フリウリ・ヴェネッチア・ジュリア州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.19 公開 | 2018.07.19 更新

イタリア半島の付け根、右端に位置するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア(FRIULI VENEZIA GIULIA)州は、西はヴェネト州、北にオーストリア、東にスロベニアと国境をなしています。州都はアドリア海に面したトリエステ(TRIESTE)です。

北にはアルプス山脈があり、南にはアドリア海に面している自然豊かなフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、白ワインの聖地ともよばれるほど、良質な白ワインを生産しています。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のワインについて

今イタリアのレストランで、一番取り扱いが多いワインは、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州産だといわれています。特にリボッラ・ジャッラがブームになっていて、トレンディなワインバーには必ず一本は置いてあるとも言われるほど人気です。

世界的にブームを巻き起こしているプロセッコは、ヴェネト州だけではなく、隣接するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州全体で、プロセッコの約20%が作られています。プロセッコの人気にこたえるために、2020年までにこの州でも新たに222ヘクタールの畑がプロセッコDOCのグレラ種を栽培する畑として認められることになりました。

生産されているブドウ品種

この地方には、ヴェルドゥッゾ・フリウラーノ、ピコリット、レフォルスコ・ダル・ペドルンコロ・ロッソ、スキオペッティーノなど豊富な土着品種が数多くあり、13世紀ころからリボッラ・ジャッラやマルヴァージア・イストリアーナなどの品種も栽培されています。

また、ハプスブルグ家の支配下にあった19世紀にシャルドネなどの国際品種が導入されたほか、ゲウェルツトラミネールなどの寒さに強い品種も多く栽培されています。

この地方の伝統的に栽培されてきたトカイ(TOCAI)というブドウ品種があります。ところが、EUの原産地呼称制度で保護されているハンガリーのトカイ(TOKAJ)ワインと同じ名称なために、2007年よりトカイという名称を名乗ることができなくなりました。現在では「フリウラーノ種」という名称で栽培しています。

  •  フリウラーノ
  •  ヴェルドゥッゾ・フリウラーノ
  •  リボッラ・ジャッラ
  •  グレラ
  •  ピノグリッジオ
  •  シャルドネ
  •  メルロー
  •  ゲウェルツトラミネール

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のテロワールについて

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、北側がカルニック・アルプス山脈や(Carnic Alps)ジュリア・アルプス山脈(Jiulian Alps)などの高い山が連なる山岳部で全体の42.6%、南のアドリア海に面した一帯が平野で約38.1%、そして、その間が丘陵地で約19.3%を占めています。そのため同じ州の中でも、場所によって気候がかなり違います。

山岳地方は寒さが厳しいために、ブドウの栽培には厳しい条件ですが、中南部は、アルプスからの冷たい風と、海からの温かい風が交差するために、ブドウの栽培に最適な気候条件が揃っています。

丘陵地帯

スロベニアとの国境をなす丘陵部は、気候がブドウの栽培に適しているうえに、ボンカと呼ばれる古代に形成された厚い海成層でできていて、石灰質の砂岩や泥岩の層が肥沃な大地を形成しています。またマールや海由来の豊富なシルトや粘土や砂なども合わさり、複雑な土壌構成をしています。

背後にそびえる高い山の気候と海洋性の気候が入り混ざることでも、ブドウの成熟に最適な条件を生み出されます。特に白ワインはミネラル分が豊富でしっかりした構造で、エレガントな香りが特徴的です。

平野部

平野部の中でも北のアルプスに近い側では、古代には氷河だった土壌を持ち、気候もブドウの栽培に適しています。海側に面した地帯は、砂質と粘土質の混ざった土壌をしていて、良質な赤ワインが作られています。

スロヴェニアの国境に近い平野は、鉄分の豊富な砂質の土壌で、白ワインに適しています。アドリア海沿岸近くは「カルストの大地」と呼ばれる石灰岩の土壌と強い風が吹くことが特徴的で温暖湿潤気候です。土着の強い品種を中心に香りのよい高品質なワインが作られています。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の格付けについて

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州。DOCGが4つ、 DOCが12、 IGTが3つあります。
総生産量の約43,1%がDOCGとDOCワイン、約46.5%がIGTワインで、全体の約90%が格付けワインで占められています。

DOCコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリは、20の単一品種のワインと数種類の品種を混合した赤、白、ロゼワインがあります。その中でも、チャッラ(CIALLA)地区で作られるピコリット100%のワインは、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ・ピコリット・チャッラという名称で、DOCGです。

DOC フリウリ・イゾンツォやDOCフリウリ・アクイレイアなどのDOCも、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ同様に、それぞれ多くの単一品種と混合品種のワインがあるので、合わせて多くの種類のDOCワインがあります。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の主な産地

様々な土壌や気候条件を有しているうえに、多くの土着のブドウ品種と国際的な品種を用いてその土地特有の個性的なワイン造りを行っているフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、大きく3つの産地に分けることができます。

