ボルドーワインの特徴、当たり年やおすすめワインまとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.09 公開 | 2018.09.11 更新

フランスの2大ワイン産地として知られるブルゴーニュ地方とボルドー地方。今回はフランス南西部に位置するボルドー地方について詳しく紹介します。

日本でも「ボルドー=ワイン」というイメージを持つ人は多いですが、その土地の特徴や歴史的背景を知っている人は多くないでしょう。

ワインは歴史に深い関わりがある伝統的な文化のひとつです。ボルドーワインの発展の背景や特徴を知ってこそ、より深くワインを楽しめるようになります。

ボルドーワインについて

ボルドーワインといえば、普段ワインを飲まない人でも名前を知っているくらい、世界的にも有名なワイン産地のひとつです。

ワインはフランスにとって重要な輸出産業のひとつであり、ボルドーは知名度や人気ともに世界から信頼されているブランドでもあります。

世界中で飲まれているボルドーワインですが、近年は不作のニュースが相次ぎました。

2016年の悪天候に続き、2017年に起こった霜による被害は大きく、その年の生産量は半分にまで落ち込むのではないかといわれたほどです。

生き残った貴重なぶどうを盗まれる事件が多発したり、ヘリコプターを飛ばして上空の温風を送り込んだりする様子は大きなニュースに。

その被害総額は過去25年で最大規模で、10~20億ユーロ(1,220億~2,500億円)とも言われています。

そのようなボルドーワインの近況を頭に入れつつ、まずはボルドーワインの特徴や地域について詳しくみていきましょう。

生産されているブドウ品種

ボルドーワインといえば、赤ワインが有名です。白ワインも生産されていますが、その割合はボルドーワイン全体のおよそ1割程度。

ボルドーでは赤ワインの生産が9割を占めており、いくつかのぶどう品種を混ぜてワインをつくる「アッサンブラージュ」という方法でつくられます。いわゆる「ブレンド」ですね。

フランスにはブルゴーニュ地方というボルドーと並ぶ大きなワイン産地がありますが、ブルゴーニュ地方ではひとつの品種だけでワインをつくることが多いです。

これがブルゴーニュとボルドーの大きな違いとなっています。

では、ボルドー地方でつくられているぶどう品種の例をあげてみましょう。

  •  メルロー
  •  カベルネ・ソーヴィニヨン
  •  カベルネ・フラン
  •  ソーヴィニヨン・ブラン
  •  セミヨン
  •  ミュスカデル

このほかにも様々な品種がありますが、ボルドーワインを代表する品種といえば、赤白それぞれこれら3種類ずつの名前があげられます。

ボルドー地方のテロワールについて

ワインを知るにあたって欠かせないのが「テロワール」です。

テロワールとは、大地という意味を持つフランス語「terre(テール)」からきた言葉で、その土地の気候や土壌、地形などの特徴のことを指します。

ボルドー地方はフランスの南西部の海に面した土地で、港町として栄えました。

太平洋に面した海洋性気候によって冬は涼しく夏は暑くほどよく雨が降り、日照時間が長いことからぶどうがよく育ちます。

海からジロンド川が流れ込み、内陸に向かってガロンヌ川とドルドーニュ川に分かれ、川沿いの全体が大きなボルドーワイン産地となっているのです。

左岸の主な産地「メドック地区」

岸によって土壌が変わればぶどうの育ち具合や味が変化するので、同じ品種のぶどうでも育った場所によって味が変わります。

ガロンヌ川の左岸、有名シャトーで知られるメドック地区は丘陵地帯が目立ち、粘土質の土や砂利が混じった土が多いです。

このような土で育ったぶどうは色がしっかりと濃く、ボディ感があります。

右岸の主な産地「サンテミリオン地区」

ガロンヌ川の支流であるドルドーニュ川の右岸には、多くの格付けワインが生産されるサンテミリオン地区があります。

ドルドーニュ川沿いの土壌は場所によって色々な地質を持っており、石灰岩・粘土・砂利などが組み合わさったバラエティ豊かな土壌です。

この地区ではメルローが主につくられており、ふくよかさのある長期熟成に適したワインが多くつくられます。

ボルドー地方のAOC(格付け)について

フランスワインの特徴のひとつに「格付け」があります。

この格付け(等級)はワインの品質や管理などを厳しく定めた法律で、フランスワインの伝統や文化を守るために欠かせません。

格付けは大きく分けると、以下の3つに分けられます。

● AOC・・・最も品質がよいワイン、フランスワインの約5割
● ヴァン・ド・ペイ・・・フランスワインのおよそ2割
● ヴァン・ド・ターブル・・・フランスワインの1割程度

