タスマニア州のワインの特徴、おすすめワインの銘柄や当たり年まとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.02 公開 | 2018.07.02 更新

世界でもっとも水が美味しいと言われるタスマニア(Tasmania)は、オーストラリアのワイン産地としてもっとも小さな地域です。

しかし、そのワインの存在感は世界を驚かせるほどで、類まれなる繊細さと爽やかさを持っています。

島の東側に偏っているワイン産地やワイナリーなどについて詳しく見ていきたいと思います。

タスマニア州のワインについて

160軒ほどのワイナリーがあり、その半数以上の90ものワイナリーがセラードアを実施しているタスマニアでは、観光客の6人に1人はブドウ畑やワイナリーを訪ねており、ワインツーリズムとして人気のある土地です。

また、西側にはアフリカ大陸までほとんど人が住んでいないことから、空気や水、雨などが世界でもっともきれいな地域といわれています。

そんな環境のおかげで、タスマニアで生産されている果物や野菜は、そのきれいな自然を反映していて、ワインも気候と土壌、といったテロワールを感じることができるものが多い地域です。

生産されているブドウ品種

オーストラリアでもっとも南に位置するタスマニアは、冷涼な海洋性気候を持っているため、高品質なピノ・ノワールやシャルドネが多く生産されています。

ピノ・ノワールは、生産量の44%ほどを占め、エレガントでフローラルなアロマを持つ軽やかなものからミディアムボディのワインが楽しまれています。

また、シャルドネはエレガントで複雑味があり、きれいな酸味のあるワインが造られています。

これら2つのブドウは、タスマニアを代表するスパークリングワインにも使用されています。

近年では、冷涼な地域での栽培が向いているガメイ、ソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリ、リースリングやシルヴァーナー(シルヴァネル)なども生産量が増えてきています。

  •  ピノ・ノワール
  •  ガメイ
  •  シャルドネ
  •  ソーヴィニヨン・ブラン
  •  ピノ・グリ
  •  リースリング
  •  シルヴァーナー

タスマニア州のテロワールについて

オーストラリアのワイン産業において「小さな巨人」とされるタスマニアは、オーストラリアで一番小さなワイン産地でありながら、最高級ワインを生産する造り手の多い地域です。

タスマニアは、冷涼な海洋性気候で、オーストラリアの他の地域よりも全体として涼しいため、異なったスタイルのワインを生産しています。

「Roaring Forties」と呼ばれる南緯40〜50度にかけての海域から吹き付ける西側からの潮風によって、穏やかな春と夏、暖かい秋を迎え、ゆっくりとブドウが成熟していきます。

