マルケ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.11.07 公開 | 2018.11.07 更新

イタリア半島のほぼ中央に位置するマルケ(Marche)州。州都はアンコーナ(Ancona) で、アドリア(Adoliatico)海に面した州の東側にあります。

州の西側はトスカーナ州とウンブリア州との州境にアペニン(Apenino)山脈が連なり、北側にはエミリア・ロマーニャ州、南側にはラツィオ州とアブルッツォ州というように、多くの州に周りを取り囲まれています。

多くの自然国立公園があるマルケ州は、アドリア海からは海の幸を、アペニン山脈側からは山の幸と、自然の恵みを十分に受けていて、名物のトリュフをはじめとした新鮮な食材の宝庫ともいえる食文化の豊かな地域です。

なだらかに連なる丘陵地帯では丘ごとにワインがあるといわれるほど、地域によってそれぞれ土着品種を使った個性的なワイン造りをしています。

マルケ州のワインについて

2018年のヴィーニタリーも成功を収めたマルケ州のワイン。

ここ数年、売り上げが急激に伸びているイタリアワインのトップ10に、マルケ州のワイン、ペコリーノとパッセリーナがランキングされていることでもわかるように、最近では、消費者に語るストーリーのあるワインが人気で、マルケ州の個性的な土着品種のワインが注目されています。

マルケ州では、2015年には有機栽培のワインの畑が1年で10%も増加するなど、自然なブドウの栽培に力を入れています。

マルケ州では2013年より毎年5月にテノワール・マルケという有機栽培のワインの見本市が開かれるなど、有機栽培に力を入れています。

生産されているブドウ品種

マルケ州では200を超えるブドウの品種が栽培されていますが、その中で州を代表するブドウの品種は、白ワインにはマルケの土着の品種ヴェルディッキオ、ビアンケッロや、トッレビアーノ・トスカーナやマルヴァジーア・トスカーナなど。

一方、赤ワインにはサンジョヴェーゼやモンテプルチアーノが多く使われているなど、隣の州、トスカーナ州と同じような品種も多くみられます。

また、南イタリアでは甘口ワインを作るのにつかわれることが多いアレアティコ種を使った珍しい辛口のワインも作られています。

  •  ヴェルディッキオ
  •  トッレビアーノ・トスカーノ
  •  ビアンケッロ
  •  サンジョヴェーゼ
  •  マルヴァジーア・ディ・キャンティ
  •  アレアーティコ
  •  モンテプルチアーノ
  •  ヴェルナッチャ・ネーラ
  •  ペコリーノ
  •  パッセリーナ

マルケ州のテロワールについて

マルケ州はイタリアの中でも丘陵地帯が多い州で、平野部はアドリア海沿いのわずかな地域のみです。

州全体の69%が丘陵地で占められていて、残り31%は山岳地帯です。2000mを超える高い山がたくさんそびえています。

アドリア海沿岸地方は、穏やかな地中海性気候で、内陸は大陸性の気候です。

マルケ州は年間平均降雨量が著しく多いのが特徴で、季節によって北東方面からの冷たい風と南東方面からの温かく湿った風、そして夏には西南西からのとても暑い風が交互に吹き付けます。

ブドウ畑が広がる丘陵地帯の土壌は粘土質、渓谷は砂質が一般的です。

マルケ州の格付けについて

農業が盛んなマルケ州では古くから良質なワインが作られていましたが、地元での消費が中心で、周辺の州に比べるとかなり遅い2004年になってから、ようやくコーネロとヴェルナッチャ・ディ・セッラペトロがマルケ州のワインとして、初めてDOCGの格付けを得ました。

現在は、同じヴェルディッキオ種で作られる、ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージとヴェルディッキオ・ディ・マテーリカのリゼルヴァ、そしてオフィーダがDOCGの格付けを得ていて、合計5です。一方、DOCは14、IGTは1で、合計20の格付けワインがあります。

マルケ州の主な産地

ほぼ州の全域の丘陵地を中心にブドウが栽培されています。

マルケで一番有名なヴェルディッキオ・デイ・カステッロ・ディ・イエージは海側の丘陵地で、同じヴェルディッキオ種のヴェルディッキオ・ディ・メタリカはアペニン山脈側で作られているため、まったく異なる味わいのワインを生み出しています。

• イエージ(Jesi):アンコーナ州のにある丘陵地帯
• マテリカ(Matelica):山に囲まれた内陸性の丘陵地

マルケ州のワイン生産量

マルケ州は2017年、693ヘクトリットルの生産量がありましたが、前年比で28%減少しています。赤ワインとロゼが55%、白ワインが45%と、赤、白のバランスが半分づつくらいです。

