ウンブリア州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.10.18 公開 | 2018.10.18 更新

ウンブリア(UMBRIA)州は、イタリア半島のほぼ中央に位置していて、周囲をトスカーナ州、ラツィオ州、マルケ州に接しています。

州のほぼ全域がなだらかな丘陵地帯で、どこまでもブドウ畑やオリーブ畑が広がっている緑豊かな美しい州です。

州都は、中世の雰囲気を残した丘の上の街ペルージャ(PERGIA)です。

ウンブリア州は海に接していない内陸にありますが、豊かな自然に囲まれたこの地方では、トリュフや良質なオリーブオイル、またサラミやチーズなどの食材が名産で、こうした食材に合うしっかりした赤のサグランティーノ・モンテファルコが代表的なワインです。

白ワインでは、中世からルネッサンス時代に一世を風靡した飲みやすいオルヴィエートが有名です。

ウンブリア州のワインについて

ウンブリア州は、昨年の天候不順によって、イタリア国内でも著しく生産量が低かった州のひとつです。

ワイン産業に近年特に力を入れているウンブリア州では、丘の上の小さな街トーディ(TODI)でもワインショウを開催しています。

イタリア国内外より700種類以上ものワインが揃う展示会では、専門家はもとより、もっとワインの魅力を一般に広めていくことを目的としています。

生産されているブドウ品種

ウンブリア州で作られるワインは、白ワインと赤ワインの比率がほぼ同じくらいです。

ウンブリアで最も特徴的なブドウ品種はサグランティーノ種で、ウンブリアの高品質の赤ワインであるモンテファルコはこのブドウ品種100%で作られていて、希少ワインとしても珍重されています。

このほかサンジョベーゼ種、チリエッジョーロ種、カナイオーロ・ネーロ種といったトスカーナ州と同じようなブドウ品種も多く使用されています。

白ワインの原料として最も多く使われているのが、グレケットという土着の品種です。

ウンブリア州全体で栽培されていて、単独でワインに使われるほか、シャルドネなどと混合して使われています。

そのほか、マルヴァジーア・ビアンカ、トレッビアーノ・トスカーノなども多く作られています。

また、シャルドネ、ソーヴィニオン、ピノ・ビアンコ、リースリングなどの国際的な品種も栽培されています。

  • サグランティーノ
  • サンジョベーゼ
  • ガメイ
  • グレケット
  • マルヴァジーア・ビアンカ
  • シャルドネ

ウンブリア州のテロワールについて

ウンブリア州は、山岳部が29.3%、丘陵部が70.7%とという起伏にとんだ地形をしています。これらの丘は、トスカーナ地方の丘陵地帯とつながっています。

またイタリアで4番目に大きい湖トラジメーノ(TRASIMENO)湖があるほか、テヴェレ(TEVERE)川をはじめとする多くの川が流れている水の豊かな地方です。

丘陵地帯は日当たりがよく、豊富な水路のおかげで地面は適切な湿度を保つ最適な自然な条件に恵まれていて、ブドウの栽培に適しています。

気候は大陸性気候で、冬は雪も多い厳しい寒さですが、夏は暑く乾燥していて強い風が吹いています。

トルジャーノ(TORGIANO)やモンテファルコ(MONTEFARCO)などのブドウ栽培地はおもに石灰岩の地層で、サグランティーノやサンジョベーゼなどのブドウの栽培に適していて、長期熟成に耐える高品質の赤ワインを生み出しています。

州の南部に位置するオルヴィエート(ORVIETO)周辺は、火山性の堆積物を含む凝灰岩の土壌で、グレケットやシャルドネなどの栽培に適していて、独特の強い味わいを持つワインが出来上がります。

ウンブリア州の格付けについて

1967年のイタリア初の格付けに選ばれたのはトルジャーノDOC。続いて1990年にトルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァが初のDOCGにとして認定されました。

ウンブリアで最も有名な赤ワインモンテファルコ・サグランティーノは1992年になってDOCGを獲得しました。

現在ウンブリアの格付けワインは、DOCGが3つ、DOCが13、IGTが6つです。

大量生産のワインではなく高品質のワイン作りを目指しているウンブリア州では、生産されるワインの約9割が格付けワインによって占められています。

ウンブリア州の主な産地

ウンブリア州では、州の中央部に4つの有名なブドウ産地があります。

州都ペルージャの南側に、DOCGワインのトルジャーノとモンテファルコ地方。そしてエトルリア人に起源をもつ州南部の古都オルヴィエートの周辺地域。

• モンテファルコ:アッシジからスポレートにかけての高地
• トルジャーノ:州都ペルージャに近い丘陵地
• オルビエート:ウンブリア最古のワインの産地

ウンブリア州の生産量

ウンブリア州は2017年は482ヘクトリットルのワインを生産しました。この地方は近隣の中部イタリアの例にもれず、冬の寒さが春ごろまで続いた上に、夏には激しい暑さと乾燥という記録に残る2017年の異常気象のために、前年比で35%の減という大きな被害を受けました。

