トスカーナ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.13 公開 | 2018.07.02 更新

イタリアの中部に位置するトスカーナ州は、花の都と呼ばれる中世ルネッサンスの町フィレンツェを州都とする世界的に有名な観光地です。

フィレンツェからシエナへ続く丘陵地帯にはブドウ畑が広がるキャンティ街道があり、ここで最も有名なトスカーナの赤ワイン、フィアスコという藁で包まれた可愛らしい瓶が特徴的なキャンティワインが作られています。

イタリア国内はもとより、イタリア国外でも高く評価されているトスカーナ州のワインは、ピエモンテ州のワインと並んで、高品質のイタリアワインを代表しています。

トスカーナワインについて

トスカーナでは、ワインは人々の暮らしに欠かせない大切なものです。単なる飲み物というよりも歴史や文化としてとらえられています。そのため環境への関心も高く、有機栽培を行っているブドウ畑は年々増加していて、約 12,800 ヘクタールもあります。

トスカーナワインは、世界的に大きな影響力を持つウェブサイト「ワイン・サーチャー」による人気のワインランキングにも、多数ランキングされるほど、国外で人気が高いのが特徴です。

歌手のスティングをはじめ、有名人や実業家が次々とワイナリーを購入していて、トスカーナのブドウ畑は VIP の憧れと言われるほど、値段が高騰していています。

一方、2017 年の夏は猛暑で、乾燥が著しく水不足が深刻な問題となりました。そのため収穫量は大幅に減少しました。

生産されているブドウ品種

温暖な気候のトスカーナ州は、現在でも 100 以上の土着のブドウ品種が栽培されているほど、ブドウの生育に適した土地です。ただ現在では、多くの品種が絶滅の危機にさらされています。

特にトスカーナワインのシンボル的なブドウ品種サンジョヴェーゼに人気が集中していて、トスカーナで栽培されるブドウの約 62%を占めています。キャンティをはじめとする多くのトスカーナワインで使われています。

サンジョベーゼに次いで、イタリアでは珍しくメルロー、カヴェルネ・ソ―ヴィニオンなどのフランスのブドウ品種が多く栽培されているのがトスカーナの特徴です。

またトスカーナ原産のトレッビアーノ・トスカーナなどの白ワイン用のブドウも栽培されています。

  • サンジョヴェーゼ
  • カナイオーロ・ネーロ
  • カベルネソ―ヴィニオン
  • メルロー
  • トレッビアーノ・トスカーノ
  • ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ

トスカーナ地方のテロワールについて

トスカーナ州は、西側をティレニア海側に面し、北東部をアペニン山脈に接した三角形状をしています。

丘陵地が 67%、山岳地が 25%、そしてわずか約 8%が平野というトスカーナでは、約 6 万ヘクタールもの面積でブドウが栽培されています。中部イタリア最大のブドウ産地です。

州の中央部

伝統的なブドウの産地であるシエナ県からフィレンツェ県にかけてのキャンティ地区を中心として、なだらかな丘陵地にブドウ畑が集中したエリアです。

夏は暑く冬は寒い大陸性気候で、1 日のうちでもかなり‘寒暖の差が激しい気候です。

海岸沿いの地方

ラツィオ州に近いグロッセートから、ボルゲリ、リボルノ、ピサを経てマッサ・カラーラまでの、丘と海に囲まれたティレニア海岸沿いのエリアです。

ブドウが熟成する夏の時期に、太陽の日差しが強く乾燥した地中海性気候で、年間を通じて比較的温暖な気候です。石や砂が多い土壌で、石灰質、そして火山質などが入り混じっている複雑な土壌構成をしています。

トスカーナ地方の格付けについて

トスカーナ地方はイタリアの格付けワインの宝庫とも呼ばれるほどで、最高格付けである DOCG ワインの数は、ピエモンテ州、ヴェネト州に次いで 3 番目に多い11 銘柄、次いで DOC ワインは 41 銘柄、IGT が6銘柄です。

またトスカーナの特徴として、格付けがないにもかかわらず、世界中のワインマニア垂涎の的となっているスーパートスカーナがあります。

キャンティとキャンティ・クラシコ

DOCG ワインの中には、キャンティとキャンティ・クラシコと言う 2 つのキャンティがあります。

キャンティ・クラシコは歴史的なキャンティ地方でのみ作られることが義務付けられている伝統的なキャンティのことで、キャンティは、トスカーナ州の大部分で作ることができます。そのため、品質にかなりのバラつきがあります。

キャンティの中には、ソット・ゾーナと呼ばれる地名が付いたワインが 7 つあり、それぞれ独自の規定が認められていて、それぞれ特徴のあるキャンティが作られています。

スーパートスカーナ

スーパートスカーナ(またはスーパータスカン)は、カベルネソ―ヴィニオンやメルローなどの国際的なブドウ品種を主に使っているために、格付け外ですが、高品質で高い評価のトスカーナワインのことです。

70 年代に彗星のごとく登場したサッシカイア、そしてソライア、ティニャネッロ、オルネライアなどをはじめとするスーパートスカーナのワインによって、一躍トスカーナワインブームが巻き起こりました。

トスカーナ地方内の主な産地

トスカーナでは、平地を除くほぼ州の全域でブドウが栽培され、ワインが醸造されています。

特に中央部は、有名なキャンティ・クラシコの生産地、そしてその周辺に、中世からの伝統を持つ DOCG ワインカルミニャーノが北側に、白ワインのヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノが西側にあって、伝統的なワインの生産地です。

