セントラル・オタゴ地方のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.22 公開 | 2018.07.09 更新

世界で最も南に位置するブドウ産地のCentral Otago(セントラル・オタゴ)地方は、ニュージーランドで最も標高の高い産地でもあります。

風光明媚な場所で、フルーツ大国のCromwellを中心に31軒のブドウ栽培家がおり、133軒のワイナリーがあります。

人口密度が1.7人で、雄大な自然に囲まれた土地です。

この地域のワインが一番好きだという、ニュージーランド人も多く、価格は高いが世界に誇れるワインだ、と胸を張ります。

セントラル・オタゴワインについて

この地域では、ニュージーランド全体に対して5%の栽培面積から、2%の収穫量を産出しています。

他の地域に比べて、収量制限をしっかりと行い、ブドウの実がしっかりとした凝縮感を持っていることで、この地域のブドウ、とりわけピノ・ノワールとピノ・グリはニュージーランドで最も高価になっています。

世界で注目されるインパクトの強いピノ・ノワールを造っている生産者が多い地域です。

生産されているブドウ品種

Central Otagoで、最も栽培され、世界でも注目されているのが、ピノ・ノワールです。「透明なブドウ」と評されるこの品種は、気候や土壌といった要素に大きく左右され、ブドウの品質も変わります。

エレガントでピュアな果実を感じ、ボリューム感もしっかりとあるのが特徴です。

ニュージーランドのピノ・ノワールの約21%はここで収穫されています。

品種由来のアロマをしっかりと持つ、凝縮感のあるピノ・グリや完熟したブドウからできるしっかりとしたボディを持つシャルドネ。

またリースリングは突出しており、ドライなものから甘口、また若い段階から楽しめるものから、長期熟成をして楽しむことができるものまで生産されています。

  •  ピノ・ノワール
  •  ピノ・グリ
  •  シャルドネ
  •  リースリング

セントラル・オタゴ地方のテロワールについて

ニュージーランドの他の産地と異なり、Otagoは内陸に位置し、国内で唯一の大陸性気候です。

夏は短いが、暑くて乾燥し、冬は凍えるような寒さになります。また、春と秋には霜が降りるため、スプリンクラーやヒーター、ヘリコプターなどで対策がとられています。

少ない雨のおかげで、土壌のミネラル分などが浸出せず、またオーガニック栽培における問題もあまり起こらずに済んでいます。

土壌は、様々ですが比較的古く、細かな砂質や重いシルトローム層、岩質なシストなどが重なり、水はけのよい土壌になっています。

セントラル・オタゴ地方内の主な産地

大きく6つに分けることが出来ます。

まずは、Cromwellを中心に25kmほど広がる産地です。一日の寒暖差が大きく、比較的暖かいエリアです。これにより、ぶどうの果実の豊かな風味が出て、酸が乗ります。

急斜面に位置する砂利質のシスト層は、不毛で水はけがよいため、深くに水分と養分を求めるようになります。そのため、クオリティの高いブドウが収穫でき、この地域で重要な産地です。

ふくよかな果実味とブドウ由来の香りのあるワインが造られます。

Queenstown(クイーンズタウン)の東側に位置するGibbston(ギブストン)地域は、標高が高く冷涼な地域で、暖かく乾燥した日中でも、夜にはかなり冷えます。

北側に面した丘陵の斜面に植えられたブドウは、他のどの地域よりも遅く熟していきます。これにより、ゆっくりとブドウ内にしっかりと酸を造り、複雑な香りを生み出し、もっともエレガントなワインに仕上がります。

秋の霜害により、時に収穫量が落ちてしまうこともあります。

Queenstownより北に50kmのところにあるWanaka(ワナカ)。Wanaka湖畔にあることで、霜害の影響が少ないです。雨は春に多く、夏は暖かく乾燥しています。