土壌は、古来の砂岩や泥岩、また川の堆積土や火山由来の火成岩を中心に、水はけがいいものになっています。

タスマニアの気候はフランス北部の気候にもよく似ていると言われており、高品質のピノ・ノワールやシャルドネ、スパークリングワインが生産されています。

タスマニア州内の主な産地

タスマニアでは5つの産地があります。それぞれについて紹介していきます。

テイマー・ヴァレー(Tamar Valley)の特徴

タスマニアのワイン産地の中心的存在であるテイマー・ヴァレーではタスマニアのワインの40%ほどが生産されています。

タスマニアの北部に位置するため、バス海峡から吹き付ける潮風が、ブドウ畑を冷やしてくれています。

北向きに位置する斜面に植えられたブドウは、バス海峡からの冷涼な風と日光を十分に浴びることで、きれいな酸を持つワインに仕上がります。

また、鉄分を多く含み、肥沃で水はけのいい土壌がベースになっています。

冷涼な地域で育ちやすいアロマティック品種の白ワインやピノ・ノワール、また瓶内二次発酵で生産されるスパークリングワインなどが生産されています。

パイパーズ・リバー(Pipers River)の特徴

テイマー・ヴァレーのお隣に位置するパイパーズ・リバーは、土壌や気候などをテイマー・ヴァレーと共有しています。

鉄分の多い火山性土壌を中心に、丘陵地に広がる畑は長い日照時間に恵まれ、北からの冷たい潮風によって穏やかな気候になっています。

フランス、シャンパーニュ地方の気候と似ているため良質なスパークリングワインを生産しています。

コール・リバー・ヴァレー(Coal River Valley)の特徴

比較的新しい産地であるコール・リバー・ヴァレーは、タスマニア島の南部に位置しています。タスマニアの州都ホバートから20分ほどの場所にあります。

コール・リバーに沿って造られたブドウ畑は、川の流れによってもたらされた有機物が存在しており、豊かな土壌になっています。

沖積土がベースにあり、粘土質砂岩や砂質土壌のため、水はけのいい産地です。

北西向きに植えられたブドウ畑は、日光を十分に浴び、潮風によって穏やかな気候となっています。降水量も少ない地域です。

他の産地と同様に、ピノ・ノワールやシャルドネを多く生産していますが、フレッシュで控えめなカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインで成功している生産者もいます。

ダーウェント・ヴァレー(Derwent Valley)の特徴

タスマニアの南部に位置するダーウェント・ヴァレーは、タスマン海の影響を受け、冷涼な海洋性気候です。

北向きに位置する傾斜でブドウを栽培しているため、日光を十分に取り入れることができています。

沖積土が全体を覆っていて、標高の高さによって土壌の質や気候が異なっているため、低い場所ではシャルドネを、中腹部分にはリースリングを、そして高層ではピノ・ノワールを栽培しています。

アメリカのオレゴンやニュージーランドのセントラル・オタゴに近い気候と言われています。

フオン・ヴァレー(Huon Valley)の特徴

タスマニアの州都ホバートの南西に位置するフオン・ヴァレーは、タスマニアでも小さなワインの産地で、2、30年ほど前まではリンゴの産地として有名な地域でした。

冷涼な海洋性気候ですが、冬には深刻な霜害が発生する可能性が高いため、リスクも大きいです。

石灰質沖積土をベースに灰色ローム層や粘土質土壌を持つため、水はけがよく、健全なブドウ畑になっています。

シャルドネやピノ・ノワール、ガメイといったエレガントでチャーミングなワインを生産しています。

  •  テイマー・ヴァレー(Tamar Valley):アロマティック品種やピノ・ノワールの産地。
  •  パイパーズ・リバー(Pipers River):良質なスパークリングワインの産地。
  •  コール・リバー・ヴァレー(Coal River Valley):フレッシュなカベルネ・ソーヴィニヨンの産地。
  •  ダーウェント・ヴァレー(Derwent Valley):ピノ・ノワールやシャルドネの産地。
  •  フオン・ヴァレー(Huon Valley):エレガントなピノ・ノワールやシャルドネ、ガメイの産地。

タスマニアワインの生産量

タスマニア州には、約1,800haの栽培面積があり、約1.3%の割合を占めています。

2017年には、11,000トンのブドウが収穫され、約800万リットルのワインが生産されています。全体の0.6%ほどの生産量です。

ブドウ品種別では、ピノ・ノワールが44%、シャルドネが23%、ソーヴィニヨン・ブランが12%、ピノ・グリが11%、リースリングが5%となっています。

生産本数の約35%は、スパークリングワインが生産されており、76%のものには、シャルドネが、45%のものにはピノ・ノワールが使用されています。

タスマニアでは45%のワインが消費され、47%がオーストラリア本土へ、残りの8%ほどが世界へ輸出されています。

輸出額は212万ドルで、輸出国1位はイギリス、2位は中国、カナダ、日本、フィンランドと続いており、オーストラリアの他の地域とは輸出国の構成が異なっているのも、面白いところです。

タスマニアワインのヴィンテージチャート

ヴィンテージチャート (赤ワイン)