この格付けはワインの価格にも反映され、一番品質がよいとされるAOCは下の等級ワインよりも値段が高いです。

ヴァン・ド・ペイやヴァン・ド・ターブルになると手頃な値段で手に入るので、フランスの家庭でもよく飲まれます。

今回はボルドー地方での格付け(AOC)について見ていきます。

ブルゴーニュでは畑単位で格付けされますが、ボルドーワインはシャトー単位で格付けされるのが特徴です。

「シャトー(城)」とはボルドーワインの生産者のことを指し、ひとつのシャトーで複数のワイン畑を持っています。

そのため、ブルゴーニュのように畑単位で格付けをするのは難しかったのです。

ボルドーワインの格付け「AOC」メドック地区

メドック地区の格付けは1855年のパリ万博に合わせて、ソーテルヌと同時に決められたのがはじまりです。

1~5級に分けられ、第1級が最もすぐれたワイン(シャトー)に定められました。

「5大シャトー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

第1級には5つのシャトーがあり、ボルドーを代表する世界で最も有名なワインだといってもよいでしょう。

ボルドーワインの格付け「AOC」グラーヴ地区

メドック地区の南側、ガロンヌ川沿いに発展したグラーヴ地区は、メドック地区のワインが1~5級までわけられたのに対し、特選の格付けのみです。

合計で16のシャトーがあり、赤ワインのみ・白ワインのみ・赤白両方格付けされたシャトーがあります。

ボルドーワインの格付け「AOC」ソーテルヌ・バルザック地区

メドック地区の南東側に位置するソーテルヌ・バルザック地区のワインは、メドック地区のワインと共にパリ万博のために格付けされました。この地区は白ワインのみの格付けで、特別1級、第1級、第2級に分かれます。

ソーテルヌといえば、世界三大甘口ワインのひとつである「貴腐ワイン」が有名ですね。ソーテルヌ地区ではぶどうに貴腐菌が付着しやすく、甘口ワインのぶどうが育つ好条件になっています。

ボルドーワインの格付け「AOC」サンテミリオン地区

メドック地区と並ぶボルドーワインの有名どころといえばサンテミリオン地区。こちらはほかの地区と違い、10年ごとに格付けの見直しが行われているのが特徴です。

サンテミリオン地区はメドック地区よりもやや内陸のドルドーニュ川(右岸)に位置します。
格付けは第1特別級A、第1特別級B、特別級の3つです。

ボルドー地方内の主な産地

ボルドー地方といえども広く、地方内にはいくつかのワイン産地があり、それぞれの地域柄を活かしたワインづくりが行われています。

ボルドー地方の主なワイン産地は川沿いに栄え、かつてはその独特の地形から港町としても発展。

ボルドーワインが世界的に有名になったのも、ワインづくりに適した土地柄にくわえて港町として栄えた背景が大きいのです。

ボルドー地方のワイン産地は以下のような地区にわかれます。

  •  メドック地区:ジロンド川左岸、上流エリアを「オー・メドック」下流エリアを「メドック」と呼ぶ
  •  ブライ・ブール地区:ジロンド川を挟んだメドック地区の対岸に位置する、赤ワイン白ワインどちらも生産
  •  リブルネ地区(サンテミリオン・ポムロール地区):ドルドーニュ川右岸エリア、メドック地区に比べると小規模だが高品質な赤ワインが多い
  •  グラーヴ・ソーテルヌ地区:ガロンヌ川左岸エリア、ソーテルヌ地区ではセミヨン種をメインに貴腐ワインがつくられる
  • アントル・ド・メール地区:ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれている、辛口の白ワインを生産

ボルドーワインの生産量

フランスと言えば「ワイン」というイメージが強く、世界的にもかなり多くのワインをつくっているのではないかと思いますよね。

かつてはフランスが世界一のワイン生産量を誇っていましたが、近年ではイタリアが1位でフランスは2位となっています。

栽培面積はスペインが1位ですが、生産量はイタリアとフランスに続きスペインやアメリカ、オーストラリア、アルゼンチンやチリが上位に。

2017年は霜の被害が大きく、フランスのワイン生産量は戦後最低にまで落ち込みました。

ワインの生産量は下がったものの、品質がとても高く希少ですばらしいヴィンテージになるといわれています。

生産量が減り続けているフランスワインですが、それに伴って輸出額・輸出量ともに減少しつつあるのが現状です。

コニャックなどの蒸留酒は伸び続けていますが、高価なワインが多いフランスは安価なワインを生産するほかの国との競争せざるを得ません。

さらに、フランスワインの約6割が国内で消費されるので、輸出に対する生産量が追いついていないともいえます。

フランスの格付けワイン(AOC)の約4割をボルドーが占めており、ぶどうの栽培面積は約11万ヘクタール。

ボルドーでのワインの生産量は年間およそ530万ヘクトリットルで、フランス全体の1.5割を占めます。

ボルドーワインの歴史

今でこそフランスといえばワイン、ワインといえばボルドーと知られるようになりましたが、その歴史を知っている人は多くないのでは?

