ニュージーランドワインの特徴や歴史、生産地について

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.13 公開 | 2018.07.09 更新

ニュージーランド(ニュージーランドワイン)
日本から飛行機で約11時間、南半球に位置するニュージーランド。この国では日本に先駆けること約55年前、ワイン用ブドウの栽培が始まりました。

冬の寒さがそこまで厳しくなく、夏は比較的涼しい、また“1日の中に四季がある”と言われるほど寒暖差のしっかりとした土地で作られるブドウは、ゆっくりと成熟していくことで高い糖度を保ちながら、しっかりとした酸が作られます。同時に、フレッシュで強い香りを持つワインが数多く生産されています。

ニュージーランドワインの特徴

ブドウ栽培家や醸造家の多くは、環境保全に興味が深く、ニュージーランド国内で生産される90%以上のワインにスクリューキャップが使われており、またブドウ畑の98%はSustainable Winegrowing NZに登録されています。

ニュージーランド内のワイナリーの86%は、生産量が20万リットル以下の小規模ワイナリーで形成されています。

そんなニュージーランドのワインが注目され始めたのは、1973年。南島のマールボロ(Marlborough)地区で生産されたソーヴィニヨン・ブランのワインが世界的に評価されたことがきっかけです。

ニュージーランドワインの近況

2018年に米国で行われた、映画の祭典「アカデミー賞授賞式」の前席でマールボロのラブブロック ソーヴィニヨン・ブランが選ばれました。3種類のみ提供されるワインの1つになり、ハリウッドスターや著名な映画監督などに飲まれました。

また、ワインを目的としたツーリズムも急成長をしており、一般の観光客が平均で約3,200NZ$消費するのに対し、ワインを目的とした人は、約4,500NZ$消費しています。

2018年現在、677軒あるワイナリーのうち、247軒がセラードアとしてワインの試飲をする機会を提供しています。

生産されている主なブドウ品種

ワイン業界において、ニュージーランドの名前を響かせたのはマールボロスタイルのソーヴィニヨン・ブランです。全収穫量の72%を占めており、ニュージーランドを代表する品種です。

また、セントラル・オタゴ(Central Otago)やマーティンボロ(Martinborough)で生産されている世界トップレベルのピノ・ノワール。

果実味が豊かでナチュラルなものから長期熟成向きのものまで幅広く生産されているシャルドネ。

これらの他にも、リッチさを持つピノ・グリや様々なスタイルのリースリングやゲヴェルツトラミネールといったアロマティック品種。

また、主に北島で生産されているボルドー系品種のメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランやエレガントなシラーなども栽培されています。

  •  ソーヴィニヨン・ブラン
  •  ピノ・ノワール
  •  シャルドネ
  •  ピノ・グリ
  •  リースリング
  •  ゲヴェルツトラミネール
  •  シラー
  •  メルロー
  •  カベルネ・ソーヴィニヨン
  •  カベルネ・フラン

ニュージーランドワインの生産量

ニュージーランドには、675軒のワイナリーがあります。栽培面積は36,226haで全世界の栽培面積の0.5%、そのうちの約60%はソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。

収穫量は、2016年で436,000トン、前年比で+34%の成長をしています。そのうち72.3%がソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールが8.5%、シャルドネ6.9%、ピノ・グリ5.9%と続いています。ソーヴィニヨン・ブランは前年比で+41%収穫量が増えています。

生産量は、3億1390万リットルで、全体の約1%のみを生産していますが、輸出量は、ニュージーランド全体の68%で、2億1337万リットルです。輸出額は15億6951万NZ$でした。

全世界のワインの輸出量の2%がニュージーランドのワインです。

最大の輸出国は、アメリカで約29%、2位はイギリスで約28%、3位はオーストラリアで約25%です。これら上位3カ国で81.3%のニュージーランドワインを輸入しています。

ニュージーランドの主な産地

ニュージーランドには、北島、南島合わせて11つのワイン産地があります。しかし、同じ一つの国といっても、縦に細長いニュージーランドなので、それぞれ気候も土壌も異なっています。そのため、生産されるブドウの種類も違って、ワインの味わいも産地毎に特色があります。

