モリーゼ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2018.12.18 公開 | 2018.12.18 更新

モリーゼ(Molise)州は、首都ローマのあるラツィオ(Lazio)州の東側に位置しているにも関わらず、イタリアでは2番目に面積が小さく人口も少ない州です。1970年にアブルッツォ州から独立してモリーゼ州となりました。州都は内陸都市のカンポバッソ(Campobasso)です。

州の北側はアブルッツォ(Abruzzo)州、南にはカンパーニャ(Campagna)州、プーリア(Puglia)州にぐるりと囲まれていて、西側のアドリア(Adriatico)海に面したエリアは、フィアットの工場がなどがある商業港テルモリ(termoli)があります。

一方、アペニン(Apennino)山脈のある内陸部は豊かな自然があふれる素朴な光景が続いています。これまで州の農産物として、良質の白トリュフやエキストラヴァージンオリーブオイルのほうが有名でしたが、最近になってワインにも力を入れ始めたところです。

モリーゼ州のワインについて

2018年のヴィーニタリーには、モリーゼ州から20のワイナリーが参加して、これまでにない多くの観客を集めました。特に独自のブドウ品種ティンティリア、スパークリングワイン、有機栽培のワインを中心にして、プロモーションが展開されました。

モリーゼ州もアドリア海側の丘陵地を中心にして、2018年の冬の寒さと、夏の厳しい暑さと雹による異常気象でかなりのブドウの樹が被害を受けました。

生産されているブドウ品種

モリーゼ州で生産されているブドウ品種の中で、現在、最も力を入れているのが唯一の土着品種ともいわれるティンティリアで、DOCの赤ワインが作られています。これまで、ほかのブドウ品種とも混合されたりしていましたが、2002年に正式にモリーゼ州独自のブドウ品種と認定されました。

そのほか隣接しているアブルッツォ州と同じくモンテプルチャーノ種が、州のブドウの生産量の64%も占めていて、これにサンジョベーゼ、トレビアーノ・ダブルッツォ、トレビアーノ・トスカーナを加えると、全体の85%にもなるほど、これらの主要品種が多く作られています。また、カベルネソーヴィニオンやシャルドネなどの国際品種も多く作られていて、隣接するアブルッツォ州、カンパーニャ州などのブレンド用のワインとして使われています。

• ティンティリア
• モンテプルチャーノ
• トレビアーノ・ダブルッツォ
• トレビアーノ・トスカーナ
• サンジョヴェーゼ
• アリアーニコ
• ボンビーノ・ビアンコ
• マルヴァジーア
• ファランギーナ
• カベルネソーヴィニオン
• シャルドネ
• シラー

モリーゼ州のテロワールについて

アペニン山脈が州の半分ほどを貫いているモリーゼ州では、アドリア海沿いに40キロの海岸線がありますが、山岳部が55.3%、丘陵地が44.7%で構成されています。

内陸部の気候は大陸性の気候で、夏はむっとするように暑く、冬の寒さは厳しく寒暖差がはげしいです。平地がほとんどないために、600~800mの高地でブドウが作られています。

一方、温帯で日当たりが良い丘陵地帯も、昼と夜の寒暖差が激しいために、香りがよく複雑な味わいの高品質なワイン造りに適したブドウが栽培されています。

モリーゼ州の格付けについて

つい最近まで、大部分のワイナリーが昔ながらの伝統的なワイン作りをしていたモリーゼ州。モリーゼ州の土着品種ティンティリア種単独で作られるティンテリア・デル・モリーゼは、2011年にDOCに認定され、ビフェルノ、モリーゼ、ペントロ・ディ・イゼルニアと合わせて合計でDOCが4つです。ほか、IGTは2つあります。

モリーゼ州の総生産量のうち、格付けワインの割合は18%です。

モリーゼ州の主な産地

山岳地帯を含めて、ほぼ州の全域でブドウが生産されています。特に標高が500mを超える高地での栽培が盛んにおこなわれています。

ビフェルノ(Biferno):アブルッツォ州に面した州の東北部とビフェルノ川の間。
カンポバッソ:州都カンポバッソからオッキト(occhito)湖にはさまれたエリア。ティンティリアを栽培。

