新世界と旧世界のワインを飲んでみよう!

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.30 公開 | 2018.08.20 更新

ブドウには、大きく2つの種類があります。ヨーロッパ系のブドウである「ヴィティス・ヴィニフェラ」とアメリカ系品種の「ヴィティス・ラブルスカ」。

「ヴィティス」が、ブドウという意味で、「ヴィニフェラ」は、「ワイン用の」という意味。

では、「ラブルスカ」はというと「野蛮な」という意味になります。

つまり、ヨーロッパを中心に、中近東などで元々ブドウを使ってワインを生産していた地域では、ブドウとは「ワインをつくるためのもの」という前提があります。

ワインの歴史は大きく2つに分かれる

いわゆる「旧世界」とよばれるヨーロッパ諸国では、紀元前6000年頃にブドウ栽培が始まりました。

対して、新世界と呼ばれる国々での歴史は様々ですが、もっとも早い国で1850年頃と考えられています。

旧世界の産地では、ブドウは自生しており、そこからワインを生産したとされ、新世界の国々の多くは、植民地支配や移民によってもたらされたブドウを使い、ワインの生産が始まっていきました。

旧世界のワインの特徴

旧世界で生産されるワインは、一般的に伝統的な生産方法や醸造方法を採用し、いわゆるクラシックなワインと呼ばれています。

大量生産向きではない方法であるがため、価格も上がってしまうことが往々にしてあります。

旧世界において、重要なのは「産地」です。「産地」や「格付け」が同時にブドウ品種や品質などを物語っています。

また、歴史的・文化的背景がワインの生産にも影響を与えており、その多くは、食文化とともに広まっていきました。

そのため、旧世界のワインは、同時に産地の食や食材などと合わせて捉えることが多いです。

フランスのワインの特徴

ワインにおけるトップをひた走るフランスは、世界第2位の生産国であり、10に分かれたワイン産地から様々な品種・スタイルのワインを造っています。

ワインの歴史をひもとく上でもっとも重要な国であり、各国のワイン生産者は、フランスに追いつけ、追い越せと努力を重ねています。

近年、フランスでも新世界のワイン産地の影響もあり、ワイン生産においてパラダイムシフトが起こってきています。

例えば、シャンパーニュ地方では元来、「ネゴシアン・マニピュラン(NM)」と呼ばれる自社農園と買いブドウで生産されたワインが、生産量の大半を占めていました。

しかし、「レコルタン・マニピュラン(RM)」という自身で栽培したブドウでワインを生産する人が増えてきています。

また、ボルドーでは「ロバート・パーカー」の影響によりカルト・ワインやシンデレラ・ワインが注目を集め、パワフルでヘビーなワインを生産するようになってきました。

これまでの伝統的なワインとは異なる味わいのものになってきています。

イタリアのワインの特徴

ワイン生産量で世界1位となり、各地域で様々なスタイルのワインと郷土料理を楽しむことができるのが、イタリアです。

南北に長いイタリアでは、パスタのスタイルも異なり、北部では生パスタ、南部では乾燥パスタがメインとなっています。

そんなイタリアは、近年旧世界の中で、もっとも活発な生産地の1つになっています。

同時に、イタリアの土着品種が400種類ほどあり、この国でしか味わうことが出来ないワインも数多くあります。

また、イタリア人はいつでもどこでもワインを手にして、気軽に楽しんでいることも特徴として挙げられます。

このことからも、イタリアワインの多くは国民性でもある陽気な表情を持っています。

スペインのワインの特徴

ブドウの栽培面積が世界1位なのが、スペインです。

どちらかといえば旧世界の中で、比較的最近注目を集めるようになってきました。

一番有名なのが、シェリー酒です。とはいうものの、スペイン国内ではあまり消費されておらず、イギリス人の食前酒として楽しまれることが多かったのです。

国内のレストランやワインバーでは置いていますが、一般市民が行くようなところでは置いているところはほとんどありませんでした。

他にも、1990年あたりから、リオハやプリオラート、リアスバイシャスといった地域が台頭し、世界的にも名だたるワイナリーが誕生してきました。

近年は、輸出に力を入れており、スペイン産のスパークリング・カヴァを中心に楽しまれています。

ドイツのワインの特徴

この国ほどきれいな酸を持つワインを生産できるところはないでしょう。

同時に、甘口ワインの国として捉えられているドイツは、辛口白や赤ワインの世界的ブームによってドイツワイン離れを引き起こしてしまっているのが、ここ20年ほどの現状でしょうか。

