カラブリア州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.04.11 公開 | 2019.04.11 更新

長靴型をしたイタリア半島のつま先にあたるカラブリア(CALABLIA)州。

細長い地形の西側をティレニア(TIRRENO)海、南側と東側はイオニア(IONIO)海に面していて、地中海の美しい海に恵まれ、中央にはアペニン(APPENINNI)山脈が通っていて高い山もある自然にあふれた地域です。

北側にはバジリカータ(BASILICATA)州、つま先の先端にあたる最南端は、シチリア(SICILIA)島が目の前に迫っています。

イオニア海に面した、ほぼ州の中央部にあたるカタンザーロ(CATANZARO)が州都です。

古代ギリシア人が、ブドウの生育に適している肥沃な大地を讃えて、ワインの大地を意味するエノトーリアと名付けていたといわれます。

現在のカラブリア州を代表するワインは、激辛な郷土料理にも合う土着品種を使ったフルーティなチロ・ロッソです。

カラブリア州のワインについて

イタリア国内でも知名度の低かったカラブリア州のワインですが、数年前にニューヨークタイムズの20ドル以下で手に入る価値のあるワインにチロ・ロッソが選ばれたことをきっかけに、最近、勢いのあるカラブリア州のワイン。

伝統的なワイナリーも世代交代で、これまでのブレンド用の量産ワインでなく新しいカラブリアの独自の魅力あるワイン作りに挑戦しています。

DOCチロ・ロッソを作る古代からの土着品種ガリオッポだけではなく、これまで忘れられていた土着品種にもスポットをあて、研究が続けられてきました。

その中でも土着品種のペコレッラで作る白ワイン、ペコレッラ・ビアンコが、初めて2019年のガンベロロッソ誌で最高賞のトレビキエッリを受賞しました。

生産されているブドウ品種

古代ギリシアの植民地として発展したカラブリア州には、多くの歴史的な土着品種に恵まれています。

その中でも最も生産量が多いのがガリオッポ。カラブリア州の多くの良質な赤ワインに使われています。

そのほか北カラブリア州の土着の品種マリオッコ種からも、長期熟成に耐える良質な赤ワインが作られています。

このほか、シチリアでも多く用いられるネレッロ・マスカレーゼ種、ネレッロ・カップチーノ種も香り良い赤ワインが作られる人気の品種です。

カラブリア州というと赤ワインが有名ですが、カラブリア州を代表するビアンコ(BIANCO)村の土着品種グレーコ・ビアンコが有名です。

このブドウから作られる甘口ワインは、生産量が少なく希少なワインとして珍重されています。このほかマントーニコやトレビアーノ・トスカーノやシャルドネなども作られています。

• ガリオッポ
• マリオッコ
• ネレッロ・マスカレーゼ
• ネレッロ・カップチーノ
• グレーコ・ネーロ
• カラブレーゼ
• グレーコ・ビアンコ
• トレッビアーノ・トスカーノ
• マントーニコ
• グエルナッチャ
• マルバジーア・ビアンカ
• シャルドネ
• モスカテッロ
• ペコレッラ

カラブリア州のテロワールについて

カラブリア州は海岸沿いに平野がわずか9%あるのみで、そのほかアペニン山脈がつま先の先端まで貫いているので山岳部が41.8%、丘陵地が49.2%もあります。

細長い形をしたカラブリア州ですが、ティレニア海に面した側とイオニア海に面した側で大きく2つのテロワールに分かれます。

州北部のティレニア海に面したコセンツァ(COSENZA)県の周辺などは気温差が激しい大陸性気候です。

白ワイン用のブドウの栽培に適していて、香り高いワインができあがります。

州中央のシラー(SILA)山岳地帯では気温が高く、北アフリカから吹き付けてくるシロッコと呼ばれる温かい風や冷たい北風の影響を受けるので、糖度の高いブドウを生み出します。

土壌も火山性の石灰質土壌なので、ブドウは長期熟成にも耐えうる強いタンニンが特徴的です。

一方、イオニア海側は海岸沿いだけではなく、内陸側も地中海性気候をしています。

粘土石灰質の土壌は、ガリオッポの育成に適していて、ミネラル分の強いブドウを生み出します。

カラブリア州の格付けについて

長いワインの歴史を誇るカラブリア州ですが、北イタリアと経済的格差の激しい南イタリアのほかの州のように20世紀の後半のイタリアワインブームに乗り遅れた感があり、DOCGのワインは一つもありません。

格付けのワインよりも、まだ値段の安いテーブルワインが州の生産量の主流を占めています。

DOCは白、赤、ロゼの3種類をもつDOCチロをはじめとする9銘柄、IGTは10銘柄です。

カラブリア州の主な産地

最も有名なDOCワイン、チロの産地は、クロトーネ(CROTONE)県のイオニア海に面したチロ(CIRO)、チロ・マリーナ(CIRO MARINA)です。

最新技術によって、土着品種ガリオッポの収穫量が大幅に増加しています。

州北部のバジリカータ州に近いコセンツァ県の500~700mの丘陵地では、土着品種のマリオッコ・カニーノ種が主に作られていて、DOCテッレ・ディ・コセンツァが有名です。