土壌は、シストが根底にあり、粗い石や長年にわたる氷河の移動によって削りとられた岩石や土砂が堆積しています。

特に、品質の良いゲヴェルツトラミネールが生産されています。

夏のピーク時には30度から40度にもなる暖かい気候のAlexandra(アレクサンドラ)は、Central Otagoの中でも最も南に位置しています。また、1864年に一番初めに植えられたのもこの地域でした。

Alexandraは、ニュージーランドで最も海岸線から遠い地点です。そのため、夏と冬の気温差が大きく、暖かくよく晴れた夏と長い秋が特徴です。1日の中で20度近く気温が変化することも多いです。

土壌は、他のCentral Otagoと同様に、シストを中心として、堆積した小石や黄土といった水はけがよく、不毛な土地です。

フルボディで、ブドウ由来のアロマを感じられるワインが多く生産されています。

Cromwellの北東に位置するBendigoは、雨が少なく全体的に植物が少ないエリアです。粘土質や砂利質、石英質の土壌で、水はけがよいです。

夏は35度近くまで気温が上がるため、しっかりとしたタンニンを持ち、より重厚で豊満な香りを持つピノ・ノワールが造られているエリアです。この気候のため、シラーを栽培している生産者もいます。

Central Otagoの南東に位置するBannokburn(バノックバーン)エリアでは、「砂漠の中心地」という名称が付けられています。暑く乾燥しており、植物が育ちにくい土地です。

土壌は、シストと硬砂岩、またより重たい粘土質の土壌が広がっています。これらの土壌で生育されるブドウは、どれも実が小さく、分厚い果皮に覆われています。

これにより、他のどの地域よりもタンニンが豊富でフルボディなピノ・ノワールが造られます。

  •  Cromwell(クロムウェル): リッチで果実味の豊かなワインの産地。
  •  Gibbston(ギブストン):エレガントなワインの産地。
  •  Wanaka(ワナカ):質のいいゲヴェルツトラミネールの産地。
  •  Alexandra(アレクサンドラ):フルボディのワインの産地。
  •  Bendigo(ベンディゴ):タンニンのあるワインの産地
  •  Bannokburn(バノックバーン):フルボディでタンニンの豊富なワインの産地。

セントラル・オタゴワインの生産量

全体に対して約5%、1,880haの栽培面積を持つCentral Otagoでは2016年に9,177トンのブドウが収穫されました。これは、全体に対し約2%の収穫量です。

前年比で+3%の成長率でした。

ブドウ品種別に見ていくと、ピノ・ノワールが80%で、ピノ・グリが11%。リースリングが4%、シャルドネは3%となっています。

とりわけ、ピノ・ノワールは全国に対して21.6%もの量を生産しています。

輸出量は、ニュージーランド全体の約1.3%で約2040万NZドル。約42.7%が輸出されています。

また、国内消費量は、57.3%です。

セントラル・オタゴワインのヴィンテージチャート

ヴィンテージチャート (赤ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★★ 2010 ★★
2001 ★★ 2011 ★☆
2002 ★★ 2012 ★★☆
2003 ★★☆ 2013 ★★☆
2004 ★☆ 2014 ★★
2005 ★★ 2015 ★★☆
2006 ★★ 2016 ★★☆
2007 ★★ 2017 ★★☆
2008 ★★☆ 2018 NT
2009 ★★

ヴィンテージチャート (白ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★★ 2010 ★★
2001 ★★ 2011 ★☆
2002 ★★☆ 2012 ★★
2003 ★★ 2013 ★★☆
2004 2014 ★★☆
2005 ★☆ 2015 ★★☆
2006 ★★ 2016 ★★☆
2007 ★★ 2017 ★★
2008 ★★ 2018 NT
2009 ★☆

cf. Michael Cooper, Buyer’s Guide to New Zealand wines 2012, 2013, 2016, 2017, Auckland New Zealand: Upstart Press Ltd, 2011, 2012, 2015, 2016

