シチリア州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.05.16 公開 | 2019.05.16 更新

イタリア半島の最南端、カラブリア(CALABRIA)州とメッシーナ(MESSINA)海峡を隔ててすぐの所に位置するシチリア(SICILIA)島と周辺の島々からなるシチリア州は、イタリア最大の面積がある州で特別自治区です。

四国の約1.4倍もの面積を持ち、地中海最大の大きさを誇るシチリアは、古代から地中海の文明の交差点として様々な民族が入り混じった独特の文化を持つ地域です。

北アフリカのチュニジア(TUNISIA)とは、わずか143キロメートルという距離です。州都はパレルモ(PALERMO)。

古代から太陽の島とも称されてきたシチリア島は、ブドウの生育にも適していて、現在イタリアの3大ワイン産地と言われるほど、良質なワインを生産しています。

シチリア州のワインについて

2017年、古代ギリシアの神殿が残る世界遺産アグリジェント(AGRIGENTO)の近郊の洞窟から、今から約6000年前のワインが発見されました。

これまでワインの発祥は南コーカサス地方かアナトリア半島のあたりだと推測されていた学説を覆す大発見だとして、さらに研究が続けられています。

おそらく、神様へのお供え物として用いられていたと考えられています。

最近のシチリアワインの特徴は有機栽培に特化したワイナリーが多いところです。

現在、イタリアで最もビオワインが多い州で、37.6%を占める38,935ヘクターもの有機ブドウ栽培面積があります。毎年約21%も増加しています。

シチリア島の活火山エトナ(ETNA)では、古くからブドウが作られていました。山の斜面を利用したブドウ畑なので、かつては収穫したブドウを山の下へ運ぶ周遊電車がありました。

現在、この電車を復活させてワイナリーをめぐるためのツアーが実施されていて、観光客の人気を呼んでいます。

生産されているブドウ品種

多くの土着品種のブドウがあるシチリア島ですが、その大部分は古代ギリシア人よりも古いフェニキア人によってもたらされたものだといわれています。

その中でも最も代表的なものがDOCG赤ワイン、チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアにも用いられているネーロ・ターヴォラです。濃厚なアロマとしっかりした味わいが特徴です。

白ワインの土着品種で最も重要な品種は、モスカート・ダレッサンドリアとも呼ばれるジビッボです。この品種からは、パンテッレリーアという甘口ワインが作られていますが、現在イタリアの甘口ワインの中でも特に高く評価されています。

また、長い間、ブレンド用のブドウ品種を大量に生産していたので、シャルドネなどの国際品種のブドウも多く生産しています。
• ネーロ・ダーヴォラ
• フラッパート
• ネレッロ・カップッチョ
• マスカレーゼ
• ペッコリーネ
• ピッニャテッロ
• ジビッボ
• カッリカンテ
• カタラット
• グレカーニコ
• グリッロ
• インツォーニオ
• マルヴァージーア・ディ・リーパリ
• モスカート・ビアンコ
• サンジョベーゼ
• バルベーラ
• トレッビアーノ・トスカーノ
• カベルネソーヴィニヨン
• シラー
• シャルドネ

シチリア州のテロワールについて

シチリア州は、シチリア島の東部にヨーロッパ最大の活火山エトナ(ETNA)山をはじめとした山岳部が25%、丘陵地が60%、平野が15%を占めています。

周辺の島々も、火山が起源となって作られたものが多く、ほかにもストロンボリ(STROMBOLI)島なども活動期です

シチリア島は1,100㎞もの海岸線に囲まれていて、沿岸部と内陸部で大きく二つの気候に分かれます。

海岸沿いは、地中海性気候。夏はかなり気温が上がりますが、風があって雨がほとんど降りません。冬は暖かく過ごしやすい気候です。

一方、内陸部は夏と冬の気温差が激しい大陸性気候です。特に、エトナ山周辺やシチリア島北部のマドーニア(MADONIA)地方などの山岳部では、夏の暑さに比べて冬の寒さはかなり厳しく、一日の中の気温差に加えて、季節による気温差の変化が、ブドウの生育によい影響を与えています。

エレガントでしっかりした赤ワインやフレッシュで香りのよい白ワインを作ります。

土壌に関しては、エトナ山の噴火による火山性の土壌が、甘くエレガントな香りと、美しい色を持つ特徴的なワインを生み出します。

シチリア州の格付けについて

シチリアの代表的なワインは、唯一のDOCGチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアです。

どちらも土着品種であるネーロ・ダーヴォラが60%以上とフラッパートが40%以上で作られる赤ワインです。ネーロ・ダーヴォラが多いほうが長期熟成に耐えます。2005年にDOCGに昇格しました。

ほか、シチリアワインで最も有名な甘口ワインマルサーラをはじめとするDOCワインが23銘柄、IGTが7銘柄あります。

2017年には147ワイナリーがDOCワインを生産していたのに対し、2018年には195ワイナリーへと増加していて、州全体でDOCワインに特化する傾向にあります。

シチリア州の主な産地

ブドウの栽培面積はイタリア最大だけあって、ほぼシチリア島の全土でブドウが作られています。

今、最も注目されているのがエトナ山の周辺です。火山由来のミネラル分の豊富な土壌に加え、寒暖差の激しい気候、高度があるためにブドウの天敵である害虫が少ないという利点を生かして、若い醸造家たちによる新しい試みが功を奏しています。

また、シチリア州西部のマルサラ(MARSALA)、アフリカに近いパンテレリーア(PANTELLERIA)島やカラブリア州に近いエオリエ(EORIE)諸島のリパリ(LIPARI)島で作られる甘口ワインも人気です。

