トレンティーノ・アルトアディジェ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.09 公開 | 2018.07.09 更新

トレンティーノ=アルト・アディジェ州(Trentino Alto Adige)は、アルプス山脈がスイスやオーストリアとの国境をなすイタリアの最北端に位置していて、高い山の斜面にブドウ畑が広がっています。

今から100年ほど前まではチロル地方、その後、一時期はドイツ領だった地域で、今でもドイツ語がイタリア語と並んで公用語として認められている特別州です。

ワインのラベルもドイツ語とイタリア語が並んで表記されていているところがユニークです。

良質な白ワインの産地として、古くからドイツなどの北ヨーロッパで知られてきました。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州のワインについて

白ワインやスパークリングワインの輸出が好調なトレンティーノ=アルト・アディジェ州では、2017年9月には「アルト・アディジェ・ワイン・サミット」を開催し、日本をはじめ世界中から参加者が訪れました。

土着のブドウ品種スキアーヴァは、最近では注目を集めている品種です。ブドウの値段が20年前に比べて倍になるほどの人気で、今後が期待されています。

2017年は、通常より2週間以上も早く寒さが訪れ、霜や雹のために収穫量の20%が被害を受けました。

生産されているブドウ品種

アルプスの麓の山岳地という特殊な気候条件もあり、この地方独特の約20種類の土着の品種を中心に栽培されています。また同じ品種でも栽培される標高によって、それぞれ違う味わいが生み出される多様性が特徴です。

このほか、ドイツのブドウ品種リースリングやシルヴァーナー、ミューラートゥールガウなどの白ワイン用のブドウ品種が多く栽培されています。

また、南部のトレント地方では、シャンパンと同じ瓶内二次発酵のトレンティーノDOGがあり、シャルドネやピノ・グリージョ、カベルネ・ソーヴィニオンなどの国際的な品種も多く栽培されています。

  •  スキアーヴァ
  •  ラグライン
  •  テロルデコ
  •  ヴェルナッシュ
  •  マルツェミーノ
  •  ノジオラ

トレンティーノ=アルト・アディジェ州のテロワールについて

トレンティーノ=アルトアディジェ州は、アルプス山脈が北側の国境を、ドロミテ(DOLOMITE)山地が東側の国境をなしていて、州全体100%が山岳地帯です。州内には3000mを超える高い山がいくつもそびえています。

気候はアルプスの麓にあるにも関わらず、北からの冷たい風は高い山で遮られ、日中はアディジェ川の峡谷に沿って、地中海性気候のガルダ湖の周辺から暖かい風が吹いてきます。

そのため、1日の中で寒暖差が激しく、夏は35度まで、冬は0度前後という寒暖差の激しい大陸性の気候で、ブドウの栽培に適しています。

また意外にも日照時間も長く、太陽の恵みを十分に享受できるという、ブドウ栽培に恵まれた特徴を備えています。

高い山の峡谷に広がるブドウ畑の土壌は、標高によっても様々で、火山性から石灰質、粘土質、花崗岩、そして砂利など複雑な構成をしています。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州の格付けについて

ここ20年の間に、格段に品質が向上しているトレンティーノ=アルト・アディジェ州のワインですが、まだ、イタリアのワインの最高格付けであるDOCGワインはありません。

一方、DOCは有名なスパークリングワイン、トレントDOCをはじめとして7つ、IGTは4つあります。

アルト・アディジェ

赤、白、ロゼすべてを「アルト・アディジェ」または「デッラルト・アディジェ」としています。ラベルにブドウの品種が表示しているものは、95%以上がその単一品種で作られています。

また特別な地域で作られたものは、その産地が表記されていて、特に、サンタ・マッダレーナ地区の中心で作られたものにはクラッシコと記載されます。

また、陰干ししたブドウで作られた甘口も人気があります。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州の主な産地

州のほぼ真ん中を、高い山々の峡谷に沿って流れるアディジェ川沿いの斜面で、南北に細長くブドウが栽培されています。南端はガルダ湖、北端はアルプスに近いところまで広がっています。

標高200mから1000mを超える高地まで広がるブドウ畑では、それぞれのテノワールに合わせた品種が植えられています。

北の州都ボルツァーノを中心としたアルト・アディジェ地方と、南の州都トレントを中心としたトレンティーノ地方の二つが主な産地です。

  • アルト・アディジェ:イタリア最北端の伝統的なワイン産地。
  • トレント・トレンティーノ:ガルダ湖の北西岸から北に細長い地域。スプマンテのトレントDOCの産地。
  • カルダーロ湖周辺:標高が低く比較的温暖なエリア。スキアーヴァやラグレインなどの赤ワインの産地。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州の生産量

