ワインの澱(オリ)の成分は?飲んでも平気なの?

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.09.03 公開 | 2019.09.20 更新

ワインを注ぐ

美味しそうなワインを購入して、飲もうと思ったら何やら沈殿物が入っていてビックリした事はありませんか?

実は「澱(おり)」と呼ばれる物で不良品ではないのです。知らないと驚いてしまうワインの澱についてと、その対処法について解説していきます。

ワインの澱とは

主に、長期熟成された赤ワインによくでき、瓶の底やコルクの接地面に黒っぽい破片のような物があれば、それがワインの澱です。

木くずやお茶のカスのように固まっている場合もあれば、砂のようにワインの中を舞っている場合もあります。

最も澱ができやすいのは赤ワインですが、まれに白ワインにも澱が発生します。ポートワインやマディラワインといった酒精強化ワインにも、澱が発生する事もあります。

また澱とよく似た物に「酒石」と呼ばれる物があります。こちらはクリスタルの破片のような結晶体です。

どちらにしても、品質に問題があるわけではなく、あって当然と言われる物です。

他の飲み物と違い、ワインは瓶詰めした後も熟成が進んでいきます。その過程でワインに含まれる成分の一部が凝固し、澱や酒石になります。

澱に含まれる成分

主な成分は苦味成分のタンニンやカテキン、色素成分のアントシアニンです。

これらは全て植物由来のポリフェノールで、ワインに元々含まれていた物なので危険はありません。

飲んでも平気なの?

澱はワインの中の一部が凝固した物なので、飲んでも問題はありません。しかし、苦味成分のタンニンやカテキンを多く含むので美味しくはありません。

ザラリとした食感も不快感につながるので、なるべく後述するワインの飲み方で澱は口にしないほうが賢明です。

澱の量について

澱が少ないワインもあれば、多いワインもあります。一概に「このワインは澱が多い」とは言えませんが、系統として多くなりやすいワインの種類を解説していきます。

澱の多いブドウ品種

澱の主な成分はタンニンやアントシアニンなどのポリフェノールです。このポリフェノールを多く含んだブドウ品種で作られたワインは、比較的に澱が発生しやすいワインと言えるでしょう。

代表的なブドウ品種から、ポリフェノールを多く含む品種は以下の通りです。

  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  • メルロー
  • マルベック
  • シラー
  • テンプラリーニョ
  • ネッビオーロ

これ以外にも、ワインのブドウ品種は数多くあります。全ての品種のポリフェノール量を比較するのは難しいので、味わいからポリフェノールの量を予想すれば、大きな間違いはありません。

赤ワインにはフルボディ、ミディアム、ライトと表記がありますが、この中でフルボディに使われるブドウ品種は、澱が多い傾向です。

反対に、日本の代表的ブドウ品種「マスカットベリーA」はライトボディがほとんどです。ライトボディでよく使われるブドウ品種のワインは、澱が発生しにくいと言えます。

熟成期間による澱の量

熟成期間が長ければ長いほど、澱はできやすいと考えて間違いはありません。ワインの世界では1年や2年の熟成は「若飲み」と言われ、このタイプのワインに澱ができるのは稀です。

一つの目安としては、10年以上熟成された赤ワインの場合は、飲む前に檻があるかどうかを必ず確認したほうが良いでしょう。

醸造方法の違いによる澱の量

瓶の中に沈殿したワインの成分が澱ですが、この澱は醸造中にもできています。通常の醸造過程では樽貯蔵の後に「澱引き(おりびき)」と呼ばれる澱を除去する行程が入ります。

さらにこの後、濾過装置にかけるとワインの透明度は増し、澱もできにくくなります。しかし濾過し過ぎるとワインの風味も弱くなるため、どこまで濾過するかは醸造者によって変わります。

