ヴァッレ・ダオスタ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.09 公開 | 2018.07.09 更新

ヴァッレ・ダオスタ州(Valle d’Aosta)はイタリアの北西部に位置している一番小さい州でアルプス山脈に位置しています。4810mの高さのモンブラン(Monte Bianco)やマッターホルン(Matterhorn)、モンテローザ(Monte Rosa)などの高い山がたち並び、山の斜面を利用してブドウが栽培されています。

スイスやフランスと国境を接していて、1814年までフランス領だったため、現在でもフランス文化圏で、フランス語がイタリア語と並んで公用語と認められている特別州です。そのため、ワインのラベルもイタリア語とフランス語が併記されています。

州全体でDOCワインを統合し、ヴァッレ・ダオスタという唯一のDOCのワインを生産しています。

ヴァッレ・ダオスタ州のワインについて

ヴァッレ・ダオスタ州と6つのワイン生産協同組合によって1988年に始まったヴァッレ・ダオスタ州のワイン街道。

モンブラン、グランパラディーゾ(GranPradiso)、エミリウス(Emilius)山、チェルヴィーノ(Cervino)山、モンテローザの5つの地点でワイナリーを回るコースが組まれています。年々、加盟ワイナリーも増加し、山の魅力とともにワインを楽しめると人気を呼んでいます。

生産されているブドウ品種

古くから山の斜面を利用して、厳しい自然環境の中でブドウを栽培してたヴァッレ・ダオスタ州には、独自の土着のブドウ品種であるコルナリン種、プティルージュ種、グロスビエン種、マスカットルージュ種などがあります。

中でもプリエ・ブランはフィロキセラの害に遭わなかった白ワイン用の品種で、接ぎ木をしていない珍しい品種です。

DOCヴァッレ・ダオスタには、あわせて16のブドウ品種があり、土着品種のほかミューラートゥールガウなどの寒さに強い国際的なブドウ品種も栽培されています。

  • プティ・ルージュ
  • コルナリン
  • ネッビオーロ
  • シャルドネ
  • プリエ・ブラン
  • ミューラートュールガウ

ヴァッレ・ダオスタ州のテロワールについて

ヴァッレ・ダオスタ州は、アルプス山脈に州の北西部分が接していて、州100%がすべて山岳地帯です。そのため、かつては州全体が氷河地帯だったという独特の土壌です。

高い山々の間を州の北西から南東に流れるドーラ・バルテーア(Dora Baltea) 川の渓谷に沿って、ブドウが栽培されているヴァッレ・ダオスタ州。山裾の800メートルから1200メートルの高さのところ位置する日当たりの良い斜面ににブドウ畑があります。

夏は暑く冬は厳しい寒さの大陸性の気候で、一日の中でも寒暖差が激しく、また降雨量が非常に少ない乾燥した気候は、ブドウの生育に適しています。アルプスの麓にあるため、日中は山の照り返しの光も強く、日照時間に比べて太陽の恵みを多く受けることができます。

ヴァッレ・ダオスタ州の格付けについて

1985年に、それまでいくつかに別れていたものをひとつのDOCに統合しました。ヴァッレ・ダオスタ州で栽培されているブドウの大部分が、このDOCのワインとして使用されます。

山の斜面を利用しているために、小規模な生産者が多いヴァッレ・ダオスタ州も、生産協同組合によるワインの製造を行っていますが、それぞれの生産者の独自性を重視しているので、ワインごとの特徴がはっきりしています。

生産地は州全体に及んでいますが、ドーラ・バルテア川に沿った7つの地域は、特別に生産地をラベルに記載することができ、他と区別しています。

ヴァッレ・ダオスタ州の主な産地

DOCヴァッレ・ダオスタに表記することが認められている7つの地域。

  •  ブラン・ド・モルジェ・エ・ド・ラ・サル(Blanc de Mergex et de la Salle)
  •  アンフェール・ダルヴィエ(Enfer d’Arvier)
  •  トッレッテ(Torrette)
  •  ニュス(Nus)
  •  シャンパーヴェ(Chambave)
  •  アルナー・モンジョヴァ(Arnad-Motjovet)
  •  ドンナス(Donnas)

