リグーリア州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリーまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.19 公開 | 2018.07.19 更新

イタリア半島の付け根、左側に位置するリグーリア州(Liguria)は、ティレニア(Tirenia)海に面して細長く東西に弧を描くような形をしています。すぐ西側はフランスのリゾート地プロヴァンス地方です。

北側にはすぐピエモンテ州との境をなすアルプス山脈やアペニン山脈が背後に迫り、急な斜面にブドウ畑が細長く広がっています。

貿易港として栄えた歴史を持つ州都ジェノヴァ(Genova)や世界遺産のチンクエテッレ(Cinque Terre)をはじめとして、魅力的な街がリヴィエラ(Liviera)海岸沿いに並んでいて、風光明媚なリゾート地として有名です。

リグーリア州のワインについて

陸路では行き来ができないほどの断崖絶壁が続く5つの村チンクエッテッレでは、硬い岩盤に石垣を築いた痩せた畑でブドウを栽培してきました。と

ころが、畑が狭く、栽培から収穫まですべて人の手による作業でしかできない厳しい条件でのブドウ栽培に、近年では、次々と畑を放棄する農家が続出していました。

特にこの地方独特の陰干しした甘口ワインのシャッケトラは、手間暇もかかるために生産者が減る一方でしたが、スローフード協会の保護の対象に指定されて、最近ではいろいろな支援策が取られています。

生産されているブドウ品種

海に面した急斜面でのブドウ栽培という特殊な条件に適したブドウ品種として、ボスコ種、アルバローラ種、ピガート種、ロッセーラ種などがあげられます。

また、リグーリアはトスカーナ州に続く海岸沿いであるため、トスカーナ州同様、ヴェルメンティーノ種やサン・ジョヴェーゼ種、チリエージョーロ種なども多く栽培されています。

  •  ロッセーラ
  •  ボスコ
  •  アルバローラ
  •  アリカンテ
  •  ヴェルメンティーノ
  •  ビアンケッタ・ジェノヴェーゼ

リグーリア州のテロワールについて

海と山にはさまれた細長い形をしたリグーリア州は、山岳部65%、丘陵部が35%を占めています。

最大45度にもなる急斜面に、ブドウやオリーブの木がだんだん畑のような形で栽培されているのがリグーリア州の特徴的な風景です。

土壌の構成は、西側は石灰質が多くミネラル分が特徴的です。東側に行くと砂質や粘土質が入り混じっているところも多くみられますが、チンクエテッレの畑では、岩盤を砕いて作りだした畑なので、砂質のみです。

アルプス山脈にも近いにもかかわらず、北側の山が寒さを遮り、南側が海に面しているために温暖な地中海性気候です。リベラッチョと呼ばれるこの地方独特の温かい強い風や、シロッコと呼ばれるアフリカからの暑い風など、湿った海風が常に吹き付けてくるために、独特のテノワールか生まれます。

リグーリア州の格付けについて

州の面積も小さくワインの生産量も少ないリグーリア州では、これまで州内で消費されるワインがほとんどで、格付けのワインも、DOCが8つとIGTが4つです。

総生産量の約79%がDOCワイン、約9%がIGTワインで占められています。

リグーリア州の主な産地

世界遺産に指定されている断崖のチンクエテッレや、トスカーナ州へと続くコッリ・ディ・ルーニ(Colli di Luni)などの東側が主な生産地として有名です。

ジェノヴァの東側の大部分ではリヴィエラ・リーグレ・ポネンテを生産しています。

  • チンクエテッレ:世界遺産にも指定されている断崖に作られたブドウ畑として世界的に有名。
  •  コッリ・ディ・ルーニ:ヴェルメンティーノの白とサンジョヴェーゼの赤

リグーリア州の生産量

リグーリア州は、イタリア20州の中でヴァッレ・ダオスタ州に次いでワインの生産量が少ない州で、2017年も52ヘクトリットルの生産量です。天候の不順により生産量が前年比25%減少で、過去10年間の平均でも、約24%の減少でした。