年号 評価 年号 評価
1987 ★★ 2003 ★★
1988 ★★☆ 2004 ★★
1989 ★★ 2005 ★★★
1990 ★★☆ 2006 ★★☆
1991 ★★☆ 2007 ★★
1992 ★★☆ 2008 ★★
1993 ★★ 2009 ★★☆
1994 ★★☆ 2010 ★★☆
1995 ★★☆ 2011 ★★
1996 ★☆ 2012 ★★☆
1997 ★★☆ 2013 ★★☆
1998 ★★☆ 2014 ★★☆
1999 ★★☆ 2015 ★★☆
2000 ★★☆ 2016 ★★☆
2001 ★★☆ 2017 NT
2002 ★★☆ 2018 NT

ヴィンテージチャート (白ワイン)

年号 評価 年号 評価
1987 ★☆ 2003 ★★
1988 ★★☆ 2004 ★★☆
1989 ★★ 2005 ★★★
1990 ★★☆ 2006 ★★☆
1991 ★★☆ 2007 ★★
1992 ★★☆ 2008 ★★
1993 ★★☆ 2009 ★★☆
1994 ★★★ 2010 ★★☆
1995 ★★☆ 2011 ★★
1996 ★★ 2012 ★★☆
1997 ★★☆ 2013 ★★☆
1998 ★★☆ 2014 ★★☆
1999 ★★☆ 2015 ★★☆
2000 ★★☆ 2016 ★★☆
2001 ★★☆ 2017 NT
2002 ★★☆ 2018 NT

 

上記ヴィンテージチャートは当サイトが独自に算出したものです。評価は5段階で記載。「★=1」「☆=0.5」で、最高評価は「★★★」となります。ヴィンテージチャートの無断転載は固くお断り致します。

タスマニアワインの歴史

タスマニアで、ワインの生産が始まったのは、1823年頃のことです。イギリスからの移住者が、ブドウを植えました。

しかし、1852年にヴィクトリア州で起きたゴールドラッシュによって、ブドウを栽培していた者の多くは、金(きん)を追いかけてしまいます。

これにより、十分な労働人口がいなくなってしまったタスマニアのぶどう畑は、ゆっくりと荒廃していき、次第にリンゴの木へと植え替えられていきました。

同時に、タスマニアで多くの生産者が手がけていたフォーティファイド・ワインが生産禁止の法律が成立し、その後1世紀の間、変わることなくワイン産業は留まってしまいます。

再び、タスマニアでワイン産業が盛り上がるのは、1956年のこと。ジャン・ミュゲ(Jean Miguet)が、現在のプロヴィデンス・ヴィンヤードを立ち上げたのがきっかけでした。

現在、タスマニアは、冷涼地のピノ・ノワール、シャルドネやスパークリングワインの名産地として世界から評価されています。

タスマニア州で特に有名なワイン

タスマニアで有名なワイナリーの代表的なワインをご紹介します。

Devil’s Corner Chardonnay 2016

タスマニアで1,2を争うブランドのデヴィルズ・コーナーが紡ぎ出すタスマニアの自然を感じられるシャルドネ。

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Stefano Lubiana Primavera Pinot Noir 2016

タスマニアでのビオディナミ、オーガニックの先駆者であるステファノ・ルビアナが手がける愛らしいピノ・ノワール。

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Domaine A Petit ‘a’ Cabernet Sauvignon 2010

伝統と最新技術を活用しているドメーヌAのセカンドラベル、若いうちから親しみやすいワインです。

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まとめ

タスマニアの州都ホバートには、ガスワークス・セラードア(https://www.gasworkscellardoor.com.au/)という施設があり、毎日12種類のタスマニア産のワインをグラスで楽しむことができます。

しかし、タスマニアでは他の地域と同様、ブドウの木は150年ほど前に一度すべて引き抜かれてしまっています。そして、ワイン産業が再び盛り上がるのは、1950年代のこと。

わずか60年ほどで世界から注目される産地となり、また年々新しい産地ができているタスマニアのワインは、今後ますます発展していくことでしょう。