ノースランド

北島の一番北側、ニュージーランドの中でも湿度が高く、亜熱帯気候でマリンスポーツが盛んなノースランド(Northland)。ニュージーランドでは珍しいピノタージュやシャンブルサンが栽培されています。

オークランド

北島の北部、比較的温暖で湿度が高く、ニュージーランド最大の都市で大手のワイナリーが集まり、また周囲にはワイヘケ島などの豊かな自然があるオークランド(Auckland)。主にボルドー系品種やリッチなシャルドネを生産しています。

ワイカト/ベイ・オブ・プレンティ

ニュージーランドでもっとも小さなワイン産地であるワイカト/ベイ・オブ・プレンティ(Waikato/Bay of Plenty)。複雑味のあるシャルドネや、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランの産地です。

ギズボーン

世界で最も東に位置する生産地で、温暖な地域のギズボーン(Gisborne)。ふくよかなシャルドネや、きれいな酸と複雑味のあるアロマティック品種が有名です。

ホークス・ベイ

ニュージーランド第2のワイン産地であり、商業用のワイン発祥の地であるホークス・ベイ(Hawke’s Bay)。ギムレット・グラベルズ(Gimblett Gravels)で造られる高品質なシラーやボルドー系品種が有名です。

ワイララパ

北島で一番冷涼で、二つの山脈に囲まれた土地で、小規模ワイナリーが数多くあるワイララパ(Wairarapa)。世界でもトップレベルのピノ・ノワールを生産している地域です。

マールボロ

南島の北側、ニュージーランドワインといえば、といわれるほどの名産地であるマールボロ(Marlborough)。国内最大の栽培面積を有し、うち78%の広さでソーヴィニヨン・ブランを栽培してます。ソーヴィニヨン・ブランの故郷であるフランスでも、マールボロスタイルとして生産されるほど、世界で受け入れられているワイン産地です。

ネルソン

ニュージーランドの多くの産地が東海岸に位置するのに対し、南島の北西部に位置するネルソン(Nelson)。「サニーネルソン」という愛称で親しまれるほど日照時間の長いこの産地では、リースリングやピノ・グリのといったアロマティック品種が成功しています。

カンタベリー

涼しく乾燥した気候で近年急成長しているカンタベリー(Canterbury)。ドライなものから貴腐ブドウからの甘口ワインまで多様なスタイルのリースリングや華やかな味わいのピノ・ノワールが生産されています。

ワイタキ・ヴァレー(ノースオタゴ)

ニュージーランドでもっとも新しいワイン産地であるワイタキ・ヴァレー(Waitaki Valley)。国内でもっともエレガントで繊細なピノ・ノワールや世界からも注目を集めるピノ・グリ、リースリングの産地です。

セントラル・オタゴ

ニュージーランドで最も標高が高く、世界でも最も南に位置するセントラル・オタゴ(Central Otago)。フルーツ大国であり、品質の高いピノ・ノワールやピノ・グリを生産しています。ニュージーランドで最も高価なワイン産地となっています。

ニュージーランドワインの歴史

ニュージーランドのブドウ栽培の始まりは、1819年のことでした。オーストラリアから移住してきたイギリス人宣教師のサミュエル・マースデン(Samuel Marsden)が、北島のノースランド(Northland)にブドウを植えました。

1830年代後半にはフランス原産のブドウの苗木が、40年代にはドイツ系品種のものがニュージーランドに入ってきています。

1890年代、クロアチアからの移民がノースランドやオークランドに定住し始め、ブドウの樹を植えました。

1960年代頃までのニュージーランドでは、ポートワインやシェリー酒などのフォーティファイド・ワインが多く生産され、また人気がありました。

1973年に、モンタナ(現在のブランコット・エステート)がマールボロにブドウを植え、そのワインが1980年代に世界から注目されたことがきっかけで、ニュージーランドといえば、ソーヴィニヨン・ブランというイメージを創り上げました。