また800mの高度のあたりでは、グレーコ・ビアンコやグアルナッチャが作られています。

このほかティレニア海側の中央部、サヴート(SAVUTO)川の近くラメッツィア(LAMEZIA)などでは、サヴートDOC、ラメツィアDOC、スカヴィアーノDOCがあり、ガリオッポ、マリオッコ、グレコ・ネーロ、アリアーニコなどが栽培されています。

また、白ワイン用にトレビアーノ・トスカーノ、マルバジーア・ビアンカなどが作られています。

チロ:南イタリアのバローロともいわれるチロ・ロッソの産地。

カラブリア州のワイン生産量

カラブリア州の2017年の生産量は491ヘクトリットル。2016年に比べると約23%も減少しました。イタリア全体の量に占める割合は、わずか1.07%です。

州の面積に対するブドウ畑の面積はわずか10%に過ぎず、20,000ヘクターにも満たない大きさです。

内訳は、赤ワインとロゼが72.4%、白ワインが27.6%と圧倒的に赤ワインが多いです。

2017年の輸出量は2016年に比べて6%増加したにも関わらず、量はかなり少なくイタリア全体に占める割合は0.1%にすぎません。

生産量が少ないので、ほぼイタリア国内で消費されています。

カラブリア州のワインの歴史

古代ローマ以前

○古代ローマ以前
バジリカータ州は、紀元前8世紀に古代ギリシア人に植民地化される遥か以前から古い文明を持つ地方です。

古代ギリシア人の統治下のもと重要な都市国家として繁栄し、ブドウやワイン作りの技術がギリシアから伝えられました。

ワインの大地との呼び名を持ち、古代ギリシア時代の古代オリンピックで勝者に与えられる栄誉あるワインの産地として、当時から銘醸の地として知られていました。

中世からルネッサンス

1000年ごろには、カラブリア地方では交易や漁業と並んでワインが重要な産業になっていたことが記録に残されています。

ブドウ作りに恵まれた気候と優れたブドウ品種によって、カラブリアのワイン作りは発展しました。

1600年代の終わりには、ブドウの栽培面積が少なくとも、1000ヘクタールはあったといわれるほど、最盛期を迎えます。

近代以降

19世紀の後半、フィロキセラによって甚大な被害を受け、ブドウ畑の大部分が壊滅状態に陥りました。

また、北イタリアのサヴォイア家によるイタリア統一によって、カラブリアをはじめとする南イタリアは不平等な政策で、ワインを含めた多くの産業が著しく衰退しました。

20世紀になると、ブレンド用の量産ワインを多く生産してきました。カラブリアのブドウは北の地方のブドウにはないきれいな色と高いアルコール分が特徴的で、ワインに力強さを加えるためにイタリア国内外の地域から高い需要があったのです。

恵まれた豊富な土着品種を生かしたカラブリア州ならではの上質なワイン作りは、ほかの地方よりもかなり遅れ、ちょうど今、若い世代の生産者たちの努力の成果が少しづつ表れてきています。

カラブリア州で特に有名なワイン

カラブリア州のワインは輸出量が少ないわりに、日本では比較的容易に手に入ります。

人気ワイン漫画「神の雫」でキムチに合うと紹介されていたガリオッポ主体のワインは、激辛料理の時にぜひ試してみたいものです。

チロ・ロッソ・クラシコ・スーペリオーレ(イッポーリト)

最古のブドウ品種ガリオッポ100%で作られる高品質なチロ・ロッソ。南イタリアのバローロともたとえられるほど、複雑な味わいを持つ長期熟成にも耐える赤ワインです。

1920年代にチロマリーナ地区の畑で作ったガリオッポ種のブドウをカラブリア州で初めて自社で瓶詰めを行い、チロという名前で販売を始めたのは、現オーナーの祖父。まさにチロのパイオニアともいうべきワイナリー。

南イタリア屈指の老舗イッポリート社の現オーナーは、日本にも何度も来日しているほど、輸出へも力を入れていて、カラブリア州のワインの魅力を世界へアピールする役目も担っています。

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グラヴェッロ・ロッソ(リブランディ)

カラブリア州の代表的な土着品種ガリオッポと国際品種カベルネ・ソーヴィニヨンという異色の組み合わせで新しい魅力を生み出したIGTロッソ・ディ・ヴァル・ディ・ネト、グラヴェッロ・ロッソは、ワイン・アドヴァケイト氏で89点を獲得した秀逸なワイン。

人気ワイン漫画「神の雫」にも登場したことで、日本でもワインファンにはおなじみですね。

4世紀続く伝統的なワイナリー、リブランディ社は、カラブリア独自の土着品種の魅力をさらに表現するために研究を続けている南イタリアを代表するワイナリーです。

赤、白、ロゼのDOCチロのほか、土着品種マリオッコから作られるマーニョ・メゴーニョ・ロッソも高い評価を受けています。

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まとめ

イタリアワインとしては知名度が今ひとつのカラブリア州ですが、ワイン作りのパイオニア古代ギリシア人に讃えられたブドウの大地。

地中海の美しい海と太陽に育まれた最古のブドウ品種から作られるのですから、美味しくできるのも納得です。

地中海の恵みをうけた力強いパワーを秘めたワインなのに、まだ値段も比較的手ごろなものが多いところも嬉しいですね。

豊かなタンニンと強い果実味があふれる南イタリアのバローロ、唐辛子を使った料理とのマリアージュ試してみたいですね。