イタリア全体でみると総生産量は少ない州ですが、有機栽培のワインの生産量に関しては、シチリア州、プーリア州、トスカーナ州についで、イタリアで4番目に多い州です。

一方、2017年の輸出量は2016年に比べて6%増加して輸出額は52百万ユーロで、過去最高を記録しました。

マルケ州のワインの歴史

古代ローマ

初めてマルケ州のワインについての記述が残っているのはポエニ戦争のころのこと紀元前2世紀。ローマの軍隊のためにピチェーニのワインが用意されていたそうです。

また、古代ローマ帝国の皇帝が、マルケ州のヴィンコットという甘いワインを愛飲していたという記録もあります。

また、5世紀にローマを攻略した西ゴート族の王アラリックもマルケ州を通過したときに、土着品種のヴェルディッキオのワインを気に入り、大量のワインを持ち去ったと言われているほど、当時、すでに高品質のワインを作っていました。

中世からルネッサンス

中世になると、ワイン畑は修道院によって管理されるようになります。修道士たちは農民がより高品質のワインを作れるように手助けをし、ワイン造りが盛んにおこなわれていきます。

さらにルネッサンスの時代は、マルケ州北部にあるウルビーノ(Urbino)が文化の中心として繁栄し、その宮廷で地元のマルケ州のワインが使われていました。

特にサクランボとアレアティコ赤ワインで作られる甘口ワイン、ヴィショラが評判を呼びました。

近代以降

19世紀になるとマルケ州の主な農産物は、穀類へと移行し、ブドウ造りは減少しました。

20世紀の初めころ、サンジョベーゼやモンテプルチアーノを作っているピチェーノ((Piceno)がブドウ栽培の重要な地区となります。

州の北側では、主にヴェルディッキオを使った白ワインを中心に作られていました。

1953年にアンフォラの形をしたワインの瓶が生み出され、今でもヴェルディッキオのワインの瓶として世界的に知られています。

20世紀後半には、公立のエノテカやワインに関する博物館なども作られるなど、観光にも関連したワイン産業に力を入れています。

マルケ州で特に有名なワイン

日本国内ではまだマルケ州のワインは知名度が低く、早くからイタリア国外に輸出されていたマルケを代表するワイン、ヴェルディッキオ・ディ・カステッロ・ディ・イエージが日本でも最も有名です。

ヴェルディッキオ・デイ・カステッロ・ディ・イエージ(ウマニ・ロンキ)

マルケ州で最も有名なヴェルディッキオ・デイ・カステッロ・ディ・イエージ。1952年に建築家によってデザインされたアンフォラ型の伝統的なボトルがトレードマークのワインは、シーフード料理との相性が抜群の人気ワインです。

1955年に設立されたワイナリーは、近代的な手法を取り入れることにより規模や品質を飛躍的に向上させ、現在60か国以上に輸出するマルケ州のリーダー的存在です。

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ヴェルディキオ・ディ・メタリカ(ラ・モナチェスカ)

高い山に囲まれたメタリカで作られるヴェルディッキオは、ミネラルの多い土壌の影響もうけ、20年くらいまでの長期熟成に耐える独特な白ワインです。

最高品質のメタリカのワインを作ることで、知名度を上げることに貢献し、高く評価されているワイナリーです。

ロッソ・コーネロ(ガロフォリ)

白ワインが有名なマルケ州で、特徴的な赤ワインとして人気なロッソ・コーネロ。特に、サンジョヴェーゼと混合せず、モンテプルチャーノ100%で作られるガロフォリ社のロッソ・コーネロは10年ほどの熟成にも耐える力強いワインとして人気です。

1871年創業の老舗ワイナリー、ガロフォリは、ヴェルディッキオのパイオニアとして有名ですが、モンテプルチアーノにこだわる赤ワインも高く評価されています。

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まとめ

マルケ州はアペニン山脈を挟んでトスカーナの反対側にあって、トスカーナ州と同じようになだらかな丘陵地帯が続いていて美しい州です。

交通の便があまりよくないために知名度が低いですが、昔のままの本当のイタリアが残っているといわれます。

そのため多くの土着のブドウ品種があり、地域ごとに個性的なワインが多く作られています。

有機栽培も盛んにおこなわれているうえに、コストパフォーマンスの良いワインが多いので、ぜひいろいろ試してみたい注目のエリアです。