しかし、冷涼な気候で、以前までワイン用ブドウの産地の北限と言われていたこの国では、品質の高いシュペート・ブルグンダーやリースリングが生産されています。

また、甘口ワインとして敬遠されがちなドイツワインですが、この甘口を造ることが出来るのは、ブドウが持つ糖分と酸味がしっかりとしており、そのバランスが取れているからです。

新世界のワインの特徴

新世界のワインは、比較的価格が安く、コストパフォーマンスのいいものが多いです。

これは、旧世界のように規制やルールがまだ整理されていないためで、新しい技術と伝統的な生産方法を両立して行なえることによっています。

また、果実味が豊かで、香りや味わいのしっかりとしたワインが多いことが特徴として挙げられるでしょう。

「ヴァライタル・ワイン」というエチケット(ラベル)にブドウ品種を記載していることも、新世界のワインの特徴です。

その新世界のワインにおいて、象徴的な出来事は、1976年に行なわれた「パリスの審判」でしょう。

アメリカ独立200周年を記念して、アメリカとフランスの一流ワインを、フランスを代表する9名の審査員にブラインドでテイスティングさせました。

当然、フランスのほうがおいしいと考えていた審査員は、おいしいと思ったものを選べばいいと高をくくっていました。

しかし、白ワインも赤ワインもともにトップに立ったのはアメリカのもの。

もちろん、それがすべてではないですが、この結果がニューワールドのワインも品質は高いと世界に知らしめるきっかけとなりました。

アメリカのワインの特徴

アメリカでは、野生のブドウが生育していたと考えられており、新世界の産地ではもっとも古くからブドウが存在していた国です。

17,8世紀にはヨーロッパからの移民が、自生しているブドウでワインを造ろうとしていたと記録が残っています。

しかし、産業的な発展まではしませんでした。

そんなアメリカで約9割のワインを生産しているのが、前述した「パリスの審判」で一躍有名になったカリフォルニア州です。

世界的に人気を博している「オーパス・ワン」やカプコンの社長が立ち上げた「ケンゾーエステート」があります。

アメリカのワインの多くは、力強くアルコール度数が高いです。また、新樽のニュアンスが強いワインも多く、「化粧っ気のある」という表現もよく使われます。

オーストラリアのワインの特徴

オーストラリアでは、瓶詰めではないボックスワインや灌漑をすることで幅広い生産地を生み出すことが出来ています。

また、ワインメーカーのほとんどが正規の農業大学を出ており、現代の醸造技術を応用しながら、伝統的な方法も取り入れています。

世界でもっとも機械化が進んでいる国でもあります。

元々、大手主導で行なわれていたオーストラリアのワイン産業ですが、近年はブティックワイナリーが台頭してきており、様々なスタイルのワインが造られています。

同時に、この10年ほどで新しい産地も展開されており、今後世界的に認知されるワイナリーや産地が増えていくことになるでしょう。

チリのワインの特徴

この国は、スペインが領有していた時代からワインを造っていました。

また、チリはフィロキセラの被害を受けておらず、それにより、世界からの人気を集めています。

「チリカベ」との愛称で親しまれているチリ産のカベルネソーヴィニヨンは、タンニンがしっかりとしており、果実味が豊かなもの。

日本の輸入ワインのトップは、チリ産のもので、その販売先の75%はスーパーやコンビニでした。チリワインのほとんどが、家庭内で消費されています。

日本のワインの特徴

日本には、国有品種である「甲州」や「マスカットベリーA」が多く生産されています。

ここ10年ほどで品質も上がり、山梨県の「ミサワワイナリー」の「キュベ三澤 明野甲州2013」がイギリスのコンテストで金賞を受賞しました。

これにより、日本ワインの地位が世界で上がっていくことでしょう。

日本産のワインは、繊細できれいな味わいのものが多く、和食や味付けの繊細な料理にも相性がよく、日本酒の代わりとしても楽しむことができるものもあります。

また、ジェラール・バッセから高く評価された「キスヴィン・ワイナリー」や世界で研鑽を積んできた「平川ワイナリー」など品質の高いワイナリーが続々と増えています。

まとめ

旧世界と新世界というくくりで、今回分類をしました。

ワインは、人々の生活に根差した文化であり、そこには歴史的背景も関わってきます。

これらは、どちらがいいとか悪いとかではなく、それぞれの歴史や成り立ちを尊重しましょう、ということです。

まだまだ日本では、ワインを飲むということが文化として定着していないのも事実。

堅苦しい知識や難しいという先入観があるかもしれませんが、旧世界は長い歴史を持っているところ、新世界は比較的新しくて、自由な産地、といった捉え方でいいのです。

ワインを気軽に、楽しむことから始めていきましょう。