近年は濾過技術が進み、ポリフェノールのある特定した種類のみを濾過できるような技術もあります。

これとは真逆に「ビオワイン」または「自然派ワイン」と呼ばれるワインでは無濾過(ノン・フィルター)にこだわる生産者もいます。

この場合は若いワインでも、どっさり檻が残っていたり、あえて澱を残していたりします。

近年の赤ワインは醸造方法によって澱の量が大きく変わるので、ブドウ品種や熟成期間だけで判断しないようにしましょう。

澱があるワインの飲み方

澱があるワインを飲む時には、どうやって澱を入れずにワインだけをグラスに注ぐか?という所が肝心です。

いくつかの方法があるので、紹介します。

事前に立てて澱を沈めておく

基本的な方法としては、数日前からワインの瓶を立てておきます。澱が沈殿したら、それを崩さないように静かにグラスに注ぎます。

元々、ワイン瓶の底には窪みがあり、この窪みはワインを注ぐ時に沈殿物が舞い上がらないようにする為でもあるのです。

デキャンタージュで澱を取る

澱を底に沈めても、グラスに注ぐために横にする動作を何回も繰り返せば、澱はワインの中に舞っていきます。

それを防止するためのワイン道具が「デキャンター」です。

ワインを移し替えるための瓶の事を「デキャンター」と言い、移し替える行為を「デキャンタージュ」と言います。

デキャンタージュのやり方

やり方は、利き手にワインを持ち、反対の手にデキャンターを持ちます。

持ち上げる高さは本人が作業しやすい高さで良いのですが、胸のやや下あたりに構えると腕が疲れにくくなります。

ワインの口のすぐ下にデキャンターの口を持っていき、澱が入らないように静かにデキャンターへ移して行きます。

この時、デキャンターは斜めにしてワインを受けます。瓶の縁を滑り落ちるような角度です。決して瓶の底にバシャバシャと落としてはいけません。

ワイン瓶のネック下あたりから、ロウソクや懐中電灯などで照らしてやると澱が見えやすくなります。

デキャンターはやり慣れていないと失敗するので、最初はワインの空き瓶に水を入れて練習するのが良いでしょう。

ワインバスケットを使う

通常はワインを立てて数日間沈殿させるのですが、なるべく動かしたくない場合もあります。

その時にあると便利なのは「ワインバスケット」、または「パニエ」と呼ばれるカゴです。

自宅のワインセラーなどで長期間に渡り保存したものは、寝かした瓶の下部に澱が溜まっています。これを立てると澱が舞ってしまうので、そのままそっとワインバスケットに移し、テーブルに出します。

グラスに注ぐときも、バスケットからは出しません。テーブルに置いたまま、カゴの後部を持ち上げて静かに注ぎます。

受けるワイングラスはデキャンタージュのように、斜めにすると受けやすいです。また、ワインバスケットに入れたワインは、テーブルの端に置いたほうが便利です。

瓶の口がテーブルより出た状態で注いだほうが、やりやすいのでおすすめです。

このワインバスケット(パニエ)も、初めて使う場合は事前に水などで練習しておいた方が無難です。

また抜栓がいつもと違い、斜めの状態で行うので注意です。

茶こしやコーヒーフィルターを使う

デキャンターやワインバスケットは慣れないうちは難しいので、ワイングラスに澱が入ることもしばしばあります。

その場合は、茶こしやコーヒーフィルターなどを使って澱を除去してもかまいません。

新しいワイングラスを用意して、茶こしを通してワインを移しましょう。大きな澱はこれでほとんど取れるはずです。

また、澱を入れないように注いでも、小さな澱はどうしても入ります。

小さな澱も気になってしまう場合には、コーヒーフィルターを通せば、かなり小さな澱でも除去できます。

紙のフィルターを通すので、ワインの風味にも影響してしまいますが、ワインの飲み方に決まりはありません。楽しく飲める方を優先したほうがお得です。

まとめ

ワインの澱について、解説してきました。ワインの澱は面倒な物ですが、澱ができる事によって渋みや苦味がマイルドになるという良い面もあります。

また、澱ができるワインはポリフェノールが豊かな証拠です。味わいも力強く豊かな可能性が高いとも言えます。

「澱があるワインは美味しい」とは言えませんが、澱はワインの味方のような物だと認識していたほうが、ワインの世界がより深く楽しめるでしょう。

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2019.09.23 更新

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