一方、輸出量は2.3%前年に比べて増加していて、34百万ユーロもの売り上げがありました。順調に毎年輸出額が伸びています。

ウンブリア州のワインの歴史

古代ローマ以前

ウンブリア州は、古代ローマより以前にエトルリア民族が栄えた歴史の古い地域です。エトルリア民族の陶器類には、ワイン造りの様子が詳細に描かれていて、紀元前8世紀頃にはすでにワインが作られている様子が詳細に描かれています。

DOCオルヴィエートは、この時代から作られていたと言われる歴史の古いワインです。

古代ローマ時代の文献にも、良質なワインの産地として有名だったことが記載されています。

中世から近代

中世に多くの街が栄えたウンブリア州では、シトー会やベネディクト会などの修道院がブドウの栽培を奨励したので、ワイン産業が盛んになり良質なワインが作られました。

16世紀になると、ローマ法王パオロ3世がオルヴィエートの甘口のワインを好んだという記録も残っていて、ローマ法王庁の晩餐会などにも使用されていました。

20世紀

1800年ころには、この地方もフィロキセラの被害を受けましたが、1930年代頃から、新しいワイン作りへの試みが、トルジャーノなどの先見性を持った生産者から起こります。

長い間、ウンブリアのワインと言えば、オルヴィエートの甘口ワインのみが有名でしたが、そのほかの良質なウンブリアのワインを知らしめるための活動を始めていきます。

本格的に、新しいワイン作りが始まるのは、1960年代になってからです。現在では、格付けワインの生産にこだわり、新しい技術を取り入れたワイン造りは、高く評価されています。

ウンブリア州で特に有名なワイン

品質にこだわる良質なワインにもかかわらず、手ごろな値段のワインが多いので日常的に楽しめます。

オルヴィエート・クラッシコ・アマービレ(ビジ)

ローマ法王にも愛された由緒あるオルヴィエートワイン。低温の洞窟の中でゆっくり熟成させたことによって作り出される甘いワインは、ローマ法王や王族、貴族など高貴な人にのみ許された特別な飲み物でした。

1880年ルイジ・ビジによって創業された由緒あるワイナリービジ社は、オルビエートを世界的に広めた立役者です。

現在では辛口のオルヴィエートワインもありますが、やや甘口を意味するアマービレは、爽やかなフルーツの香りと、程よい酸味と甘さが飲みやすいと評判です。

ワインの詳細を見る

サグランティーノ・ディ・モンテファルコ(アントネッリ・サン・マルコ)

13世紀から19世紀までスポレート司教区に属したサン・マルコ・ディ・コルティチェリスのブドウ畑を、13世紀当時のままに1881年購入したフランチェスコ・アントネッリによって創業されたワイナリー。

現在は170ヘクタールの土地を所有するアントネッリ社は、創業当時に専門的に植えられたブドウをはじめとする自社のブドウのみを使って、年間17万本のワインを生産しています。

現在の当主フィリッポ氏はモンテファルコ協会の会長を務めていて、類まれなる上質のサグランティーノを生み出しています。

ワインの詳細を見る

トルジャーノ・リゼルヴァ・ロッソ(ルンガロッティ)

1960年代にジョルジョ・ルンガロッティによって設立されたルンガロッティは、ウンブリアを代表するワイナリーです。

1979年にはワイン美術館をも開設し、ウンブリアのワインの向上、PRに努めています。ルンガロッティ社のトルジャーノ・リゼルヴァ・ロッソは、パーカーポイントで91点を獲得するなど、そのほか数々の賞を受賞しています。

ワインの詳細を見る

まとめ

日本では知名度が低いウンブリアのワインですが、緑が豊かでトスカーナ州に続く丘陵地帯で作られる高品質のブドウを使って、良質な格付けワインが作られています。

古い歴史があり、かつては高貴な人しか飲めなかったオルヴィエートの甘口ワインは、ワイン初心者にも飲みやすい爽やかな飲み口でおすすめです。

そのほか、サグランティーノをはじめとする高い品質の赤ワインも、コストパフォーマンスが良く、イタリア国内外で評価が上がっているおすすめのワインです。