カンタベリー地方のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.22 公開 | 2018.07.02 更新

ニュージーランドで3番目に大きい都市のクライストチャーチ(Christchurch)を中心に広がるカンタベリー(Canterbury)のワイン産地。

比較的新しいこの地域には、14のブドウ栽培家と約64軒のワイナリーがあります。

ほとんどが家族経営で、オーガニック農法に取り組む生産者も多いです。

カンタベリーワインについて

2010年、2011年と2年続けてマグニチュード7.0、6.3の地震が、カンタベリーの中心地クライストチャーチを襲いました。2018年現在も、町の復興が続いており、工事中の場所も多いです。

この地震により、カンタベリーのワイン産地は孤立してしまいました。

しかし現在、カンタベリーの主な産地であるワイパラ(Waipara)では、年々収穫量が増え続け、またアロマティックなピノ・ノワールや品質の高いリースリングで、世界から注目されるワイン産地となっています。

生産されているブドウ品種

この地域で、幅広く栽培され、また幅広いスタイルのワインを産出しているのが、リースリングです。ハチミツの香りを持つドライなものから、貴腐菌がついたブドウで造られる甘口の貴腐ワインまで造られています。

ピノ・ノワールは、長く乾燥した秋のおかげで、ゆっくりと色素とタンニンを作り上げていきます。そのため、アロマティックでエレガントなものに仕上がっています。

カンタベリーのソーヴィニヨン・ブランは、マールボロ(Marlborough)地方のものと同様、グラッシーで、ピーマンやアスパラガスのような野菜の風味を感じることができるスタイルになっています。

これらの他にも、様々なスタイルのピノ・グリやシャルドネが生産されています。

  • リースリング
  • ソーヴィニヨン・ブラン
  • ピノ・グリ
  • シャルドネ
  • ピノ・ノワール

カンタベリー地方のテロワールについて

標高250m〜300mに位置するカンタベリーのワイン産地は、冷涼な海洋性気候ですが、いくつもの山に囲まれているため、冷たい潮風から守られています。

強力な太陽光が、フェノール類の完熟を促し、秋がドライで長いことで、収穫する時期を遅くできます。これにより、成長期を長く出来ています。しっかりとした酸をたくわえたブドウが収穫できるのです。

1日の寒暖差が大きく、年間650mm降る雨も成長期にはほとんどありません。

土壌は、砂利質やシルトローム質の沖積土で、水はけがよく、ぶどうの木が水分や養分を求めて、深くに根を張ります。

また、ニュージーランドでは数少ない石灰岩粘土質の土壌があります。

また、冬に雨が多いことで、人工的に水を供給する必要がなく、栽培家は収量や樹勢のコントロールに時間を使うことができ、より質のいいブドウが収穫されています。

カンタベリー地方内の主な産地

カンタベリーは、2つの産地に分けることができます。

クライストチャーチを中心として広域に広がっているカンタベリー・プレーンズ(Canterbury Plains)。主に硬砂岩を中心として、砂利質土壌で水はけがいいです。また、ワイパラ・ヴァレー(Waipara Valley)よりも若干涼しい気候のため、きれいな酸があるリースリングやピノ・ノワールを生産しています。
栽培面積は約165haです。

クライストチャーチから北に65kmほどいったところにあるワイパラ・ヴァレーは、東側に広がる丘が、ブドウ畑を冷たい潮風から守り、北西からの暖かい風が吹き込みます。

このフェーン現象により、降雨量が少なく、暖かく長い秋になります。ニュージーランドでもっとも長い成長期を持つ地域の1つです。

粘土質や石灰岩質を含む土壌により、とりわけ白ワインで酸がしっかりと乗ったものができます。リースリングが、この地域で成功しているブドウで、ハチミツやスパイスの風味を感じることが出来ます。

また、長い成長期のおかげで、貴腐ブドウからの貴腐ワインや、遅摘みブドウからのデザートワインが生産されています。

  • Canterbury Plains(カンタベリー・プレーンズ):きれいな酸のあるワインの産地。
  • Waipara Valley(ワイパラ・ヴァレー):酸が乗ったリースリングの産地。デザートワインや貴腐ワインもある。

カンタベリーワインの生産量

全体の約4%、1,425haの栽培面積を持つ、ワイパラ/カンタベリーエリアでは2016年に12,170トンのブドウが収穫されました。これは、全体に対して2.8%の収穫量です。

前年比では、カンタベリーで−13%縮小し、ワイパラでは+144%の成長を遂げています。

ブドウ品種別では、28%がピノ・ノワール、27.7%でソーヴィニヨン・ブラン、その後20%リースリング、14%ピノ・グリ、5.7%シャルドネと続きます。

全輸出量に対し、約0.002%がカンタベリー産のもので、3万1390ドル。

国内消費量は、58%です。

カンタベリーワインのヴィンテージチャート

ヴィンテージチャート (赤ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★★ 2010 ★★
2001 ★★☆ 2011 ★★
2002 ★★ 2012 ★★
2003 ★★ 2013 ★★☆
2004 ★☆ 2014 ★☆
2005 ★★ 2015 ★★
2006 ★★ 2016 ★★
2007 ★★ 2017 ★★
2008 ★★ 2018 NT
2009 ★★☆