現在では、ニュージーランドという土地がブドウ栽培に適しており、その可能性を疑う人はいません。

また、フランスやイタリア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ、日本などの国からブドウ栽培家やワイン醸造家がこの国に定住し、世界に名を轟かせるワイン造りに励んでいます。

ニュージーランドの食文化について

島国であるニュージーランドは、海産物が豊富で、白身魚を使ったフィッシュアンドチップスや油の乗ったサーモングリル。

また、南島のカイコウラ(Kaikoura)周辺ではクレイフィッシュと呼ばれる伊勢海老の一種が獲れ、人気です。

南島の最南端の町ブラフのオイスターは、小ぶりで丸みがあり、クリーミーな味わいです。3月〜8月の半年間のみ流通しています。

同時に、畜産王国であり、人口よりも羊が多いニュージーランドでは、ラム肉が絶品です。

また、ニュージーランドでは移民規制が緩和された1980年代から様々な国の食を楽しめるようになりました。ちょうど、ワインの人気が出始めたのと同時期です。

ニュージーランドの先住民であるマオリ族の伝統料理「ハンギ」は、地熱を利用して野菜や肉を蒸し料理にしたものです。

海の近くに住むニュージーランド人は、ボートを所有している人も多く、朝の4時に起きて釣りに行きます。また、グリーンマッスルというムール貝の一種や「ピピ」というアサリの仲間が浜辺で容易に取れるので、日々魚介料理を楽しんでいます。

日常の食卓に魚介が染み込んでいるニュージーランドでは、白ブドウを全体の84.8%生産しています。

また、ニュージーランドのスーパーでは「クリーンスキン」という格安のワインが販売されており、9ドル(約720円)前後でワインを楽しむことが出来ます。

ニュージーランドで特に有名なワイン

ニュージーランドのワイン産業を創り上げた、クラウディ・ベイとワイン産業を盛り上げていく先陣を切っているクメウ・リバーとマウント・ディフィカルティのワインをご紹介します。

Marlborough Cloudy Bay Sauvignon Blanc 2017

クラウディ・ベイのソーヴィニヨン・ブランは、ニュージーランドといえばソーヴィニヨン・ブランという印象を世界に与えたきっかけのワインです。

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Auckland Kumeu River Estate Chardonnay 2015

オークランドで比較的歴史の古いクメウ・リバーのシャルドネは、ニュージーランドで一番のシャルドネと評価されています。

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Central Otago Mt.Difficulty Pinot Noir 2014

セントラル・オタゴのマウント・ディフィカルティのピノ・ノワールは、ニュージーランドの三大ピノ・ノワールの1つと言われています。

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ニュージーランドワインが楽しめるおすすめレストラン

日本に入っているニュージーランドのワインは、約1,500本。

ニュージーランドのお食事とともに楽しめるお店やニュージーランドワインのみを扱っているお店が日本にあります。

Arossa銀座店

東京都銀座にあるアロッサでは、ニュージーランド産のラム肉や食材と250種類のニュージーランドワインを楽しめるお店です。

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WAKANUI GRILL DINING Bar Tokyo

東京都芝公園のレストランWAKANUIでは、東京タワーの真横でニュージーランド産のラムやビーフ、そして自社輸入しているワインを楽しめるお店です。

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NZ Bar

東大前に店舗を構えるNZ Barは、200種類以上のワインを取り扱うニュージーランド専門店です。ワインショップも併設しているので、気軽にワインの相談や購入ができます。

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まとめ

比較的新しいワイン産地であるニュージーランドは、年々注目度が上がってきています。また、ブドウの樹齢が上がっていくことで、品質がさらに上がっていくことが期待されています。

5年10年先、ニュージーランドワインがフランス、イタリア、スペインといった旧世界のワイン産地と肩を並べるときが来るとされています。

オーガニックや家族経営で小規模のワイナリーが多く、親しみやすいワインを造っているニュージーランドでは、ワインや食事をテーマにしたイベントも数多く開催されています。

これを機に、ニュージーランドに足を運んでみるのもいいかもしれません。