ピエモンテ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.05.22 公開 | 2018.07.02 更新

イタリアワインの中で最も格付けワインの数が多く、伝統的にイタリアを代表する高品質なワインの産地として有名なピエモンテ州(Piemonte)は、イタリア半島の西北部、フランスとスイスの国境に面しています。

ランゲ地区、ロエーロ地区、モンフェッラート地区などのブドウ畑の景観は、2014年、世界遺産に登録されています。

ピエモンテワインについて

近年、ピエモンテ州を挙げてワイン事業にへの投資を支援するなどワインマーケットの拡大を図っています。

その一環として2010年バローロ村に州立のバローロ城ワインミュージアムを設立するなど、ワイン文化の情報発信にも取り組んでいます。

それにもかかわらずトスカーナ州やヴェネト州の観光客の増大などに伴って、国際的なピエモンテワインの知名度は減少している傾向にあります。

2017年は、記録的な異常気象だったため、戦後もっとも生産量が少ない年です。品質に関しては、良いものとそうでないものの差が極端に分かれたと言われています。

生産されているブドウ品種

ピエモンテを代表するバローロとバルバレスコは、ピエモンテの土着の品種ネッビオーロ種100%を使って作られます。

冷涼な気候に適しているネッビオーロは、収穫時期が遅いため栽培が難しい品種ですが、タンニンが強く、長期熟成に耐える品種です。

また、ピエモンテの土着の白ブドウ種アルネイスは、1960年代にトリノ大学が栽培方法を研究し復活させた品種が人気を呼んでいて、DOCGににも認定されました。

コルテーゼ種から作られるガヴィともにピエモンテを代表する辛口白ワインへと変貌を遂げました。

また約50もの土着のブドウ品種があるほか、フランスの品種なども多く使われています。

  • ネッビオーロ
  • バルベーラ
  • ドルチェット
  • コルテーゼ
  • アルネイス

ピエモンテ地方のテロワールについて

州都トリノで冬のオリンピックが開催されたほど、冬は雪が降り厳しい寒さのピエモンテ地方。

州の西側から北側はアルプス山脈と接していて、南側に隣接するリグーリア州との境にはアペニン山脈があるため、3方を山に囲まれていて、海には接していません。

州の43.3%はアルプスなどの山岳部、リグーリア州に近い部分を中心に丘陵地帯が全体の30.3%、そして州の中央部26.4%が平野です。

イタリアで一番長いポー川の支流があちこちに張り巡られていて、濃霧が立ち込めることでも有名です。

州南部の丘陵部

リグーリア州に近いピエモンテ州南部のアペニン山脈に続く丘陵地は大陸性の気候です。夏は暑く冬は寒く、1日のうちで寒暖の差が激しいために、ブドウの糖分が増します。

同じ丘陵部でもターナロ川を境として、西岸のローエロ地方は砂が多いためデリケートなワインを産しています。一方、ランゲ地方などの東岸は土地が固いため長期の熟成に適したブドウに適しています。

また南東部は海まで8キロのところでは、石灰質で砂が多く含まれる土壌です。

山岳部

アルプスに面した山岳部は、夏は涼しく過ごしやすいかわりに、冬はかなり寒い高山性気候です。この地域は太古には氷河に覆われていたために、かなり古い堆積土壌で小石や砂が多く含まれています

ピエモンテ地方の格付けについて

ピエモンテ州はDOCGが18、DOCが42もあり、格付けワインの数がイタリアで最多です。州全体の生産量の85%が格付けワインというほど、品質の高いワインを多く生産しています。

バローロは、イタリアで最初のDOCGに認定されましたが、最近ではバローロの品質にばらつきができていて、バローロ戦争と言われる論争が起きています。

現代的な醸造方法のバローロと、伝統的なバローロのどちらが本物のバローロかというものに加え、DOCGバローロの生産地が、2017年には10ヘクタール、2018年には30ヘクタールと領域が拡大していることに関して、バローロ戦争が激化していました。

さらにバローロの生産組合会長が、自身のバローロの一部を境界線を越えて作っていることが発覚し、2018年1月に会長が辞任するというスキャンダルも起きています。

ピエモンテ州の主な産地

アルプス山脈やアペニン山脈の丘陵部分を中心にして、45,000ヘクタールものブドウ畑があります。

最も代表的なピエモンテ州のワイン産地は、州南部に位置するランゲ地方です。ターナロ川の東岸に位置するこの地には、バローロの産地バローロ村や、バルバレスコ、バルバーラ、ドルチェットなど秀逸の赤ワインの産地があり世界有数の銘醸地として知られています。

アスティを中心としたモンフェッラート地方は、多くの川が流れる広い丘陵地帯で、アスティ・スプマンテ、バルベーラ・ダスティなど多くのDOCGワインが作られています。

リグーリア州の州都ジェノヴァに近いガヴィは、コルテーゼ種から作る上質の白ワインの生産地です。

また、アルプス山脈に迫る北ピエモンテの丘陵地には、バローロと同じネッビオーロ種から作るガッティナーラとゲンメというDOCGワインがあります。

同じアルプス沿いの丘陵地カナヴェーゼ地方では、この地方のみの土着のブドウ品種エルバルーチェで特徴ある白ワインが生産されています。

  • ランゲ地区:バローロの生産地で世界中のワインマニア垂涎の地
  • ニッツァ・モンフェッラート地区:バルベーラ・ダスティ、モスカート・ダスティの産地
    • アルト・モンフェッラート地区:辛口白ワインガヴィの産地