モリーゼ州のワイン生産量

モリーゼ州の2017年の生産量は、2016年に比べて約36%も増加し、339ヘクトリットルのワインを生産しました。イタリア全体の生産量のわずか0.7%と少ない割合ですが、そのほかの州が異常気象で大幅に生産量を減少している中で、唯一、飛躍的に生産量を伸ばしています。

モリーゼ州のワインの内訳は、赤ワインとロゼが約70%、白ワインが約30%です。

全体的に生産量が圧倒的に少ないためにイタリア国外への輸出量もわずかですが、前年に比べて4%増加しています。

モリーゼ州のワインの歴史

古代ローマ

モリーゼ州のワインに関して最初に登場するのが、起源前3世紀の古代ローマ時代、イゼルニア(Isernia)のワインのついての記述ですが、それ以前から土着の民族サムニウム人の時代にすでに作られていたと言われます。

近代以降

中世からルネッサンスにかけて、特にモリーゼ地方のワインに関して、特に記録が残っていません。この地方は古くからエキストラヴァージンオリーブオイルの産地として名を馳せていたので、この頃はブドウよりもオリーブの栽培に力を入れていたともいわれます。

800年代になると、ようやくティンティリア種のワインに関しての記述が登場します。1970年までアブルッツォ州の一部だったために、最近になってようやく、モリーゼとしてのワイン作りを意欲的におこなっています。

モリーゼ州で特に有名なワイン

日本ではまだあまり知られていないモリーゼ州のワインですが、その中でもディ・マーヨ・ノランテの上質で低価格なワインは、コスパの良さで有名です。

モリ・ロッソ(ディ・マーヨ・ノランテ)

ディ・マーヨ・ノランテは、モリーゼ州を代表するワイナリーです。1800年にまで遡る85ヘクタールのノランテ男爵所有のブドウ畑から生み出されるワインが、知名度の低いモリーゼ州のワインを世界に知らしめたと言われます。2000年よりオーガニックなブドウによるワイン作りでも、高い評価を受けています。サッカーの元日本代表中田英寿選手も、イタリア時代に訪れていたことでも知られています。

モンテプルチャーノ80%とアリアニコ種20%で作られるモリ・ロッソは、日本のワイン専門誌で「3000円以下の本当に美味しいワイン」の大賞を受賞したほか、イタリアのワイン専門誌「ガンベロロッソ」などでも多くの賞を受賞したワインです。

ワインの詳細を見る

ラゲーナ・ティンティリア・デル・モリーゼ・(カンティーネ・デューヴァ)

栽培が難しいために、一時は絶滅の危機に瀕したこともあるモリーゼの土着品種ティンティリア種100%で作られるティンテリア・デル・モリーゼ。近年、モリーゼ大学などでも研究が続けられていて、モリーゼ州を代表するワインです。

カンティーネ・デューヴァは、40年代に、農民だった現在のオーナーの祖父が興した小さな家族経営のワイナリーでしたが、2001年よりエノロゴを外部から起用し本格的なワイン作りを始めました。極力自然の力を生かしたブドウから作りだされるティンティリアが、モリーゼで一番その魅力を表現していると評判のワイナリーです。

ワインの詳細を見る

まとめ

モリーゼ州は、イタリア国内でもあまり話題になることが少ない極めてマイナーな州のひとつです。これまで時代の流れから取り残された感がありましたが、最近では手のつかない昔ながらの豊かな自然などが高く評価されて、観光客が増えています。

特に、モリーゼ州名物の良質のトリュフやエキストラヴァージンオリーブオイルに加えて、素朴な郷土料理、そして高地で作られるモリーゼ州の独特のワインも注目を集めています。まだ手軽な価格で手に入るので、試してみたいモリーゼのワインです。

公式Twitter

人気の記事

2019.08.23 更新

同じカテゴリーの新着記事