フランス全土にワインの産地がありますが、ボルドーでここまでワインづくりが盛んになったのには理由があるのです。

ここではフランスワインと、ワインにまつわるボルドーの歴史について詳しく解説します。

ローマ時代

ぶどうは最も古い植物のひとつで、その起源はメソポタミア文明にまでさかのぼります。

メソポタミア周辺では紀元前からワインがつくられており、エジプトやギリシャ、ローマを経てフランスに伝わりました。

現在のマルセイユあたりにはじめてワインが伝わったとされ、1~2世紀の間にボルドーとブルゴーニュに、その後ロワールやシャンパーニュにまでワイン製造が広がります。

ワインは大陸の南東からフランスに伝わり、南から北にかけて徐々に広がっていったのです。

15〜16世紀

その後、ワインはキリスト教との結びつきが強くなります。ミサ用のワインの需要が高まると修道院でもワインがつくられるようになり、ワインはキリストの血、神聖なものとしてヨーロッパ全土へ広がったのです。

その後ボルドーは、皇族の婚姻によってイギリス領になりました。

この変化によって英国へのワイン輸出が盛んになったことが、ボルドーワインの知名度や生産量を上げた理由になるのではないでしょうか。

また、ルネッサンスによる文明や宮廷文化の発展も、ワインの質を高めたり生産を盛んにしたりする要因となりました。

17世紀末にはガラス瓶につめてコルクで栓をしたワインがつくられるようになり、近くの国への輸出が増え、フランスワインの生産をさらに活発に。

意外なことに、メドック地区でのワイン栽培がはじまったのは17世紀頃だといわれています。それまではメドックよりも少し内陸でのワイン生産が盛んでした。

19世紀

重要な輸出先であったイギリスの船を迎える玄関だったボルドーの港町では、業者たちがボルドー産以外のワインが町に入ってこないように規制を厳しくします。

1855年には格付けが決められましたが、同じ頃に病気や害虫による被害が広がり、長い間フランスのワイン生産者たちを苦しめました。

加えて世界大戦などの不景気もあり、多くの不正や偽物が出回ってしまいます。そこでワイン法やAOCなどを制定し、品質と伝統を守る動きがはじまりました。

EUができてからは、2009年にできた新しいワイン法のもと、ボルドーワインというブランドを守り続けています。

ボルドー地方で特に有名なワイン

ボルドーには有名なワインがたくさんあります。ここでは、とくに「これは覚えておくべき!」という有名ワインを紹介します。

なかなか値が張るので、気軽に飲めるワインではありません。チャンスがあれば飲んでみたい憧れのワインといってもよいでしょう。

ボルドーの赤ワインといえば「5大シャトー」

ボルドーのメドック地区の第1級に格付けされたワインは5つのみで「5大シャトー」と呼ばれています。

  •  シャトー・ラフィット・ロートシルト
  •  シャトー・マルゴー
  •  シャトー・ラトゥール
  •  シャトー・オー・ブリオン
  •  シャトー・ムートン・ロートシルト

5大シャトーの内、1855年の格付けでトップと定められたのが「シャトー・ラフィット・ロートシルト」です。

ボルドーで最も希少な白ワイン「シャトー・オー・ブリオン・ブラン」

先ほどの5大シャトーで紹介したシャトー・オー・ブリオンがつくる白ワインは数が少なく、グラーヴ地方で最高の白ワインともいわれています。

シャトー・オー・ブリオン・ブランは東京ドームの約半分ほどの栽培面積しか持っていないことからも、その希少性がイメージできるのではないでしょうか。

セミヨンとソーヴィニヨン・ブランを半分ずつ混ぜたアッサンブラージュ(ブレンド)で、オーク樽で熟成させます。

世界的にも評価が高いシャトー・オー・ブリオン・ブランは、ボルドーを代表する白ワインとして有名です。

世界3大甘口ワインのひとつ「ソーテルヌ」

ボルドーというと赤ワインの印象が強いですが、貴腐ワインという世界的にも珍しいワインのの産地でもあります。

貴腐ワインはぶどうにボトリティス・シネレアという貴腐菌が付着することで水分が抜け、甘みが凝縮したぶどうを使ってつくるワインです。

驚くほどの甘さが特徴ですが、添加物を加えていない天然の甘さというのだからさらに驚き。

フランスではソーテルヌ地区の「シャトー・ディケム」が唯一の特1級に格付けされています。

ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」、ハンガリーの「トカイ」と並ぶ世界三大甘口ワイン(貴腐ワイン)として有名です。

まとめ

ワイン大国というイメージが強いフランスの中でも、とくに有名なワイン産地であるボルドー地方は歴史に左右されながらもワインの伝統を守ってきました。

  •  比較的おだやかでワインの栽培に適した風土
  •  川沿いに港町が栄えた独特の地形
  •  イギリス領となった歴史

ボルドーが一大ワイン産地となったこのような理由を知らずに、ボルドーワインについて語ることはできません。

ボルドー地方だけに限らず、ほかの地方のワインの歴史を知ることでワインの楽しみの幅が広がります。背景を知ってこそ、その味わいをより