オーストラリアワインの特徴や産地、有名なワインについて

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.06.29 公開 | 2018.07.02 更新

日本の21倍の面積を持ち、世界最小の大陸でもあるオーストラリア。南半球に位置するオーストラリアの歴史は未だ浅く、1770年にジェームズ・クックが上陸し、ニュー・サウス・ウェールズ植民地を発足したことがこの国の始まりです。

現在では、オーストラリアの豊かな自然や暖かい気候などにより観光客にも人気の国となり、同時にニューワールド(新世界)のワイン産地として上質なワインを生産する国としても評価を受けています。

オーストラリアワインの特徴

オーストラリアには、ワインの研究教育機関がいくつも存在しています。そのため、ワインメイカーやブドウ栽培家は、その研究結果や学術によって確立された新しい技術と伝統的な栽培と醸造を両立することができます。

また、伝統にしばられることなく、自由な発想とカスタマー視点でのワイン造りを実践しています。

そのため、1つの地域にしばられず、「マルチ・リージョナル・ブレンド」と言われる様々な土地のブドウをブレンドして生産するワインやオーストラリア独自の「ヴァラエタル・ブレンド」をおこなっており、新しい品種の積極的な採用や革新的なワインのスタイルを追求しています。

これにより、ブドウ栽培家やワインメイカーの人柄やテロワールを表現するワインが多く誕生しています。

また、スクリューキャップの導入を世界に先駆けて進めており、現在では90%以上のワインがスクリューキャップを使用しています。

オーストラリアワインの近況

年々人気が増加しているオーストラリアワインは、近年アジアでの需要を伸ばしています。

そんな中、アジアで一番のマーケットである中国で2017年、オーストラリアのペンフォールズを偽造したワインが14,000本押収されました。

押収されたワインの輸入業者は、中国でもトップクラスで、その規模の事件が発生したことに驚きが広がっています。

この裏には、中国でのワイン需要の急増とそれに追いつくことができない供給があります。

同時に、日本では2015年から日豪経済連携協定(EPA)によって、オーストラリアの対日本輸出品目の関税が撤廃、ないしは特恵税率になっています。

これにより、日本へのワイン輸出量はさらに増え、2021年までには完全に撤廃される見通しです。

世界5位のワイン輸出国であるオーストラリアは、今後拡大し続ける需要に答え、人気を博していくことでしょう。

生産されている主なブドウ品種

オーストラリアでの特徴的なブドウ品種は、シラーズです。フランスやその他ヨーロッパなどではシラーという名称で親しまれている品種ですが、オーストラリアのシラーズは、力強く、スパイシーでユーカリの香りが感じられるワインが生産されます。

シャルドネは、北部寄りの産地で生産されるものは、トロピカルでしっかりとした味わいのもの、南部、とりわけタスマニアでは果実味ときれいな酸のあるワインが生産されています。

近年は、オークを効かせた化粧っけのあるシャルドネよりも、アンオークドなナチュラルなニュアンスのワインが人気を集めています。

西オーストラリアのマクラーレン・ベールや南オーストラリアのクナワラでは、ボルドー系品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローが、ニュー・サウス・ウェールズのハンター・バレーでは、「ハンターセミヨン」という愛称を持つほど、セミヨン単一でのワインが生産されています。

クレアヴァレーやイーデンヴァレーのリースリング、タスマニアのピノ・ノワールやスパークリングワインなど、国際品種で世界レベルのワインが生産されている国でもあり、それら以外の新興品種などで100種以上のブドウが栽培されています。

  •  シラーズ
  •  カベルネ・ソーヴィニヨン
  •  メルロー
  •  ピノ・ノワール
  •  シャルドネ
  •  セミヨン
  •  リースリング

オーストラリアワインの生産量

広大な土地を持つオーストラリアには、約2,000軒のワイナリーがありますが、年々減少傾向にあります。栽培面積は13万5000haとなっています。これは世界の1.8%ほどで、フランスのボルドー地方ほどの栽培面積となっています。

収穫量は198万トンで前年比+8%の成長率です。ブドウ品種別にみると、30%がシラーズ、14%でシャルドネ、10%がカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローが5%、その後、それぞれ小さな割合でソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ピノ・グリ、ピノ・ノワールとつづいていきます。

2017年の生産量は、13億7000万リットルで、世界の約5%を生産しています。

オーストラリアで生産されるワインの60%ほどが輸出されており、8億1100万リットルが輸出され、輸出額は25億6000万AUS$でした。全世界の4%ほどを占めています。

