カンパーニャ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.01.22 公開 | 2019.01.22 更新

カンパーニャ(CAMPAGNA)州はラツィオ州の南側に位置していて、西側をティレニア海に面した風光明媚な地方です。

州都は、「ナポリ(Napoli)を見てから死ね」という言葉があるほど美しい街ナポリです。ヴェスヴィオ(Vesvio)山や青の洞窟で有名なカプリ(Capri)島、アマルフィ(Amalfi)、ポジターノ(Positano)といった海辺の町も、世界中から観光客を集める景勝の地です。

古代よりブドウの栽培に適した土地として有名でだったカンパーニャ州。ヴェスヴィオ山の近くでは、キリストの涙が落ちた場所に生え育ったブドウからできる素晴らしいワイン(ラクリマ・クリスティ)、という伝説まであるほど銘醸の地です。

カンパーニャ州のワインについて

ベネベント(Benevent)県の「サンニオ・ファランギーナ(Sannio Falanghina)」という古くからの大切なワインの産地が、ついに2019年の欧州ワインの町として正式に認定しました。カステル・ヴェーネレ(Castelvenere)、グアルディア・サンフラモンディ(Guardia Sanframondi)、サンタアガタ・デ・ゴーティ(Sant’Agata de’ Goti)、ソロパカ(Solopaca)、トッレクーソ(Torrecuso)の5つの町を中心に、20年がかりのプロジェクトを進めてきました。この機会に、カンパーニャ州のワインがますます発展することが期待されています。

カンパーニャ州では、科学的な見地からも火山性の土壌による食物やワインの卓越した美味しさをアピールする活動をスタートしています。

カンパーニャ州の水牛のモッツァレッラやアマルフィのレモンや、サンマルツァーノのトマトなどの格付けの食べ物とともに、ワインの魅力も紹介するイベントを行っています。

生産されているブドウ品種

ギリシアの植民地として発達したナポリを州都とするカンパーニャ州は、ギリシアに起源をもつ古いブドウの品種が多く残っています。

また、ブドウの栽培に適した温暖な気候も相まって、80種類以上もの土着品種があると言われています。

カンパーニャ州で最も生産量が多いのは、赤ワイン用のアリアーニコ、サンジョヴェーゼ、バルベーラです。この3種で全体の約40%を占めるほどです。

そして白ワインのトレビアーノ・トスカーノ、マルバジーア・ディ・カンディダ、そしてグレコ・ディ・トゥーフォとが続きます。

最近では特に栽培量の少ない土着の品種に注目が集まっています。
• アリアーニコ
• アレアーティコ
• アスプリーニオ・ビアンコ
• グレコ
• ファランギーナ
• バルべーラ
• トレビアーノ・トスカーノ
• サンジョヴェーゼ
• ピエディ・ロッソ
• シャシノーゾ
• コーダ・ディ・ヴォルピ・ビアンカ
• フォラステーラ
• グアルナッチャ
• フィアノ

カンパーニャ州のテロワールについて

温暖でブドウの栽培に適したカンパーニャ州は、ほぼ州全土で良質なブドウが栽培されています。

州の約半分が丘陵地帯で、山岳部が34.6%、平野部が14.6%。ブドウ畑の土壌の大部分が、活火山ヴェスヴィオ山噴の噴火による独特な地質です。

カンパーニャ州の西側のティレニア海に面した地方は、温暖な気候で乾燥していて風があります。

一方、東側のアペニン山脈側は大陸性気候で、冬の寒さはかなり厳しいため夏との差が大きく、また昼と夜の寒暖差が非常に激しいために、良質な白ワインが作られています。

カンパーニャ州の格付けについて

カンパーニャ州を代表する土着品種アリアーニコ種から作られる赤ワイン、タウラージは、南イタリアのバローロともいわれていて、南イタリアで最初にDOCGに認定さてました。

タウラージは、長いことカンパーニャ州で唯一のDOCG認定ワインでしたが、2003年に白ワインのグレコ・ディ・トゥーフォ、フィアノ・ディ・アヴェリーノが認定され、2011年にアリアーニコ・デル・タブルノが加わり4つのDOCGワインがあります。

このほか、DOCワインが15銘柄、IGTワインが10銘柄あります。

カンパーニャ州の主な産地

カンパーニャ州の中でも、特にブドウ畑の生産地として有名なのは内陸部にあたるアヴェリーノ(Avellino)の周辺で、グレコ・ディ・トゥーフォ、フィアノ・ディ・アヴェリーノなどの良質なDOCG白ワインが栽培されています。

アヴェリーノのさらに北側のベネヴェント(Benevento)周辺は、赤ワインのタウラージやアリアーニコ、他土着のブドウ品種から作られる個性的なワインの産地として人気を呼んでいます。

また海岸に近いヴェスヴィオ山の周辺も、豊かな火山性の土壌で、古くからラクリマ・クリスティなどのワインで有名です。

このほか、州の南西部のティレニア海に面した広大な地域でもDOCワインが作られています。

• アヴェリーノ:ナポリの東の丘陵地帯でDOCG白ワインの産地として著名。
• サンニオ(Sannio):アペニン山脈を背にしたベネヴェント地方の良質なワインの産地

