ニュー・サウス・ウェールズ州のワインの特徴、おすすめワインや当たり年まとめ

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.06.29 公開 | 2018.07.02 更新

オペラハウスで有名なシドニーを中心に広がるニュー・サウス・ウェールズ州は、オーストラリア最大の人口を有する世界都市です。

シドニーはオーストラリアワインの発祥の地でもあります。

ハンター・バレーのセミヨンやシラーズは、世界からも評価されているワインです。

オーストラリアワインの礎を築いたニュー・サウス・ウェールズのワインの魅力をひもといていきます。

ニュー・サウス・ウェールズ州のワインについて

オーストラリア全体では、32%ほどしかない家族経営のワイナリーですが、ニュー・サウス・ウェールズ州には、350軒ほどのワイナリーがあり、そのうちの約75%は家族経営となっています。

また、300軒近くのワイナリーは、セラードラを実施しており、気軽にワインを楽しむことができます。

オーガニック、とりわけビオディナミに力を入れる生産者が多いのもこの地域の特徴です。

生産されているブドウ品種

ニュー・サウス・ウェールズでもっとも多く栽培されているのはシラーズですが、この地域は多様な土壌と気候があるので、ブドウ品種もたくさんの品種が栽培されています。

この地域で有名なのはセミヨンです。ドライなスタイルのものから貴腐ブドウを使用した甘口ワインまで多様なワインが生産されています。

南部で標高の高い地区では、ピノ・ノワールやベルデーリョ、ソーヴィニヨン・ブランなどが栽培されています。

暖かい気候の地区では、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シャンブルサン、シャルドネといった品種を栽培しています。

  •  シラーズ
  •  ピノ・ノワール
  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  •  メルロー
  •  シャンブルサン
  •  セミヨン
  •  ベルデーリョ
  •  ソーヴィニヨン・ブラン
  •  シャルドネ

ニュー・サウス・ウェールズ州のテロワールについて

ニュー・サウス・ウェールズでのブドウ栽培は、ある種挑戦でもありました。ハンター・バレーやその他の地域では、干ばつや洪水が頻繁に起こっています。

また、湿度が高いことも問題で、カビなどの病害が多く発生してしまいます。

とりわけ、ハンター・バレーは暑く、降水量も多いため湿度も高いです。

しかし、石英を含む火山質や沖積土を中心に、粘土質土壌やローム質など多様な土壌が存在し、大陸性気候が中心ですが、標高が高いため、より冷涼な気候を楽しむことができます。

これらのテロワールの要素によって、マイナス面の多い条件下でも、より良いブドウの品質を求め、日夜努力を続けているのが、ニュー・サウス・ウェールズ州です。

ニュー・サウス・ウェールズ州内の主な産地

ニュー・サウス・ウェールズ州は大きく分けて7つの地域に分けることができます。それぞれについて紹介します。

ノーザン・スロープ(Northern Slopes)の特徴

2008年に生まれたもっとも新しい産地であるニュー・イングランドがあるノーザン・スロープは、標高300mから1400mまでの高さにブドウ畑が点在しています。

土壌は、沖積土や花崗岩、玄武岩などを含む黒土や砂質ローム層です。

雨の多くは、夏の後半から秋の初めころまでに降り、11月ころからは霜や雪が出てくるため、ブドウの収穫量が少なくなってしまうリスクがあります。

また、標高差が大きいため、低いところでは暑く、高いところでは冷涼な気候となっており、とりわけ標高の高い地域で造られるリースリングは、高品質なものが多いです。

ノーザン・リバー(Northern Rivers)の特徴

ヘイスティングズ・リバーを有すノーザン・リバーは、本来サーフポイントとして有名な地域で、ワイン産地としては小さいです。

この地域は、ハンター・バレーのように暑く、湿度も高いです。サイクロンなども発生する地域です。

土壌は、肥沃な沖積土や、火山質の赤土、砂質や黄土が表面を覆っており、砂利や石灰岩が下層にあります。

この地域は、ベルデーリョやシャンブルサンといった品種が有名です。

ビッグ・リバー(Big Rivers)の特徴

リベルナ、ペリクータなどの産地がある、ヴィクトリア州と隣接するビッグ・リバーは、ニュー・サウス・ウェールズ州で最大の産地で、約75%を生産しています。収穫率の高い地域で、多くはバルクワインとして仕込まれています。

