バジリカータ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.03.20 公開 | 2019.03.20 更新

イタリア半島南部、プーリア(puglia)州とカラブリア(CARABRIA)州に挟まれた小さな州バジリカータ(BASILICATA)は、日本での知名度は高くありませんが、世界遺産に登録された谷の斜面に作られた洞窟住居サッシがあるマテーラ(MATELA)の州といえばご存知の方も多いはず。

イオニア(IONIO)海とティレニア(TIRRENO)海の海岸線を持つバジリカータ州ですが、州都は内陸の町ポテンツァ(POTENZA)です。お隣のプーリア州同様、古くからギリシアの影響を受けて発展した州だけあって長いワインの歴史がありますが、生産量が少ないために日本ではまだあまり手に入りにくいようです。

バジリカータ州のワインについて

2019年はバジリカータの国際遺産都市マテーラが、ヨーロッパの文化の首都に認定されています。

ワインやオリーブをはじめ豊かな食文化も誇る州なだけに、いろいろな国際的なイベントでバジリカータ州のワインをアピールする予定が組まれています。

2019年のガンベロロッソに、バジリカータ州の4つのアリアニコ・デル・ヴルトゥーレが最高賞のトレビキエッリを受賞しました。

まさに南イタリアを代表する力強い赤ワインとしてますます注目が集まっています。

生産されているブドウ品種

バジリカータ州で最も生産量が多いのは、赤ワインに使われる土着のアリアニコ・デル・ヴルトゥーレ種で、州のブドウ畑の約60%がこの品種を栽培しています。

このほか、プリミティーボ、サンジョベーゼやモンテプルチアーノ、アレアーティコなどのイタリア品種のほか、カベルネソーヴィニヨンやメルローなどが主な品種です。

一方、バジリカータ州では白ワインの生産自体が少ないですが、土着の香り高いマルバジーア・ビアンカ・ディ・バジリカータ、ヴェルデーカ、ボンビーノ・ビアンコ、そしてシャルドネなどを使って、香り高い白ワインが作られています。

• アリアニコ・デル・ヴルトゥーレ
• プリミティーボ
• サンジョベーゼ
• モンテプルチャーノ
• アレアーティコ、
• ボンビーノ・ネーロ
• カベルネソーヴィニヨン
• メルロー
• マルバジーア・ネーロ・ディ・バジリカータ
• ヴェルデーカ
• ボンビーノ・ビアンコ・ディ・バジリカータ
• シャルドネ

バジリカータ州のテロワールについて

バジリカータ州はアペニン山脈が貫いているために、平野がわずか8%で、山岳部が46.9%、丘陵地が45.1%と起伏の多い地形をしています。

気候は、全体的に地中海の特徴を備えた大陸性気候で、海岸沿いも内陸部も暑く乾燥していて、ブドウの栽培に最適なテロワールを生み出しています。

州北部にある標高1326mの休火山ヴルトゥーレ山(MONTE VURTURE)の周辺は、土壌にカリウムが多く含まれていて、ブドウに独特のフレッシュなうま味を与えます。

また夏はとても暑く乾燥しているのですが、凝灰岩は多孔性なので冬の間に十分な水分を吸収して、夏の乾燥した時期でもブドウに必要な湿度を与えることができるために、良質のブドウができあがります。

また州の中心ポテンツァに近いアペニン山脈の高い山に囲まれた谷間にあたるヴァル・ダグリ(VAL・D’AGRI)は、標高が600~700mのところに位置していて、夏から秋の収穫時期までに寒暖差が激しく、砂と粘土の豊富な土壌から、しっかりしたタイプの赤ワインが作られます。

マテーラ周辺は標高が300m近くまである丘陵地で、内陸部にあるために夏は暑く乾燥していますが、気温の寒暖差が激しく、上質なプリミティーボやサンジョヴェーゼなどが作られています。

バジリカータ州の格付けについて

小さな州だけにDOCGのワインはアリアーニコ・デル・ヴルトゥーレ・スーペリオーレの1銘柄だけですが、イタリア南部を代表する上質な長期熟成赤ワインの一つとして高く評価されています。