ヴァッレ・ダオスタ州の生産量

イタリア20州の中で最も小さいヴァッレ・ダオスタ州は、2017年ほかの州に比べて2ケタも少ない14ヘクトリットルの生産量で、わずかイタリアワイン全体の約0,356%です。実際、ブドウの耕作面積は、わずか500ヘクタールほどです。

冬の厳しい寒さのため前年比32%減少で、過去10年間の平均でも、約23%の減少でした。

モンブランなどの名峰があり、スキーなどのリゾートとして人気なヴァッレ・ダオスタ州では、生産したワインのほぼ70%を地元で消費しています。約10~20%がイタリア国内で、残りのわずかの量を輸出用としています。

ヴァッレ・ダオスタ州のワインの歴史

古代ローマ時代

紀元前2世紀ころ古代ローマ人によって征服された後、ブドウ栽培が始まり、古代ローマの植民地化が進むにつれて、ブドウ栽培がどんどん普及していきました。ジュリアス・シーザーやプリニウスも、この地域で活発にブドウが栽培されていたという記述を残しています。この地域は、アルプスのローマと呼ばれるくらいに、発展しました。

中世からルネッサンス

現在、この地方の伝統的な品種とされているモスカート・シャンバーヴなどは、古代ローマの崩壊後、フランク族やゲルマン人によってもたらされたものです。ドルチェットやバルベーラは、もっと遅い時期になってから運ばれてきました。

近代~20世紀

1800年代になると、この地方ではブドウの木の緑があふれているというほど、ブドウの栽培が盛んでしたが、19世紀後半にうどん粉病やフィロキセラによる大きな被害を受けます。いくつかの土着の品種はこの時に絶滅したり、ピエモンテ州やフランスからの変種に差し替えられました。

1960年代になると、イタリアの独立州であるヴァッレ・ダオスタ政府が、ワイン産業に力を入れ始めたことによって、ブドウの品種を復活させたり研究に力を入れます。数々の活動によって、ワインの質が格段に向上し始め、1970年代に早くもドンナスとアンフェール・ダルヴィエがDOCを獲得しました。

1982年に州立の農業研究所が設立され、研究の他、実際にワインも製造販売しています。1985年にすべてのワインを州の名前をつけたDOCワインに統合しました。

ヴァッレ・ダオスタ州で特に有名なワイン

生産量も少なく地産消費がメインであるヴァッレ・ダオスタ州のワインですが、独特のテロワールを持つ高品質のワインとして高い評価をうけています。

ヴァッレ・ダオスタ・シャルドネ・キュヴェ・ボア(レ・クレーテ)

レ・クレーテ社は、1989年設立のワイナリーですが、長年、ガンベロ・ロッソのトレビッキエリを長年獲得しているヴァッレ・ダオスタ州を代表する実力派です。ミネラル分が豊富で果実味も豊かなシャルドネは、レ・クレーテを代表する逸品です。

ヴァッレ・ダオスタ・プティット・アルヴィーヌ・ヴィーニュ・ロヴェッタ(グロジャン・フレール)

ヴァッレ・ダオスタ州の土着品種プティット・アルヴィーヌ100%を使って作られるワイン。この品種で初めてトレビッキエリを獲得しました。

オーガニック農法でブドウを栽培し、昔ながらの自然で伝統的なワイン造りにこだわっている注目のワイナリーです。

まとめ

美しいアルプス山脈に囲まれていて、独特な気象条件と急斜面でのブドウ栽培という厳しい条件の中で生み出されるヴァッレ・ダオスタのワインは、まさに、絶え間ない努力と情熱を反映した珠玉の山のワインです。

生産量が少ないためレアなうえに、土着のブドウ品種を使って作られる独特なテノワールを持つワインとして、イタリア国内でも最近注目が集まっています。

また世界有数のリゾート地として多くの観光客が集まってくる場所柄、美味しいチーズやジビエ料理などとよく合うワインとして人気があります。

アルプスの自然の滋味をたっぷり含んだ山のワイン、これからがますます楽しみです。