輸出相手は、1位が中国で33%、2位がアメリカで18%、3位がイギリスで14%、その後カナダ、香港とつづいていきます。

オーストラリアの主な産地

オーストラリアには、大きく5つのワイン産地がありますが、世界で6番目に大きな国でもあるので、多様な気候と土壌に恵まれています。

これにより、産地によって栽培されているブドウ品種やワインのスタイルに多様性が生まれ、特色がそれぞれにあります。

西オーストラリア州

世界で最も美しい街「パース」を州都に持つ西オーストラリア州は、小規模ワイナリーの宝庫で、小さいながらも上質なワインを生産している地域です。
ボルドーに匹敵すると評価されている、マーガレット・リバーのカベルネ・ソーヴィニヨンを筆頭に、果実味豊かなシラーズや珍しいイタリアやスペイン系のブドウ品種を多く栽培しています。

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ニュー・サウス・ウェールズ州

シドニーを中心にオーストラリア最大の人口を有するニュー・サウス・ウェールズ州は、オーストラリアで最初にぶどうの栽培が始まった地です。
ハンター・バレーで生産されるセミヨンは、世界でも珍しく、また様々なスタイルで楽しむことができます。

→ニュー・サウス・ウェールズ州のワインの詳細はこちらのページへ

南オーストラリア州

オーストラリアのワインの首都として捉えられている南オーストラリア州は、世界から評価されているアデレード・ヒルズや、テラロッサという珍しい赤石灰土を持つクナワラなど、黒ブドウの栽培が63%ほどを占めています。
バロッサ・ヴァレーのシラーズ、クナワラのカベルネ・ソーヴィニヨン、アデレード・ヒルズのシャルドネ、イーデンヴァレー・クレアヴァレーのリースリングと世界に名を馳せているワインが多数存在しています。

→南オーストラリア州のワインの詳細はこちらのページへ

ヴィクトリア州

世界でもっとも住みやすい街として知られるメルボルンを中心に広がるヴィクトリア州のワイン産地は、より南部に位置するため、ピノ・ノワールやグレラといった冷涼な地域での栽培に向くブドウの割合が高いです。
また、フォーティファイド・ワインやデザートワインが有名で、ピノ・グリやマスカットの生産量も多い地域です。

→ヴィクトリア州のワインの詳細はこちらのページへ

タスマニア州

オーストラリアのワイン産地としてもっとも南に位置するタスマニア州は、他の地域と異なり、海洋性気候でもっとも冷涼な地域です。
そのため、酸の際立ったピノ・ノワールやシャルドネの産地として有名で、世界でも最高峰のスパークリングワインの産地でもあります。
冷涼な地域での栽培に向いているガメイやシルヴァーナーなども少量ですが栽培しています。

→タスマニア州のワインの詳細はこちらのページへ

オーストラリアワインの歴史

オーストラリアという国が興ったころ、イギリスからの囚人受け入れの地として利用されていたニュー・サウス・ウェールズに、南アフリカ・喜望峰を経由してきたアーサー・フィリップ率いる船体が訪れ、ブドウの木を持ち込みました。これが1788年のことです。

ファーム・コーブ(Farm Cove)と呼ばれるシドニーからほど近い地に植えられたブドウは、その高温多湿な気候に耐えきれず、ダメになってしまいました。

1800年代初頭、ジョン・マッカーサーはシドニーの南西50kmに位置するカムデン・パークにブドウを植えました。

これが、オーストラリアで最初の商業ワインの産業の始まりです。

ジョンは、ピノ・グリやフロンティニャン、グーエ、ベルデーリョ、カベルネ・ソーヴィニヨンといったブドウ品種を主に栽培し、1820年ころまでには貿易が盛んに行われていました。

1825年には、オーストラリアのワイン用ブドウ栽培の父と呼ばれるジェームズ・バズビーが、ニュー・サウス・ウェールズ州のハンター・バレーにブドウ畑とワイナリーを設立しました。

1847年ごろには、ドイツからの入植者によって、リースリングやグリューナー・フェルトリーナーといったドイツ系品種が南オーストラリア州のバロッサ・ヴァレーやイーデンヴァレーで栽培され始めました。