セントラル・オタゴワインの歴史

1860年代のゴールドラッシュにより、セントラル・オタゴにヨーロッパ諸国から人が流入してきました。

その中にいた、フランス人移住者Jean Desire Reraudは、1864年にブドウを植え、地元の人達に向けて商業用ワインを作り始めました。

その“ブルゴーニュ”スタイルのワインは1881年にシドニーのワインコンペでゴールドメダルを獲得しましたが、その頃にはブドウ畑は売られ、料理用のビネガーなどが造られていました。

19世紀後半、ニュージーランド政府は土地の調査に乗り出し、Central Otago地域はブドウ栽培に適したことがわかったのですが、未だワイン産業において、成功している人はいません。

1975年、Ann Pinkneyが、母の敷地内にブドウを植え、1980年代初めには、Gibston(ギブストン)のAlan BradyとWanaka(ワナカ)のRolfe Millsとともに、ワインを作りろうとしました。最初の発酵は悲惨なものでした。

1987年、AnnはTerameaというワイナリーとしてゲヴェルツトラミネールを、RolfeはRipponとして最初のピノ・ノワールを、そしてAlanはGibbston Valley Winesとして、Central Otagoで最初の商業ワインとされている、ピノ・ノワールをそれぞれリリースしました。

これが、セントラル・オタゴのワインの始まりでした。

セントラル・オタゴ地方で特に有名なワイン

ブルゴーニュに並び称されるCentral Otagoのピノ・ノワール。その中でも、初リリース以降、入手困難が続いているFelton Road。

セントラル・オタゴのパイオニア的存在のRippon。

そして、2004年にブドウ栽培を始め、代表的な白ワインを生産しているMisha’s Vineyad。

Bannokburn、Wanaka、Bendigoそれぞれの地域でテロワールを大切に、ワイン造りをしているワイナリーです。

Felton Road Pinot Noir Calvert 2015

Central Otagoを代表するワイナリーのFelton Road。

もっとも入手しづらいと言われるCalvertブロックのピノ・ノワールは、ビオディナミ農法で栽培され、自然重力で果汁を移し、自然発酵を行いました。

20-25日間、醸しの作業を行い、フレンチオークで16ヶ月熟成。無濾過、無清澄で瓶詰めされました。

ピュアで爽やかな果実味が感じられ、スパイスの風味が漂います。なめらかなタンニンと赤い果実の味わいが広がります。

ワインの詳細を見る
(現在、売り切れです。)

Rippon Vineyard Rippon Mature Vine Pinot Noir 2015

この地域の先駆者となったRipponのピノ・ノワールは、ビオディナミ農法で栽培され、テロワールに則ったワイン造りをしています。

自然重力で果汁を移し、自然発酵、補糖はしていません。

酸味をともなう、赤い果実の味わいがあり、ジャムのように甘みが感じられます。アニスやコショウのスパイスがあり、しっかりとした渋みがあります。

カモ肉やジビエの肉料理に相性が良いワインです。

ワインの詳細を見る

Misha’s Vineyard Limelight Riesling 2014

Misha’s Vineyardは、すべて手作業で行われています。このリースリングもすべて手摘みで収穫され、全梗のままプレスしました。最初のフリーランジュースを75%使用し、ステンレスタンクで発酵。残りの25%は、フレンチオーク樽で発行したものをブレンドしています。

ライムの爽やかな香りとスパイスやカモミールの香りがあります。残糖がしっかりとあり、酸が乗っていて濃厚でコクのある味わいです。

貝類のようなシーフードやチキンとの相性がいいです。また、タイ料理のパッタイと相性抜群です。

ワインの詳細を見る

まとめ

世界でもっとも南のブドウ産地として、世界に名を馳せているCentral Otagoですが、温暖化の影響により、ピノ・ノワールのみならず、シラーやメルローも栽培されるようになってきました。

また、昨年9月にはCromwellにある4つのワイナリーが中心になって約8キロの遊歩道(wine trail)が整備されました。

Queenstown発のワインツアーも数多くあります。

一つ一つのワイナリーに違った哲学があり、少人数で運営されているところが多いので、現地にワイナリーを訪れてみるのも良いかもしれません。