【ワインの温度管理】飲む時・保存する時の適温と劣化を防ぐコツ
2018.09.11 公開 | 2018.09.11 更新

私たち人間が気温によって風邪をひいたり、体調が悪くなるように、ワインも温度に左右されてしまう飲み物です。
そのため、ワインを保存するときや飲んで楽しむときには温度管理に気を付ける必要があります。
しかし、白ワインや赤ワイン、スパークリングワインと一言でいえども、味わいなどは様々です。
それぞれの特徴に合わせての温度管理について、詳しく考えていきたいと思います。
白ワインの温度管理
白ワインでは大きく分けて3つに分類できます。
まずは、高級白ワインなどで、樽を使っており、複雑味の強いもの。
次に、ソーヴィニョン・ブランやリースリングなどの、化粧っ気のない辛口白ワイン。
最後が、甘口の白ワインです。
これら、それぞれの飲む際の適切な温度が異なってきます。温度と味わいの関係を見ていきましょう。
飲む時の適温
高級白ワインなどの複雑な味わいや香りを持つもの、特に樽の要素を持っているものは、10度から16度程度で飲むのがベターです。
また、熟成期間が長いものも酸が落ち着いていることが多いので、高めの温度で飲むことで複雑さを味わうことができます。
樽のニュアンスを持つワインを冷やして飲むと、「硬く」感じてしまうことが多いです。
そのため、まろやかな味わいにするためにも、少し高めの温度がいいとされています。
化粧っ気のない辛口白ワインは、キレイな酸を持っていることが多いです。そのため、 6度から12度くらいの低い温度で楽しむのがいいです。
酸味は、温度が高いと不快感を覚えることが多く、低くすることで清涼感を感じることができます。
甘口白ワインは、糖分が多いため、6度から8度で楽しみたいです。
甘みは、温度が高いと強く感じられ、低いと抑えられます。
冷やした甘口ワインは、甘みが抑えられ、引き締まった印象を感じられるのです。
- コクのある白ワイン 10℃から16℃
- 辛口白ワイン 6℃から12℃
- 甘口白ワイン 6℃から8℃
保存する時の適温
中長期的にワインを保存する場合、適しているのは10度から15度がいいとされています。
ワインは、低温への温度変化へはダメージが少ないですが、20度以上の温度になると、熟成が進みすぎてしまう、もしくは酸化してしまう可能性が高くなります。
スパークリングワインの温度管理
スパークリングワインの味わいは大きく分けて2種類あります。
早飲みのスパークリングやガス注入方式などの比較的安価なものや熟成期間の短いもの。
そして、シャンパーニュに代表される熟成期間の長いものやヴィンテージの古いスパークリング。
それぞれで、適する温度は変わってきます。
飲む時の適温
比較的安価なスパークリングなどは、5度から8度くらいの冷えた状態で飲むのがオススメです。
冷やすことで泡が抜けにくくなり、スパークリングワインの特徴を長く楽しむことができます。
シャンパーニュなどの熟成期間が長いものなどは、複雑で上品な泡を持っているので、8度から12度程度の少し高めの温度で楽しむのがオススメです。
- 安価スパークリング 5℃から8℃
- シャンパーニュ 8℃から12℃
保存する時の適温
スパークリングワインも白ワインと同様で、中長期的にワインを保存する場合は10度から12度がいいとされています。
特に、シャンパーニュなどは繊細なワインですので、冷暗所でボトルを横にして保存するのがいいでしょう。
1年程度の保存であれば、冷蔵庫の野菜室に、新聞紙を巻いたボトルを入れておいても問題ありません。
赤ワインの温度管理
赤ワインは大きく3つに分けることができます。
まずは、ガメイやマスカット・ベーリーAといったボージョレ・ヌーボーなどに代表される軽やかで早飲み向けに生産されるもの。
そして、ピノ・ノワールやガメイ、サンジョベーゼなどで生産された比較的若いワイン。
最後が、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどの重厚な味わいになる品種のワインや、上質で古いヴィンテージの赤ワインです。
飲む時の適温
軽やかで早飲み向けのワインやロゼワインなどはなるべく低めの10度から13度で楽しむことで、若いワインに特有の酸味が穏やかに感じられます。
ピノ・ノワールなどで生産されるワインは、もう少し高めの温度で14度から16度。
穏やかなタンニンとキレイな酸味を併せ持つワインでは、このくらいの温度で楽しむことで、フルーティーでありながらタンニンも一緒に感じることができます。
カベルネ・ソーヴィニヨンなどは、しっかりとしたタンニンがあり、そのタンニンを感じるためにも17度から20度で楽しむのがオススメ。
また、古いヴィンテージのワインも、複雑味があるため、この温度で楽しむのがベターでしょう。
- 早飲み赤ワイン 10℃から13℃
- ピノ・ノワール 14℃から16℃
- カベルネ・ソーヴィニヨン 16℃から20℃
保存する時の適温
赤ワインも保存する際には、どの品種であっても10度から15度程度で保存することで、ゆっくりと熟成が進んでくれます。
すぐに飲むワインなどは、押し入れの奥や温度変化の少ない場所で新聞紙などで巻いた状態で保存することも可能です。
ワインの温度に関するマメ知識
ワインと温度というのは、密接な関係があります。と同時に、温度と味覚の関係性も知っておきたいところ。
温度が味にもたらす影響や、適温にするためのマメ知識をお伝えしたいと思います。
温度によってワインの味はどう変わる?
