サヴォワワインの特徴、当たり年やおすすめワインまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.08.15 公開 | 2018.09.11 更新

今回紹介するワイン産地は、フランス東部の「サヴォワ地方」です。

栽培面積や生産量が少ないため知名度は高くありませんが、テロワールをダイレクトに感じられるクリアさがありつつも、個性的なワインがつくられています。

サヴォワ地方の独特のブドウ品種やテロワール、歴史などを詳しく知っていき、ワインの世界を深く味わっていきましょう。

サヴォワ地方のワインについて

日本ではあまり知名度が高くないサヴォワ地方は、近くのワイン産地「ジュラ地方」とひとくくりにされることもしばしば。

しかし、そこにはひとまとめにはできない多様性やオリジナル性があります。

サヴォワ地方はフランスの南東部に位置し、すぐ隣にはスイスとイタリア、アルプス山脈の中ほどにある山岳地帯です。

ワイン産地としてはもちろん、モンブランやレマン湖などのリゾート地には多くの観光客が訪れますし、ラクレットチーズやサラミなどの産地でもあります。

サヴォワワインに関する大きな話題といえば、2015年から「クレマン・ド・サヴォワ」が新しくAOPに認定されたことが記憶に新しいです。

クレマン・ダルザスやクレマン・ド・ブルゴーニュなどに続く、フランス国内8番目のクレマン認定産地となりました。

生産されているブドウ品種

サヴォワ地方のワインはこの土地特有のブドウ品種によってつくられます。

ブルゴーニュ地方やローヌ地方と近いこともあり、一部ではピノ・ノワールやガメイ、シャルドネ、マルサンヌなどの品種が栽培されることも。

主に使われるブドウは、隣のスイスではおなじみの以下のような品種です。

  • モンドゥーズ
  •  ジャケール
  •  シャスラ
  •  アルテス

中でも、モンドゥーズという品種はサヴォワだけで栽培されています。

これらの品種を単一、またはブレンドして個性豊かなワインをつくるのがサヴォワ地方の特徴です。
<h3サヴォワ地方のテロワールについて

日本人にとってはあまりなじみのない地方ですが、ヨーロッパ一の透明度を誇る「アヌシー湖」や淡水魚の産地としても有名な「レマン湖」など、美しい緑と水源が広がります。

ほかにもヨーロッパ最高峰の「モンブラン」を有し、アルプス山脈周辺はスキーを楽しむ観光地としても有名です。

サヴォワ地方のワイン産地はレマン湖から流れるローヌ河、その南東部に流れるイーゼル河沿い、標高200~500mの高地に栄えています。

大陸性の気候によって夏は暑く冬は寒く、日照時間が十分にあり、標高が高いこともあって寒暖差が激しいです。

夏から秋にかけては雨が多いですが、水はけのよい大地がブドウの栽培を助けています。

ブドウの生産量こそ多くないものの、品質が高いブドウで独自性をうちだした個性的なワインがつくられているのです。

石灰岩をメインに、粘土石灰や砂岩、沖積土などが様々に混じり合っており、各地域ごとで違った土壌がみられます。

サヴォワ地方はブドウにとって厳しい地方でありながらも、土地をうまく利用したブドウ栽培と多様性に優れた土壌や気候によって、個性的なワインが生まれるのです。

サヴォワ地方のAOC(格付け)について

サヴォワ地方には、以下の格付けがあります。

  • セイセル
  • ヴァン・ド・サヴォワ
  • ルーセット・ド・サヴォワ
  • ビュジェイ

1942年にセイセルがサヴォワ地方ではじめてAOCに格付けされ、辛口の白ワインのみが格付けされています。

その後1948年にAOCクレピーが制定されましたが、2009年にヴァン・ド・サヴォワに統合され、姿を消しました。

セイセルには「AOCセイセル・ムスー」、ヴァン・ド・サヴォワには「AOCヴァン・ド・サヴォワ・ムスー」といった発泡性ワインの格付けも。

両者とも、瓶内二次発酵でつくられます。

ビュジェイは2009年に昇格した新しいAOCで、赤ワインと白ワイン、発泡性ワインをつくっています。

サヴォワ地方内の主な産地

北はレマン湖、南はサヴォワ地方の県庁所在地であるシャンベリー南部にまで広がるワイン産地は、大きく4つに分けられます。

● セイセル・・・クレピーから程近いジュネーヴから約40km南下したローヌ川流域
● ヴァン・ド・サヴォワ
● ルーセット・ド・サヴォワ