このほか、州唯一のDOCGシチリアDOCワインを作る州南部ラグーサ(RAGUSA)県のあたりも、古くからの良質な産地として名を馳せています

エトナ:シチリアで最も注目されているエトナ山周辺の産地

シチリア州のワイン生産量

シチリア州の2017年の生産量は、前年比11%減の5358ヘクトリットル。イタリア全体の生産量に占める割合は2016年に比べると約23%も減少しました。

イタリア全体の量に占める割合は、11.6%で、州別の生産量で見ると、プーリア州、エミリア・ロマーニャ州に次いで第3位です。

実際、シチリア州のブドウ畑は107,000ヘクター(トスカーナ州の約2倍の大きさ)もあり、イタリア国内の重要なブドウ畑です。

内訳は、赤ワインとロゼが43.0%、白ワインが57.0%とわずかに白ワインが多く作られています。また、生産量の約8割は格付けワインです。

2018年上半期の輸出量は2017年に比べて11%増加し、72百万ユーロですが、全体的にみると2.5%で、ほかの州に比べるとまだ少ないです。

現在、シチリア州としてはアメリカとドイツに輸出のターゲットを当てていて、少しずつ増加しています。

シチリア州のワインの歴史

古代ローマ以前

これまでの通説では、紀元前8世紀ごろに古代ギリシア人によってワイン作りやブドウの木の選定技術が伝えられたといわれています。

紀元前2世紀ごろに古代ローマに征服されますが、古代ローマ帝国時代には、有名なワインの産地として帝国内外にワインを輸出していました。

中世からルネッサンス

古代ローマ帝国の崩壊後、混乱の時期を経て、シチリア島は東帝国領となりシラクサが7世紀後半までの一時期帝国の首都だった時代もありました。

その間、教会の儀式で使うワインを生産する必要があったために、ワイン産業は発展します。

ところが9世紀になるとアラブ人に支配され、禁酒をモットーとするイスラム教のもと、ワイン産業は衰退します。

1061年のノルマン人によるノルマンシチリア王国設立、1195年の神聖ローマ帝国の支配の間、ブドウ栽培は再び息を吹き返します。

1700年にブルボン家がシチリアの領有権を手に入れ、シチリアのブドウ作りはブレンド用の大量生産へと大きく舵を切ります。

近代以降

1773年にイギリス人ジョン・ウッドハウスが、シチリアのワインで航海用の強化ワインマルサラを発明し、これ以降シチリアにも多くの優れたワイナリーが誕生しました。

1880年、シチリアで最もワイン作りが盛んだったカタニア(CATANIA)では、100万ヘクトリットルのワインを生産していたという記録が残っています。

ところが、翌年シチリアもフィロキセラによって甚大な被害を受け、またフランスとの通商条約が破綻したことによって、シチリアのワインの生産量は激減しました。

1950年ころになると、ブレンド用のブドウの需要が伸び悩みます。シチリア独自のブドウ品種を使って良質なワインができないか、という動きが起こったのが20世紀の後半になってからです。

有名デザイナーのアルマーニがシチリアに別荘を購入したことが話題になったことなどをきっかけに、シチリア島も高級リゾート地として脚光を浴びるようになりました。

世界中から訪れる観光客によって称賛され始めた新しいシチリアのワインは、ますます品質に磨きがかかり、現在では、ピエモンテ、トスカーナに次ぐ銘醸地として高く評価されています。

シチリア州で特に有名なワイン

ピエモンテやトスカーナに次ぐイタリア三大ワインのシチリアワインは、日本でも多くの良質なものが輸入されています。

伝統的なマルサラやコルヴォは、一度はワイン屋さんで見かけたことがあるのではないでしょうか。

マルサラ・スーペリオーレ・ドルチェ(フローリオ)

18世紀にイギリス人により開発されたマルサラ酒は、シェリー酒やポルト酒、マディラ種と並んで世界の4大強化ワインです。

ワインにアルコールを加えて、イギリスへの船旅に耐えるように作られました。土着品種のグリッロとカタラット種を使いったふくよかな甘口ワインです。

フローリア社は、1833年に創業したマルサラの老舗ワイナリー。積極的にイギリス以外の国外にもマルサラを輸出し、世界中にその名を広めた功労者です。

現在では、マルサラ以外にもシチリアの伝統ワインのプロデュースに力を入れています。

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コルヴォ・ロッソ(ドゥーカ・ディ・サラパルータ)

シチリアを代表する土着のブドウ品種ネーロ・ダーヴォラとピニャテッロ、ネロッロ・マスカレーゼから作られるコルヴォ・ロッソは、濃厚な香りとミディアムボディのしっかりした本格的な味わいにも関わらず、手ごろな値段で手に入るイタリアワインとして人気なワイン。

1824年の創業当初からコルヴォ・ロッソを生み出したドューカ・ディ・サラパータ社は、シチリアの裕福な侯爵家で、自宅へ招いた海外のVIPをもてなすために、自分で良質なワインを作り始めたのがきっかけという贅沢な話です。

早くから、海外マーケットの重要性を認識し、日本へも早くから輸出しています。

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まとめ

地中海の真ん中に位置するだけあって、きらめく太陽と海に囲まれ気候に恵まれたシチリア島では、土着の個性的なブドウ品種がたくさんあります。

これまでの古い体質から脱皮して、新しいワイン作りの技術を積極的に導入することによって高品質のワインを次々と生み出しているシチリアワインに、世界中が注目しています。

活火山エトナの近辺では、特に土壌のミネラル分を生かしたワインが人気です。値段的にも、まだ手ごろなものが多いので、お得感が高いのが特徴です。

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2019.10.18 更新

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