食材や飲み物の味を捉える舌は、その温度によって捉えやすさが異なります。
ワインを構成する要素の「甘味・酸味・渋み」が温度によってどのように変化するのかを考えてみましょう。
「甘味」は温度が低いほど穏やかに感じられ、高くなると強くなります。
溶けてしまったアイスを想像してみるとわかりやすいでしょうか。
「酸味」は、温度が低ければシャープで清涼感を感じられますが、温度が高くなると不快に感じられることが多くなります。
「渋みやタンニン」は、温度によって感じ方は変わらないですが、温度が下がることで甘味が抑えられ、渋みが強く出てしまいます。逆に、温度が上がることで甘味と渋みのバランスが取れます。
このように自分が飲むワインがどの要素を強く持っているのか、を考えながらワインの適温を考えてみるのもおもしろいかもしれません。
「常温」についての誤解
赤ワインで多く言われる「常温」ですが、その認識は何度なのでしょうか。
日本では年平均で24度くらいですし、赤道付近の国ではもっと高くなってしまうかもしれません。
そもそも、「常温」という言葉はフランスでの認識でした。フランスでは「シャンブレ」という言葉があり、16度から18度を指します。
これが、本来の常温の認識でした。
が、その「常温」という言葉がひとり歩きしてしまい、日本の常温でも「常温」と捉えられてしまっています。
もし、お時間とお財布が許すのであれば、常温、とりわけ夏場の常温で保存した赤ワインを飲んでみてください。
長期保存はワインセラーで
長期でワインを保存するということは、そのワインを自分の手で熟成させるのを楽しむということです。
そのため、熟成にぴったりなワインセラーを用意して、熟成させるのがいいでしょう。
ワインセラーは、温度をほぼ一定に保ってくれ、湿度も60%から80%ほどの保管に適した状態に保ってくれます。
長期というのも人それぞれあると思いますが、基本的には5年以上保存する場合にはワインセラーの導入を検討するのがいいでしょう。
ワインの温度計があると便利
ワインを適温で楽しみたいと思っても、温度はなんとなくでしかわからないもの。
冷えているかぬるいか、温かいか。そんなとき、ワインの温度計があると、正確に計ることができます。
また、温度違いで飲み比べをするときなどにも、正確にどれほど温度が違うのかをすることが出来るのでオススメです。
最近では、100円均一のお店でも、ボトルに装着するタイプのワイン温度計が販売されています。
100円で手に入れられるならば、一つ手元に置いておくといいグッズです。
ワインの温度の調節の仕方
ワインの温度と言われても、わからないのがどのように調整したらいいのか、ということです。
温度を下げたい場合とあげたい場合のそれぞれで方法をご紹介します。
温度を下げたい場合
14度で保管されていたワインを6度まで下げたい場合、前日から5度の冷蔵庫に入れておくことでワインの温度も5度まで下がります。
その後、23度程度の部屋で15分置いておくことで1度あげることができます。
また、6対4の割合で氷と水を入れたワインクーラーにボトルネックまでつけることで、1分間に1度ワインの温度を下げることができます。
そのため、8〜9分間、ワインクーラーにつけておくことで6度まで下がった状態で楽しむことができます。
- 前日に冷蔵庫に入れる
- 6対4のワインクーラーで冷やす:1分で1度下がる
- 冷凍庫には絶対に入れない
温度を上げたい場合
14度で保管されていたワインを17度まであげたい場合、デキャンタージュをすることで約2度温度が上昇します。
また、グラスに注ぐことで約1度上がりますので、デキャンタージュをしてグラスに注げば17度程度でワインを楽しむことができます。
また、時間がある場合には、部屋の温度が23度だった場合、15分で1度上がりますので、45分待てば17度前後で楽しむことができます。
グラスに注いだワインが冷えていた場合は、グラスのボウル部分を手で包み込むようにして暖めます。
- デキャンタージュで2℃上昇
- グラスサーブで1℃上昇
- 23℃の部屋に15分置いて1℃上昇
- グラスを暖める
まとめ
これらの温度は、あくまでもワインにとって理想的なものです。
反対に、日本で保管されているワインは熟成がゆっくり進むとも言われています。
ワインセラーで一定の温度・湿度で保管されるため、少しずつワインが育っていきます。
フランスの生産者たちは、あまり一定にはせず10度から15度で温度変化するカーヴで保管している人が多いです。
ただ、多くの人が共通して考えているのは、15度を超えてワインを保管すると、微生物の活動が活発になり、オフフレーバーなどが発生してしまう可能性です。
また、ワインを飲むときの温度ですが、家で楽しむのであれば様々な温度で楽しんでみて、自分なりの適温を探してみてもいいかもしれません。
必ず、その温度だけが正解というわけでもないものです。
そして、温度にこだわるのであればグラスにもこだわってみてはいかがでしょうか。