しかし、1875年。世界を席巻していたフィロキセラがオーストラリア、ヴィクトリア州に侵入し、一時ブドウ栽培の停滞を強いられるようになってしまいました。

同時に、国をあげてフィロキセラの拡散を防止したため、現在でもフィロキセラフリーの古木が存在している地域もあります。

今では、世界5位のワイン生産国となり、世界におけるワイン産業に欠かせない存在となりました。

そして、世界のブドウ栽培家やワインメイカーは、北半球でのワイン造りが落ち着いたタイミングで、オーストラリアに渡り、オーストラリアのワイン産業の行く末を側で見届け、参加していく人が増えていっています。

オーストラリアの食文化について

国でありながら、もっとも小さな大陸でもあるオーストラリアは、広大な土地があり、それぞれの地域で独自の食文化を形成してきました。

しかし、その土地の40%ほど、とりわけ内陸部は降水量が少なく、土壌の栄養分が少ないため、人の居住に適していない土地となっています。

そんな中、多くの街、とりわけビーチのある街で人気があるのが、フィッシュアンドチップス。イギリスからの文化で流入してきたフィッシュアンドチップスは、多くの場合白身魚を使用しています。

同時に、イギリスの食文化でもあるパイも、オーストラリアを代表する定番料理となっています。多くは、肉を入れたミートパイを楽しんでおり、ひき肉やごろっとしたお肉を煮込んだものをパイに詰め、焼き上げたものが人気です。

また、世界でも珍しいカンガルー肉やワニの肉などを楽しむことができるというのも、この国の独特な食文化でしょう。

特にカンガルー肉は、低タンパクで高カロリーがゆえに、女性からの支持を集めていますが、匂いにクセがあるので、好き嫌いは分かれやすいものです。

また、オーストラリアは世界でも最大の肉消費国であり、世界で6位の肥満大国でもあります。

そんなオーストラリアで、食文化が多様化し、様々な国の食事を楽しむことができるようになったのは、第2次世界大戦後のこと。オーストラリアのワインが徐々に世界に認められはじめたのと同じ時期でした。

オーストラリアでは、ニュージーランドと同じように「クリーンスキン」という格安のワインがスーパーなどに並んでおり、6$(約500円)前後で気軽にワインを楽しむことができます。

オーストラリアで特に有名なワイン

オーストラリアの世界での地位を築き上げたペンフォールズやヘンチキの代表的なワインと、現在世界でもっとも飲まれているワイナリーのひとつでもあるジェイコブス・クリークのワインをご紹介します。

Jacobs Creek “Wa“ White

オーストラリアでもっとも売れているワインのブランドであり、高品質なワインを驚くほど低価格で楽しむことができます。そんなジェイコブス・クリークが日本の和食のために醸造した白ワインです。

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BarrosaPenfolds Bin138 Shiraz Grenache Mataro

オーストラリアを代表するワイナリーであるペンフォールズのシラーズ主体のブレンドワイン。バロッサ・ヴァレーの古酒のようなニュアンスを持っています。

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Henschike Hill of Grace 2005

オーストラリアワインの最高峰であるヘンチキの最高級ワイン、ヒル・オブ・グレース。

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オーストラリアワインが楽しめるおすすめレストラン

日本に入ってくるオーストラリアワインは、約9億5000万本で、様々なレストランやワインバーで楽しむことができます。

その中でも、オーストラリアに特化したレストランやワインバーをご紹介します。

Arossa渋谷店

オーストラリアの名物でもあるカンガルー肉を楽しむことができるアロッサ渋谷店では、350種類以上のオーストラリアワインを楽しむことができます。

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Salt by Luke Mangan

丸の内に店舗を構えるソルトは、オーストラリアのスターシェフであるルーク・マンガンが、「オーストラリアの食材とワインを日本へ」をテーマに出店しました。常時300種類以上のオーストラリアワインを楽しむことができるレストランです。

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64 Barrack St.

虎ノ門にある64バラックストリートは、カジュアルにオーストラリアの食材とワインを楽しむことができるダイニングバーです。

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まとめ

オーストラリアは、比較的新しいワイン産地でありながら、世界へと存在感を示し続けています。

伝統と技術革新を両立しているオーストラリアのワインは、今後さらなる飛躍を遂げていくことでしょう。

同時に、健康志向の国民も増え、オーガニックやビオディナミでブドウ栽培やワイン生産を行う者も増えていっております。

現在は、上位20ほどのワイナリーが80%以上を生産している状況ですが、今後ブティックワイナリーや家族経営のワイナリーなどの中小規模の生産者のワインが増えていき、さらなる多様性に富んだワイン産地として注目を集めていくでしょう。