ピエモンテワインの生産量

ピエモンテワインは2017年1,849ヘクトリットルの生産量で、イタリアワイン全体の約4.6%を占めています。

2017年は記録的な異常気象だったため、前年比27%減少で、過去10年間の平均値と比べても、約29%の減少でした。

ピエモンテワインの2017年の輸出額は430百万ユーロで、前年比6.0%増加しています。ヴェネト州、トスカーナ州に次いで3番目に輸出額が多く、イタリアワイン全体の約15%をしめています。

そのうちDOCG,DOCの格付け赤ワインの輸出額は116百万ユーロで、前年比では9.0%も増加していますが、トスカーナ州の約半分以下の売り上げです。

一方、ヴィーニイタリーというイタリアワイン最大の見本市では、日本と中国に向けての輸出量が伸びていると発表されました。

ピエモンテワインの歴史

ローマ時代

ピエモンテ州には、古代ギリシア人がワイン造りを伝えたといわれていますが、紀元前3世紀に古代ローマ人が征服したあと、本格的なワイン造りが始まりました。

1世紀になるとワインがかなり普及していて、すでに木の樽を使用していたという記録も残っています。

中世

古代ローマの崩壊後の混乱期を経て、11世紀中旬頃にサヴォイア家のピエモンテ支配が始まるとブドウ栽培がどんどん盛んになります。

13世紀にはアルバ、アスティ、ブラを中心としてワインが作られ、ブドウの収穫時期の規定のほか、ブドウの盗難などの犯罪に関しても、右手を切り落とすなどの厳しい刑罰もありました。

14世紀にはネッビオーロが素晴らしいワインができる黒ブドウの品種として公式に記録されています。

16世紀以降

16世紀初頭、ピエモンテはサヴォイア公国となり首都をトリノに決め、フランスからワイン造りの技術を導入し、ワイン産業を発展させます。フランスのルイ14世にもピエモンテのワインとチーズを献上して、高い評価を受けたという記録が残っています。

19世紀

18世紀の末に、ピエモンテでベルモットという香草入りの甘口白ワインが発明され、19世紀の中旬には、ヨーロッパじゅうに輸出されるほど人気を博します。

一時期ナポレオンに征服されてフランス領になります。その後、サヴォイア家が再度ピエモンテを支配し、ワイン事業の発展にますます力を入れます。

サヴォイア家は、1861年にイタリアを統一しイタリア王国を成立させます。初代の首相カブールはワインの生産者でもあり、フランス人の醸造家とともに上質なバローロを発明し、バローロを外交にも用いて評判を高めることに成功しました。

20世紀

1930年代にはバローロやバルバレスコの生産地などに関する規定ができ、1963年のイタリア初の格付けに認定されました。

1980年代に州立のワイン展示館やワイン工房の設立を支援したり、7つの地区にストラーダ・デル・ヴィーノというワイン街道を制定して、州をあげて観光客の誘致などにも努めています。

2014年には、ランゲ地方などが世界遺産に登録され、イタリアを代表するワインの産地としての名声をますます高めました。

ピエモンテ地方で特に有名なワイン

ピエモンテ州の有名なワインを紹介します。ワインマニアでなくてもイタリアワインを知るには、必ず飲むべきだとまで言われているのがバローロです。

バローロも、弟分のバルバレスコも同じネッビオーロ品種100%で作られますが、バローロは力強く、バルバレスコはまろやかなワインにです。

バローロ(ルチアーノ・サンドローネ)

ルチアーノ・サンドローネは、ブルゴーニュのブドウ造りの観念をバローロに持ち込んだワイン造りを行っていて、高品質でモダンなバローロを作る生産者です。自然農法を取り入れ、ブドウの力を最大限に引き出す栽培をしています。

人気漫画「神の雫」で登場したことでも話題になりました。

バルバレスコ(ガヤ)

世界のトップクラスの生産者、イタリアワインの帝王とも呼ばれるアンジェロ・ガヤが作るバルバレスコ。

19世紀の終わりに、バローロと同じネッビオーロ種100%を使って誕生したバルバレスコは、バローロの弟分と呼ばれていましたが、これほどまで世界的に有名になったのが、アンジェロ・ガヤの才能によるものだと言われます。

ガヴィ(ラ・スコルカ)

ピエモンテの土着品種コルテーゼ種100%で作られる白ワインは、18世紀までは甘口でしたが、隣のリグーリア州特産の魚料理に合わせて辛口が作られるようになりました。

ラ・スコルカはこの地方で最も古いワイナリーで、高品質のガヴィを作り続けていることで定評のある老舗です。

まとめ

ピエモンテ州のワインは、フランスと隣り合っていて歴史的な関係が深いので、フランスワインの影響を強く受けています。

またイタリアを統一したサヴォイア家の支援のもと、高品質なワインが生み出されてきました。

現在ではイタリアの伝統的な食文化を守るスローフード運動もピエモンテで発祥し、ワインを含めたイタリアの食に関するリーダー的な存在を増しています。

フランス風のピエモンテの伝統的な料理とともに、イタリア最高のワインを味わってみませんか?