このほかDOCは赤ワインが3銘柄と白ワインが1銘柄、IGTはバジリカータIGTという1銘柄のみで、バジリカータ州全域を対象としています。

2017年の総生産量に対して、DOCGとDOC、 IGTがそれぞれ約30.5%、テーブルワインが約39%を占めています。

バジリカータ州の主な産地

平野部が少ないバジリカータ州ですが、最も有名なDOCGワイン、アリアーニコ・デル・ヴルトゥーレが州北部のヴルトゥーレ山の周辺でのみ作られているほか、アペニン山脈の山岳部の斜面にあたるヴァル・ダグリで、2つのDOC赤ワインを生産しています。

このほか、岩肌に作られた洞窟住居のあるマテーラ周辺のイオニア海へと続く丘陵地帯はルカーニアと呼ばれる古くからのブドウの産地で、マテーラ・グレコというDOC白ワインが作られています。

また、この地方のプリミティーボなどで作られるマテーラDOCの赤ワインはフルーツの香りが高いと定評があります。

ヴルトゥーレ:バジリカータ州唯一の長期熟成にも耐えるDOCG赤ワインの産地

バジリカータ州のワイン生産量

バジリカータ州の2017年の生産量はわずか85ヘクトリットルですが、2016年に比べても約2%のみの減少なので、天候不順で2017年の収穫量のみが少なかったわけではなく、圧倒的にワインの生産量が少ない州です。

しかもここ数年は、生産量の減少が続いています。イタリア全体の量に占める割合も、わずか0.2%にも満たない状態です。

内訳は、赤ワインとロゼが82.3%、白ワインが17.7%と圧倒的に赤ワインが占めています。

生産量が少ないために輸出量はかなり少なく、イタリア全体に占める割合は0.03%にすぎません。また、過去5年間で特に大きな変動はありません。

バジリカータ州のワインの歴史

古代ローマ以前

バジリカータ州では、紀元前1000年以上も前からブドウの栽培がおこなわれていて、ワインも作られていたともいわれます。

紀元前7世紀ごろに、植民地として古代ギリシアのワインの醸造が伝えられました。

バジリカータ州を代表するアリアーニコ種も、ギリシアを意味する言葉から発展したもので、紀元前7世紀ころにはこの地方で栽培されていて、すぐに南イタリア全域に広がっていきました。

中世からルネッサンス

13世紀ころになると、アリアーニコ種はヴルトゥーレ地方の良質な赤ワインを意味するようになり、ナポリの宮廷で用いられました。

近代以降

18世紀から20世紀の初めころまで、ナポリの隆興とともに、バジリカータ州のワインも大いに繁栄しました。

1887年に州都ポテンツァで行われたバジリカータ州のワイン醸造に関する展示会では、州の土着品種が30発表されましたが、20世紀後半には154種類もの土着品種が確認されています。

バジリカータ州は良質なワインを多く産しているにも関わらず、地元志向が強い土地柄のため、ほかのイタリアの地方のワインに比べてマーケティングの面でかなり遅れを取っています。

バジリカータ州で特に有名なワイン

日本で手に入るバジリカータ州のワインは、なんといってもアリアニコ・デル・ヴルトゥーレです。数ある中でも、最も有名だと思われるワインをご紹介します。

2019年版のガンベロロッソでも最高賞を受賞しています。

ラ・フィルマ・アリアニコ・デル・ヴルトゥーレ(カンティーナ・デル・ノタイオ)

人気ワイン雑誌「ワイン王国」で、「すごい!イタリア全73DOCG103本」に選ばれたことで、日本のワインマニアにも有名なバジリカータ州のワイン。

イタリアでもガンベロロッソの最高賞をはじめ各種賞を受賞しています。

カンティーナ・デル・ノタイオの現オーナーは農学博士で研究者として活躍していましたが、7代続くブドウ畑を相続した後は、これまでの研究成果をもとに素晴らしいアリアニーコを生み出すワイナリーを設立しました。

バジリカータのワインの価値を高める第一人者として注目されています。

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まとめ

日本ではあまり知られていないバジリカータ州のワインは、イタリア国内でも生産量が低いため知名度はいま一つです。

実際は、ギリシアの玄関口に近いので、イタリア半島でもの中でも長いワイン作りの歴史があって、土着のブドウ品種から南イタリアのバローロともいうべき上質の赤ワインを作っています。

バジリカータの人の気質のせいか、まだワイン市場に対して古い体質が残っていますが、未知数を大きく秘めた注目の州です。