬栽培を行っている大沢ワインズ。

単一畑にこだわり、量ではなく質を求め、キャノピーマネジメントや畑の土に手をしっかりと加えているクラギー・レンジ(Craggy Range)。

ホークス・ベイのそれぞれの地域で最良のブドウをつくっているワイナリーです。

Trinity Hill Gimblett Gravels Syrah 2012

ホークス・ベイの中でも、ポテンシャルが高い地区ギムレット・グラベルズの先駆者であるトリニティ・ヒルのシラー。

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Osawa Wines Flying Sheep Sauvignon Blanc 2015

2005年から羊の放牧場であった土地を開墾し、減農薬栽培を行っている大沢ワインズのソーヴィニヨン・ブランです。

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Craggy Range Winery Te Kahu Gimblett Gravels 2013

「マスター・オブ・ワイン」の資格を持つスティーブ・スミス氏が、栽培および醸造責任者を務めるクラギー・レンジのメルロー主体で77%、それ以外は13%マルベック、12%カベルネ・ソーヴィニヨン、2%カベルネ・フランのボルドーブレンドです。

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まとめ

1851年に始まった、ホークス・ベイのワインも、近年ではフランス・ボルドー地方やアメリカ・ナパ・ヴァレーの赤ワインに肩を並べていると評価されています。

冬場の霜への対応やキャノピーマネジメント、農薬散布の方法など、とりわけ赤ワインに対して、様々な施策をしています。

まだ、日本への輸出量が多くないこの地域のワインですが、今後、ニューワールドのチリやアルゼンチン、オーストラリアの赤ワインのように、ワインショップやレストランで楽しめるようになるでしょう。