トレンティーノ=アルト・アディジェ州は、2017年1,062ヘクトリットルを生産し、イタリアワイン全体では約2.6%で、多い方から数えて11番目の州です。昨年の冬の厳しい寒さのため前年比12%減少で、過去10年間の平均でも、約10%の減少でした。

それにもかかわらず白ワインやスパークリングワインの世界的な人気は衰えず、2017年の上半期の輸出額は262百万ユーロでイタリア総輸出量の9.3%をもトレンティーノ=アルト・アディジェ州のワインが占めています。前年比の同時期と比べても5%の増加で、順調な伸びを示しています。

アルト・アディジェ地方では、生産量の約60%が輸出されていて、特にアメリカ合衆国での人気が顕著です。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州のワインの歴史

古代ローマ時代以前

紀元前7世紀ころには、ラエティア人がブドウの栽培やワインの製造方法を伝えていましたが、古代ローマ人によって征服された後、ブドウ栽培の技術をさらに発展させました。実はそのころ、すでに現在のペルゴラ方式のような形でブドウ栽培をしていたとも、ワイン容器として、木の樽の使い方を古代ローマ人に教えたとも言われています。

中世からルネッサンス

カール大帝の時代にドイツでは教会の儀式用として、この地方のワインを使用していましたが、その後、異民族の大移動などによって、ブドウ畑はかなり被害を受けます。

8世紀ころ政治が安定してくると、ドイツ地方の教会儀式のために、ブドウの栽培が再び始まります。この頃すでにスキアーヴァやラグレイン、ゲヴェルツトラミナーなどのブドウ品種が栽培されていて、修道院を中心にしてブドウの栽培が盛んに続けられます。

16世紀の末にカトリックの公会議がトレント(TRENTO)で開かれると、ヨーロッパ中の聖職者たちに人気を博したワインは、各地に販売を伸ばしていきます。

近代~20世紀

1803年にオーストリアが敗北すると、修道院や教会は所有していたブドウ畑を失います。

1867年オーストリアへの鉄道が開通し、ワインの輸出量が格段に増えます。生産協同組合による販売方法も、この時期に確立されていきます。ところが、第一次世界大戦中に激戦地となってしまい、フィロキセラによりも大きい被害を受けます。さらにオーストリア帝国が崩壊したことによって、大きな販売先を失いました。

第二次世界大戦後、イタリアの他の地方のように、質より量の時代が長く続きましたが、80年代より、質の向上に向けて、本格的なブドウ栽培、ワイン醸造の研究を始めます。

現在では、イタリアを代表する白ワインの生産地として国際的に知られるほど、高く評価されています。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州で特に有名なワイン

トレンティーノ=アルト・アディジェ州の有名なワインをご紹介します。いろんな独特の味わいの土着品種のワインが特徴ですが、日本でも特に有名なのはスパークリングワイン。シャンパンと同じ瓶内二次発酵で、フランスにも輸出しています。

フェラーリ・ブリュ(フェラーリ)

1902年創業のフェラーリ社は、フランスでシャンパンの製法を実際に学び、フランスからシャルドネを持ち込んで、本格的にイタリアで瓶内二次発酵のスパークリングを作り始めたパイオニア的なワイナリーです。

イタリアを代表するスパークリングワインとして、イタリア大統領官邸でも用いられています。

ロータリ・ブリュ・トレント・DOC(ロータリ)

アメリカ、ドイツ、北欧をはじめ、世界50か国以上に輸出されているスパークリングワイン。上品で繊細な味わいが人気です。

ロータリは1600もの小規模な生産者による生産者共同組合です。厳しい品質管理体制の中で育てられた自社のブドウの中から、さらに最上のものを選び抜いて作られています。また、コストパフォーマンスに優れているところも人気の理由です。

トレンティーノ・マルツェミーノDOC(コンチーリオ)

マルツェミーノは、この地方に滞在したモーツァルトが愛したワインとして知られていて、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」の中にも登場します。

1860年代に設立された由緒あるワイナリー、コンチーリオは、なるべく農薬や化学肥料を使わない自然に近いブドウ栽培を行っていることでも定評があります。

まとめ

イタリアの国境の最北端、アルプス山脈の麓の風光明媚な自然に囲まれた小さな州、トレンティーノ=アルト・アディジェ州。ブドウの品種もドイツ系のものや、この地方独特の土着の品種など、イタリアの中でも他の地方と全く違うワインが多く、バラエティに富んでいるのが特徴的です。

また、生産者自身がオーナーでもある生産者協同組合が多く、共同で自らに規律を課して、高い品質のワイン造りを行っているところは、ドイツ的なものを感じます。厳しい自然の中で生み出されるワインが、高い評価を受けているのも納得できます。