カンパーニャ州のワイン生産量

カンパーニャ州のワインの生産量は、2017年1,293ヘクトリットルで、わずかですが昨年比1%増加しています。

イタリア全体で前年比15%減少しているのに比較すると、良好な結果です。内訳は、DOP,IGPの格付けワインでは白ワインが約60%を占めていますが、全体では白ワインが45.9%、赤ワインが54.1%となっています。

2017年上半期のカンパーニャ州のワインの輸出量は23百万ユーロで、前年比23%の増加です。ここ10年の輸出量は130%も増加していて好調です。

カンパーニャ州のワインの歴史

古代ローマ以前

カンパーニャ州の州都ナポリは、古代ローマより先の紀元前6世紀ころにギリシア人によって建設されたと言われています。

当時すでにワイン作りの技術を持っていたギリシア人が自ら持ち込んだブドウの種が、現在カンパーニャを代表する土着品種アリアーニコ、グレーコ、フィアノ、ファランギーナ、ピエディロッソなどです。

古代ローマ帝国時代には、カンパーニャの州のワインは地中海沿岸の国々や現在のフランスにも輸出されるほど人気を誇っていました。

有名な悲劇の古代都市ポンペイ(Pompei)は、カンパーニャ州の商業の中心として栄えていて、近郊の港からワインを載せた船が多く行き来していました。

中世からルネッサンス

古代ローマ帝国のあとのカンパーニャ地方も混乱を極め、ブドウ畑もワイン作りも暗黒の時代を過ごしますが、それでも数種類のワインは引き続き品質の高さで知られていました。

1300年代に土着品種のアスピプリーニオの強い酸味が、スパークリングを作るときに大きな役割を果たすことがわかっていました。

産地のアヴェルサ(Aversa)まで多くの商人がスパークリングワインを作るためのブドウを買い付けに訪れるようになりました。

近代以降

カンパーニャ州もフィロキセラの大きな被害に遭ったのに加え、19世紀末のイタリア統一によって、ブドウ作りは長い間不遇の時代を過ごします。グレコやフィアノといった現在著名なブドウ品種も絶滅の危機に遭いました。

カンパーニャ州でワイン作りが真剣に注目されるようになったのは1980年代になってからです。

古代ギリシアに起源をもつ個性豊かなブドウ品種が、南の太陽の光を存分に吸収して生み出す南の豊かな味わいのワインは、近年、生産量も増加し、順調な成長を遂げています。

現在では、ポンペイ遺跡の発掘によって見つかったブドウの樹を再現させるプロジェクトも行い、話題を呼んでいます。

ベネベント周辺の5つの町を中心としたサンニオ・ファランギーナが、2019年の欧州ワインの町に決定。

カンパーニャ州で特に有名なワイン

南イタリアのポテンシャルな赤、タウラージは、イタリア3大ワインの一つともいわれるほど、ワイン通には有名。

ラクリマ・クリスティー・デル・ヴェスーヴィオ(マストロベラルディーノ)

「キリストの涙」を意味するラクリマ・クリスティーは、ヴェスヴィオ火山の麓で土着品種ピエディロッソで作られていて、ナポリを旅行した人にはおなじみの有名なワインです。

マストロベラルディーノ社は200年以上も続く老舗のワイナリーで、カンパーニャ州の土着品種にこだわり、カンパーニャのワインの魅力を早くから海外へも進出することによってアピールし続けたイタリアワイン界の功労者として称えられていて、数々の賞を受賞しています。

ワインの詳細を見る

タウラージ2013(フェウディ・ディ・サン・グレゴーリオ)

「南のバローロ」とも称される南イタリア地方きっての高品質な赤ワインタウラージ。カンパーニャを代表する土着品種アリアーニコを使って作られ、力強さと繊細さをあわせもつ人気のワイン。

2013年ヴィンテージはイタリアのワインガイド「ガンベロロッソ」誌において、最高のトレビキエッリを受賞したほか、多くのワイン誌で高い評価を得ています。

フェウディ・ディ・サン・グレゴーリオは、1980年代のナポリ北部の地震の復興のために地元出身のエンツォ・エルコリーノ氏が家族で興したワイナリー。大学と土着品種や土壌を徹底的に共同研究し、最新のテクノロジーを用いた現代的な作り手として知られています。

ワインの詳細を見る

まとめ

何もしなくても良質なブドウが育つほどあまりにも自然環境が恵まれていたために、これまで際立った動きのなかったカンパーニャ州のワイン作り。

20世紀の後半には、ほかの南イタリアの地のように、流行りの国際品種の提供地のようでしたが、ここ数年、土着品種に特化したワイン作りが高く評価されています。

古代からの伝統をもとに、2019年に欧州ワインの町としての活動の中で、さらに未知なる秘めたパワーがさらに大きく開花していくことが期待されています。