シエナ県南部に広がる丘陵地モンタルチーノは、イタリアワイン最高級のワインのひとつブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産地です。

このワインの産みの親、ビオンディ・サンティ氏のワイン畑は、ワインファンにとってもっとも格式が高い伝説のような存在です。

また、モンタルチーノの東側にはヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノの生産地が広がります。

一方、ティレニア海沿いのボルゲリ地区では、それまでブドウの栽培には向かないとされていた地域ですが、近年スーパートスカーナの成功によって、次々と優秀なワインが生み出されています。

その南、トスカーナ州最南端のマレンマ地区も、海に近いと同時に丘や高い山に囲まれているため、夏は暑すぎず、冬も寒すぎずという絶妙な気候が独特の風味のワインを作ります。最近、高く評価を受けている注目のエリアです。

  • キャンティ地区:高品質のキャンティ、キャンティ・クラシコを生産する伝統的な地区。
  • モンタルチーノ地区:ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産地
  • ボルゲリ地区:スーパートスカーナ、サッシカイアで一躍注目された地域。

トスカーナワインの生産量

トスカーナワインの生産量は、2017 年は 2,042 ヘクトリットルで、イタリアワイン全体の約 5.1%を占めています。猛暑のため前年比 32%減少で、過去 10 年間の平均でも、約 24%の減少でした。

トスカーナでは DOCG 、DOC などの格付けワインの比率が高く、イタリア全体の 20%の量を占めています。

輸出量は年々増加していて、トスカーナワインの約 60%が輸出されます。2016 年は 586 百万ユーロでの売り上げで、前年比 2.05%、前前年比では 10.4%も増加しています。

最大の輸出国はアメリカ合衆国で 139 百万ユーロ、その後、ドイツ、カナダ、イギリス、スイスと続きます。

トスカーナワインの歴史

ローマ時代以前

トスカーナ地方では、大昔のブドウの化石が発見されていて、有史以来ブドウの樹が自生していたと考えられています。

古代ローマ以前、紀元前 8 世紀ころトスカーナ地方で文明を築いたエトルリア人は、すでに醸造したワインを地中海沿岸の国々と交易をしていました。

古代ローマ時代

ブドウ醸造の技術が進歩し、特別階級だけではなく、一般の人たちにも普及していました。当時は薬としても珍重されました。

外国へもワインを輸出をし、トスカーナの経済も発展しますが、ローマ帝国の時代になると、度重なる権力争いや、異民族の侵入によって、ブドウの栽培が廃れていきます。

中世

1100 年ごろになると、再びブドウが植えられるようになって、ワインの醸造も復活します。1282 年には、ワイン商人たちがワイン業者の組合を結成します。

ルネッサンス時代以降

イタリアルネッサンス時代の頂点を極めたトスカーナでは、経済の発展と共にワインの需要も増えていきます。

1500 年代になると、世界初のソムリエとも呼ばれるローマ法王のワイン係りが、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノなどのトスカーナのワインを高く評価した記録が残っています。

1716 年にトスカーナ大公はイタリア初のワインの格付けとでもいうべき、キャンティワインの生産地に関する規定を作り、質の向上に努めます。1753 年にフィレンツェの農業学会が結成され、ワイン醸造の研究が格段に進歩します。

ところが近代のイタリアは度重なる戦争などによって経済が衰退し、トスカーナのワインも質より量を重視するようになりました。

20世紀以降

1970 年ごろからようやく、一部の生産者たちの間でイタリアワインの質の向上を高めようという気運が高まります。

イタリアワイン・ルネッサンスとも言われる活動の中から、キャンティクラシコやスーパートスカーナが生まれました。

トスカーナ地方で特に有名なワイン

有名なトスカーナワインをご紹介します。ほとんどがサンジョベーゼを使っているので、華やかなルビー色と、赤いフルーツの実のようなフレグランスがある華やかなワインが多いです。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
(ビオンディ・サンティ)

サンジョベーゼを品種改良したサンジョベーゼ・グロッソから作られるワインは、イタリアワインの女王とも呼ばれます。

ブルネッロの産みの親であるビオンディ・サンティのワインは、ワインマニアなら一度は飲みたい垂涎の一本です。

カステッロ・ディ・ブローリオ・キャンティ・クラシコ
(バローネ・リカーゾリ)

19 世紀末に、キャンティ・クラシコの基礎を築いたべッティーノ・リカーゾリ男爵の一族による由緒あるワイナリー。

伝統のあるキャンティの造り手が研究を重ねたキャンティ・クラシコは、サンジョベーゼ 80% に、メルローとカベルネソ―ヴィニオンを加えています。

ソライア (アンティノリ)

14 世紀にワインの醸造を始めた伝統あるアンティノリ家のスーパートスカーナ。カベルネソ―ヴィニオンを主体に、サンジョヴェーゼとカベルネ・フランを加えて作られます。

まとめ

気候にも地形にもブドウ栽培に適した条件を備えたトスカーナ地方は、長いワイン造りの伝統があるために、良質なワインがたくさんあります。

特にトスカーナを代表するキャンティワインはトスカーナワインを知るうえで欠かせないワイン。産地が広いだけに、飲み比べをしてみるとそれぞれの造り手の個性があって興味深いです。値段も手ごろなものもあって、気軽に楽しめるのが嬉しいところです。

1000 年近い歴史を持つ由緒あるワインから、新しい革新的なスーパートスカーナまで、さまざまな魅力のあふれるトスカーナワイン。美味しいトスカーナ料理と一緒に、ぜひ味わってみてください。