最も有名なのはスロベニアとの国境に沿った丘陵地帯で、DOCコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリのほか、DOCGのラマンドロとピコリットなど、古くから良質のワインの産地として知られていました。

同じくスロベニアとの国境に近いカルーソ(CARUSO)平野は、国際的な品種と特徴的な土着のブドウ品種を組み合わせた個性的なワインを作っています。

また州の西側から中央にかけての平野部、ポルデノーネ(PORDENONE)県からウディネ(UDINE)県の一部にわたる大部分では、メルローやシャルドネなどを使ったフリウラーノ・グラーヴェなどの日常的な気軽なワインを大量に生産しています。

  • コッリ、コッリ・オリエンターリ:ワイン造りに最も適した丘陵地帯にある銘醸地
  • カルーソ:州都トリエステがあるスロベニア国境に近い平野部

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の生産量

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、2017年の悪天候の影響のため1,643ヘクトリットルの生産量で、前年比に比べ11%減少していますが、イタリアの他の地域に比べると、一番減少が少なく、過去10年間の平均値と比べても24%も増加しています。

輸出額も2007年からの10年間で40%も増加するほど、順調な伸びを示しています。アメリカ合衆国、ドイツ、イギリス市場を中心に、137.8百万ユーロもの輸出額を記録しました。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のワインの歴史

古代ローマ時代から中世

古代ローマ時代の名将ユリウス・カエサルによって作られた町フォーラム・ジュリー(FORUM JULII)が、フリウリの名前の起源だというくらい、当時大きく発展した地方です。帝国時代、アクレイア(AQUILEIA)が首都機能を務めた時期があったほど、重要な地点でした。

そのためワイン造りも、古代ローマ時代に高い水準のワインを作るようになりました。特にスロベニア国境近くの日当たりのよい丘陵地帯、コッリ・オリエンターリを中心として、ブドウの栽培が盛んにおこなわれていました。

その後、異民族が入れ替わり支配する中世の時代になるとブドウの栽培は衰退しま   したが、それでも修道院ではワインが作られ続け、中世の終わりころになると、北ヨーロッパへ販売するようになりました。

中世から近代

近隣の多くの地方とともに、ヴェネツィア共和国の支配下にはいり、その繁栄のもとにワイン造りも盛んに続けられます。様々な民族が交差する通過点という地理的な条件のために、さまざまなブドウの品種が運ばれてきました。

近代~20世紀

ヴェネツィア共和国のあと、オーストリアの支配下にはいり、メルローやシャルドネといった国際的なブドウの品種の栽培を始めるようになります。また、1800年代の終わりにフィロキセラなどによる大きな被害を受けました。

1960年代になってから、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州でも、量より質の高いワイン造りを重視するようになりました。自由な発想でさまざまな試行錯誤を重ねた結果、その個性的な高品質のワインが高く評価されています。

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で特に有名なワイン

赤ワインも高品質のものがありますが、白ワインの聖地とも呼ばれるほど、さまざまなブドウ品種を用いた特徴的な白ワインが人気です。

コッリオ・ピノ・ビアンコ(スキオペット)

コッリオ地区にある22ヘクタールの畑で1965年にワイン造りを始めた前オーナーのマリオ・スキオペットは、白ワインの聖地とよばれるほどフリウリ地方のワインの品質を向上させた伝説の人物。

ドイツで学んだ醸造技術をもとに創り出された新しい独自のスタイルのワインは、1970年代にイタリア国内外で大きな反響を呼びました。ピノ・ビアンコ100%で作られる彼の代表的なワインです。

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コッリオ・ロンコ・デッラ・キエーザ(ボルゴ・デル・ティーリオ)

ハンガリーとの名称使用紛争で逆に有名になった感のあるトカイワイン。現在は「トカイ」との名称使用が禁止されていますが、貴腐ワインと呼ばれる甘口ワインを作るハンガリーのトカイとは違い、(トカイ)フリウラーノ種はソーヴィニオン系のブドウの品種です。伝統的にこの地方で親しまれてきたトカイに関する熱い思いと情熱を込めて作られた傑作です。

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リボッラ・ジャッラ(ラディコン)

化学肥料を一切使用しない究極のナチュラルワインの作り手として有名なスタニスラオ・ラディコン。白ブドウを赤ワインのように皮と一緒にマセラシオンした後に、大樽で熟成することによってできる複雑な味わいのいわゆるオレンジワインです。新しい自然派ワインの流れを生み出しました。

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まとめ

東側のスロベニアの国境をなす丘陵地帯を中心に、最高品質の白ワインを算出しているフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州。歴史的にいろんな民族が入り混じり、現在もオーストリアとスロベニアと国境を接しているだけあって、ワイン造りも他のイタリアの地方とは全く異なる自由な気風です。

試行錯誤のうえに、特徴的な味わいを持つ多くの土着品種や国際品種を自由に組み合わせた魅力的な白ワインは、イタリア国内外で高く評価されています。