大陸性気候が多くを占め、少ない降水量で暑く乾燥した地域です。粘土質ロームや石灰岩の荒石を含む土壌です。

シャルドネやシラーズ、貴腐菌の付着したブドウで栽培した甘口ワインの産地となっています。

セントラル・レンジズ(Central Ranges)の特徴

オレンジ、マジー、コウラといった産地が集まるのが、セントラル・レンジズです。

隣接するハンター・バレーのように暑い地域ですが、乾燥しています。また、冬から春にかけては冷涼で、霜が出るため、発芽が遅いです。

土壌は、砂質ロームから粘土質ロームが表土に広がり、赤土が下層にあります。

シラーズやシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンといった品種が栽培されています。

ハンター・バレー(Hunter Valley)の特徴

ニュー・サウス・ウェールズ州でもっとも有名な産地であるハンター・バレーは、暑く湿度が高く、また収穫期に雨が降ることも少なくありません。

しかし、海からの冷たい潮風が内陸部まで届き、午後には雲が広がることで、よりマイルドな気候となり、ブドウの成熟を促してくれます。

また、赤土やローム質の土壌がシラーズの栽培に、砂質の沖積土壌はドライスタイルのセミヨンの栽培に適しています。

サザン・ニュー・サウス・ウェールズ(Southern NSW)の特徴

オーストラリアの首都キャンベラを中心に広がるサザン・ニュー・サウス・ウェールズは、大陸性気候でとても暑く、ドライな日中ですが、夜は夏でも肌寒くなります。

春先の霜害が多いので注意が必要な地域でもあります。

土壌は、玄武岩や花崗岩などの基盤と、粘土質や赤ポドゾル土壌など多様です。

ローヌのシラーやコート・ロティのようなエレガントなシラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンを生産しています。

サウス・コースト(South Coast)の特徴

シドニーの南に位置するサウス・コースト地域は、穏やかな気候の土地です。

土壌は、玄武岩や赤土、頁岩といわれる粘土が固まってできた岩などが主成分となっています。これらの土壌は、ブドウに酸をもたらしてくれます。

ショールハーベン・コーストは、標高も低く、暖かい気候ですが、海の影響を多大に受けるため、穏やかになっています。シャンブルサンやシャルドネを多く栽培しています。

また、標高の高いサザン・ハイランドでは、より、ドライで冷涼な気候なので、ピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブランといった爽やかなブドウ品種が栽培されています。

  • ノーザン・スロープ(Northern Slopes):リースリングの産地。
  •  ノーザン・リバー(Northern Rivers):ベルデーリョやシャンブルサンの産地。
  •  ビッグ・リバー(Big Rivers):貴腐ブドウの甘口ワインの産地。
  •  セントラル・レンジズ(Central Ranges):シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンの産地。
  •  ハンター・バレー(Hunter Valley):シラーズやドライなセミヨンの産地。
  •  サザン・ニュー・サウス・ウェールズ(Southern NSW):エレガントなシラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンの産地。
  •  サウス・コースト(South Coast):シャンブルサンやピノ・ノワールの産地。

ニュー・サウス・ウェールズワインの生産量

ニュー・サウス・ウェールズ州には、40,000haのブドウ畑があり、全体の約29.6%を占めています。

2017年には、4,800万リットルのワインが生産されました。全体の約3.6%の生産量です。

ブドウ品種別に見ると、シラーズが19%、シャルドネが16%、セミヨンは13%となり、52%は様々なブドウが1〜3%ほどで栽培されています。

輸出額は5億ドルで、全体の19.5%を占めています。

輸出国は、1位がアメリカで約50%、ついでイギリス、カナダ、オランダとなっています。

ニュー・サウス・ウェールズアワインのヴィンテージチャート

ヴィンテージチャート (赤ワイン)