生産量が少ないため、これまで主に地元用として消費されることの多かったリグーリアワインですが、2017年は輸出額が13.4百万ユーロの売り上げでした。イタリアの他の州に比べれば、量は少ないですが、増加率が53.8%と飛躍的に伸びています。

またリグーリア州のワイン事業者の数が、2016年に比べて2017年は8.3%も増加していて、イタリア国内での伸び率が一番でした。国内平均が0.3%の増加という数字と比較しても、リグーリアワインが活性化していることがうかがえます。

リグーリア州のワインの歴史

古代から中世

ブドウの栽培をリグーリア州にもたらしたのは、古代ギリシアの商人たちだったと言われます。その後、古代ローマによって征服された後、ブドウ栽培の技術が進歩します。天然の良港だったジェノヴァを中心に海運業が発達し交易が盛んになると、良質なワインも多く作られます。

古代ローマ帝国の崩壊後、ブドウ畑は破壊され、中世にかけてブドウ栽培は影を潜めます。

ルネッサンス以降

ジェノヴァ共和国の発展に伴って、ブドウの栽培も復活し、1400年ころにはチンクエ・テッレやリヴィエラ・ディ・ポネンテなどのワインがイタリアでも美味しいワインとして名を馳せます。

1600年代にはイタリアのみならずスペインでも珍重され、リグーリアのワインは、ジェノヴァ共和国とともに繁栄を極めました。

近代~20世紀

ジェノヴァ共和国の衰退のあと、当時の需要に合わせて、オリーブや柑橘類に農業の中心が移り、この地方ではブドウの木の緑があふれているというほど、ブドウの栽培はすたれていきました。さらにその後、この地方も、フィロキセラなどによる大きな被害を受けました。

1960年代になってから、リグーリアの独特な環境で作られるワインの再評価が始まり、放置されてしまった畑の復活にも力を入れています

リグーリア州で特に有名なワイン

リグーリア州では、生産量も少なく地産消費がメインですが、魚料理に合う独特なテノワールの白ワインが人気です。

コッリ・ディ・ルーニ・ヴェルメンティーノ・コスタ・マリーナ(オッタヴィアーノ・ランブルスキ)

農学博士でもあるオッタヴィアーノ氏が息子のファビオと一緒に、伝統と最新技術を統合して作り出すヴェルメンティーノは、これまで、あまり有名でなかったこの地方のワインの評判を高め、ガンベロ・ロッソなどでも高い評価を受けています。またイタリアの有名な醸造家アンジェロ・ガヤ氏が飲むヴェルメンティーノとしても有名です。

チンクエ・テッレ・シャケットラ(カンティーナ・チンクエ・テッレ

厳しい生産条件のために少ない生産量のチンクエ・テッレのブドウの中から、さらに良質なもののみを70日以上陰干しして作られる希少な甘口ワイン。絶滅が危惧されたほどですが、現在300人ほどの組合員で構成されている協同組合で、世界遺産を守るために情熱をもって作られています。

ロッセーゼ・ドルチェアクア(マッカーリオ・ドリンゲンベルグ)

リグーリア州で最初にDOCを獲得したロッセーゼ・ドルチェアクアは、フランスとの境をなすリグーリア州の最西端で作られています。切り立った崖の上に立つ畑は複雑な土壌構成で、強い太陽の日差しをたっぷり受けて育ったブドウから、端正にすべて手作業で作られています。

このワイナリーは、リグーリアワインのもつ特徴的な魅力を積極的にアピールし、日本をはじめアメリカや海外へも積極的に輸出をし好評を博しています。

まとめ

ワイン造りには定評のあるピエモンテ州とトスカーナ州、そしてフランスに囲まれたリグーリア州では、海と山にはさまれて平地がほとんどないにもかかわらず、急斜面の狭い土地でブドウを栽培してきました。

機会を使えず、すべてが手作業という厳しい労働条件のなか、ワイン造りへの強い情熱をもって生み出されてきたリグーリアのワインの独特のテノワールが、最近特に再評価されています。

厳しい断崖絶壁のブドウ畑チンクエテッレも、世界遺産に登録されたことで注目を集め、日本でも最近は手に入るようになっています。ブドウ造りの熱い思いがこもったワインのさらなる発展が期待されます。