ヴィンテージチャート (白ワイン)

年号 評価 年号 評価
2000 ★★☆ 2010 ★★☆
2001 ★☆ 2011 ★★
2002 ★★ 2012 ★★
2003 ★★ 2013 ★★★
2004 ★☆ 2014 ★☆
2005 ★★ 2015 ★★
2006 ★★ 2016 ★★
2007 ★★ 2017 ★☆
2008 ★☆ 2018 NT
2009 ★★☆

cf. Michael Cooper, Buyer’s Guide to New Zealand wines 2012, 2013, 2016, 2017, Auckland New Zealand: Upstart Press Ltd, 2011, 2012, 2015, 2016

カンタベリーワインの歴史

カンタベリー地方にワイン用ブドウがやってきたのは、1840年のこと。アカロア(Akaroa:クライストチャーチより南に約80km)にたどり着いたフランス人移住者が、自分たちで飲むワインを生産するためにブドウを栽培し始めました。

商業ワインの生産が本格的に始まったのは、それからおよそ140年後の1978年のことで、セント・ヘレナ・ワイナリー・エステート(St Helena Winery Estate)のマンディー(Mundy)がブドウ栽培を始めました。

1980年には、ラーコム・ヴィンヤード(Larcomb Vineyard)のジョン・トム(John Thom)とジュリー・ワーグナー(Julie Wagner)が栽培を始め、ワイナリーレストランを併設しています。彼らは、ワインを理解し、楽しんでもらうには、食事とともに提供するのが一番だと考えていました。

ニュージーランドのブドウ栽培およびワイン醸造学の権威的存在であるリンカーン大学は、調査のため1973年の冬にブドウを植えました。

そして、この土地に適したブドウ品種の研究を始め、カンタベリー地方のワイン産業の発展に貢献しました。

現在では、南はワイマテ(Waimate:クライストチャーチから約215km南)から北はシビオット(Cheviot:クライストチャーチから115km北)まで栽培されています。

カンタベリー地方で特に有名なワイン

オーガニック生産者も多いこの地域では、ほとんどの生産者が家族経営です。

この地域のパイオニアであるc(Pegasus Bay)。

ピュアでナチュラルな造りを徹底するブラック・エステート(Black Estate)とピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤード(Pyramid Valley Vineyards)がCanterburyでは有名です。

Pegasus BayBel Canto Dry Riesling2014

カンタベリーのパイオニア的存在のペガサス・ベイのドライ・リースリングは30%以上貴腐菌が付いたブドウを手作業で収穫し、すぐに圧搾しています。

天然酵母のみで、冬の間をかけて発酵したものを、古い大樽にてブレンドします。

オレンジの花の香りが立ち上り、スパイシーな味わい。リッチで凝縮感のあるのが特徴。
スパイスを効かせた前菜やレモンやオレンジを使ったデザートと相性がいいです。

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Black Estate Pinot Noir2014

1994年から植えられたビオディナミ農法で栽培されたピノ・ノワールを手摘みし、15%を全房発酵、新樽比率10%のフレンチオーク樽で12ヶ月熟成させました。

熟したプラムの香りでスパイスのニュアンスがある味わい。豊かな果実味で口当たりの良いタンニンが感じられる。

レアの鹿肉や豚肉をスパイスを少し効かせて。

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Pyramid Valley Vineyards Lion’s tooth Chardonnay 2012

粘土石灰質のこの地で、ビオディナミ農法に取り組むピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤードのライオンズトゥース・シャルドネは、2000年に植樹され、以来ずっとビオディナミ農法に取り組んでいます。手摘みで収穫したブドウは、全房発酵の後、400〜500mlのフレンチオークで発酵し、樽とアンフォラで半分ずつ11ヶ月熟成、その後9ヶ月ステンレスタンクで熟成しました。

エチケットにもあるように、タンポポの花のような香りと柑橘系の香りが広がります。ふくよかな果実味でしっかりとしたボリューム感があります。

ホワイトソースをつかったリゾットやポークソテーと楽しみたいです。

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まとめ

観光地であるクライストチャーチからほど近いワイン産地のカンタベリーは、ニュージーランドでは珍しい石灰質の土壌があり、その土壌の養分を吸い上げたブドウが栽培されています。

また、恵まれた気候により、酸を保ちながら、しっかりと完熟したブドウが収穫されており、今後ブドウの樹齢を重ねて、より良い品質のブドウに育っていくことが予想されています。

人々の生活に寄り添った家族経営のワインですので、知人や家族と一緒に楽しむのもいいかもしれません。