年号 評価 年号 評価
1987 ★★ 2003 ★★☆
1988 ★★ 2004 ★★
1989 ★★ 2005 ★★
1990 ★★ 2006 ★★☆
1991 ★★☆ 2007 ★★
1992 ★★ 2008 ★☆
1993 ★★☆ 2009 ★★☆
1994 ★★ 2010 ★★☆
1995 ★★ 2011 ★★☆
1996 ★★ 2012 ★☆
1997 ★★ 2013 ★★☆
1998 ★★☆ 2014 ★★☆
1999 ★★ 2015 ★★
2000 ★★ 2016 ★★☆
2001 ★★ 2017 NT
2002 ★★☆ 2018 NT

ヴィンテージチャート (白ワイン)

年号 評価 年号 評価
1987 ★★ 2003 ★★
1988 ★★ 2004 ★★
1989 ★★ 2005 ★★☆
1990 ★★ 2006 ★★☆
1991 ★★☆ 2007 ★★
1992 ★★ 2008 ★★
1993 ★★ 2009 ★★☆
1994 ★★ 2010 ★★
1995 ★★ 2011 ★★
1996 ★★☆ 2012 ★★
1997 ★★ 2013 ★★
1998 ★★☆ 2014 ★★☆
1999 ★★ 2015 ★★
2000 ★★ 2016 ★★☆
2001 ★★ 2017 NT
2002 ★★☆ 2018 NT

 

上記ヴィンテージチャートは当サイトが独自に算出したものです。評価は5段階で記載。「★=1」「☆=0.5」で、最高評価は「★★★」となります。ヴィンテージチャートの無断転載は固くお断り致します。

ニュー・サウス・ウェールズワインの歴史

オーストラリアのワインの歴史はここから始まりました。

その当時、イギリスの囚人のはけ口として使われていたのが、オーストラリアで、ニュー・サウス・ウェールズ州が約半数を受け入れていました。

1788年、第一陣の囚人が、イギリス人のアーサー・フィリップ初代総督とともに、ニュー・サウス・ウェールズ州に降り立ちました。アーサー・フィリップは、ブドウの挿し木を船に積み込み、シドニー近郊に植えました。

しかし、シドニーは降水量が多く、ブドウ栽培に不向きだったため、3年後にはシドニーの西側25kmのところにあるパラマッタ川沿いに1haほどのブドウ畑を造りました。

1795年には、最初のワインが生産されました、

1820年代には、オーストラリア国内の他の植民地に向けてワインが販売されるようになり、ハンター・バレー周辺にブドウ栽培が広まっていきました。

1828年、ジェームズ・バズビーはハンター・バレーにウィンダム・エステートを設立し、オーストラリアで最初の商業ワイン生産を始めました。

1852年、オーストラリア東部で、金鉱が見つかり労働者が鉱山に移りましたが、同時に人口増加が加速し、ワイン生産量も増加しました。

1875年には、フィロキセラというアブラムシの一種がオーストラリアでも観測され、ニュー・サウス・ウェールズ州の一部でも発見されています。

ニュー・サウス・ウェールズ州で特に有名なワイン

ニュー・サウス・ウェールズ州で有名なワイナリーのワインをご紹介します。

Tyrrell’s Wines Vat 9 Hunter Shiraz 2013

オーストラリア最大級のワイナリーであるティレルズ・ワインのシラーズです。バッキンガム宮殿の方々も楽しまれている品質のワインになっています。

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Small Forest Verdelho Upper Hunter 2016

アッパー・ハンターにて、2013年に日本人女性によって立ち上げられたワイナリーのべルデーリョ100%のピュアなワイン。

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Thomas Wines Braemore Semillon 2008

ハンター・バレーのトップのワイナリーとも言われるトーマス・ワインズのセミヨンは、人懐っこい印象のワインです。

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まとめ

ブドウ栽培の発祥の地として名を馳せたニュー・サウス・ウェールズ州が2番手の生産地になってしまったのは、19世紀末から20世紀にかけて消費者やイギリスの需要が、酒精強化ワインへと移り変わっていったことに対応できなかったことが原因でした。

しかし、そのおかげで現在も家族経営、小規模ワイナリーが数多く存在し、より品質の高いワインを生産するよう努力を続けている地域でもあります。

また、オーストラリアでもっとも新しいワイン産地ともっとも古いワイン産地が共存していることで、歴史に学び、それぞれの哲学を持っている生産者が多いです。

今後、ニュー・サウス・ウェールズ州のワインは人気を増していくことは間違いないでしょう。