ヴァン・ド・サヴォワとルーセット・ド・サヴォワはほぼ同じ領域で、かつてのクレピーを含んだ産地。

北はレマン湖周辺から南はグルノーブル北部にまで、あちこちに点在しています。

サヴォワワインの生産量

サヴォワ地方でつくられるワインの約70%が白ワインで、赤ワインは20%、ロゼが6%、スパークリングが4%となっています。

栽培されているブドウ品種はジャケールが約半数を占めており、年間のワイン生産量はおよそ130,000ヘクトリットルです。

その全体から輸出されるのは5%程度で、そのほとんどは国内で消費されます。

値段の割に品質が高くおいしいワインが多いことから、地元民には欠かせないワインとなっているのです。

サヴォワワインの歴史

ブドウは最も古い植物のひとつとして知られており、紀元前5000年頃にはすでにワインが飲まれていたとの文献も存在します。

そんなワインがフランスに渡ったのは紀元1世紀前後。

ギリシャ人が現在のマルセイユにワインを持ち込み、ブドウの栽培がはじまったとされています。

紀元前2世紀以降になると、ワインは「キリストの血」とも言われるように、宗教と深く結びつきはじめました。

それからワインの製造や管理は修道院で行われるようになり、フランス各地でワイン造りが活発になったのです。

15世紀「サヴォワ公国」

現在はフランスの一部であるサヴォワ地方はかつて、15世紀に正式に立国した「サヴォワ公国」の支配下にあったのです。

現在のイタリア北部のピエモンテ州やヴァッレ・ダオスタ州、スイスのジュネーヴ、フランスのサヴォワ地方からニース周辺までの東部を含むサヴォワ公国は、

15~18世紀に至るまで統治を続けました。

サヴォワ地方は北ヨーロッパや西ヨーロッパとイタリアをつなぐ交通の場として、ローマ教皇と神聖ローマ皇帝を結ぶ連絡通路として重要視されていたのです。

それに伴って商業的にも大きく発展したサヴォワ地方はで、ワインの生産も活発化していきます。

フランス領になったことで衰退

サヴォワ地方でのワイン造りは16~18世紀にかけて活発化し、大きく発展しました。

しかし、19世紀にサヴォワ地方がフランス領になると、一気に衰退してしまいます。

それまでは各地への輸出品として重宝されていましたが、フランスに統合されたことで国内の有力なワイン産地と競争せざるを得なくなったのです。

苦戦を強いられたサヴォワワインは、19世紀のフィロキセラ病によってさらに苦しい状況に。

この頃にはヨーロッパ全土で戦争が活発化するので、サヴォワ地方のワイン造りは衰えていく一方でした。

18世紀には2万ヘクタールほどもあったブドウ畑は、現在ではおよそ2,500ヘクタールにまで減少しています。

サヴォワ地方で特に有名なワイン

日本ではほとんど見かけることがないサヴォワ地方のワインですが、現在では小規模で高い品質にこだわった生産者やビオディナミ製法でワインをつくる生産者などが増えています。

ここでは、サヴォワ地方でよく名前が上がるワインをチェックしてみましょう。

アルテス100%「ルーセット・ド・サヴォワ フランジー」

レマン湖のすぐ南でつくられたルーセット・ド・サヴォワの「フランジー」は、2003年に開催された先進国首脳会議「エヴィアン・サミット」で提供されました。

アルテス100%でつくられており、淡白な鶏や魚、チーズ料理との相性がいいです。

甘口ロゼ・スパークリング「ビュジェ・セルドン」

メトード・アンセストラルという製造法で、糖分や酵母を加えずにつくられたワインです。

アルコール度数が10%に満たないうえに、亜硫酸の添加をごく少量に留めるなどのこだわりで、やさしく控えめながらも自然らしさを感じる力強い印象があります。

ジャケール100%「ヴァン・ド・サヴォワ レ・アビーム」

発酵が終わった後にオリを取り除かないまま熟成を進める「シュール・リー製法」でつくられるワインです。

ステンレスタンクで発酵と熟成をさせるので、ブドウの味とテロワールをダイレクトに感じられる味わいに仕上がっています。

まとめ

サヴォワ地方はボルドーやブルゴーニュほどの規模はありませんが、テロワールを活かしたワイン造りが行われています。

近年ではジュラ地方と同じく、ビオディナミや減農薬、無農薬などの自然派にこだわった生産者が増えつつあるため、フランス国内でも注目される産地のひとつです。

日本ではサヴォワワインを飲む機会は少ないかもしれませんが、チャンスがあればぜひ、その豊かな自然を感じるワインを味わってみてください。