アブルッツォ州のワインの特徴、当たり年や主なワイナリー

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2018.11.22 公開 | 2018.11.22 更新

アブルッツォ(ABRUZZO)州は、西をアペニン山脈でラツィオ(LAZIO)州と境をなし、東はアドリア海に面しています。

北はマルケ(MARCHE)州、南はモリーゼ(MOLISE)州と豊かな自然に恵まれていて、農業の比率が高い州です。州都は、内陸都市のラクイラ(L’Aquila)で、2009年に起きた地震によって大きな被害を受けています。

州のほぼ全域で作られているモンテプルチャーノ・ダブルッツォを代表とするアブルッツォのワインは、コストパフォーマンスの良さで人気があります。

アブルッツォ州のワインについて

近年、大成功を収めている北イタリアのスパークリングワインに、実はアブルッツォのトレビアーノ種も使われています。

アブルッツォ州でも豊富な土着品種のブドウを使った独自のスパークリングを作ろうと、キエティ(CHIETI)県のワインの生産者組合Vin Coを中心としたプロジェクトが結成され注目を集めています。

アブルッツォ出身の元F1レーサー、ヤンノ・トゥルッリ氏がワイン醸造家に転身し、アブルッツォの歴史的なワイナリー、ポデーレ・カストラーニで、2000年の収穫期より個性的なワイン作りを行っています。

世界中を回り、ワインに関する広い知識を持つヤンノ氏が生み出す高品質なモンテプルチャーノ・ダブルッツォをはじめとするワインは、ほぼイタリア国外へ輸出され、アブルッツォワインの新しい魅力を発信しています。

生産されているブドウ品種

アブルッツォ州で最も生産量が多いのは、土着のブドウ品種モンテプルチャーノです。

トスカーナのDOCGワインのヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノと間違えられることが多いのですが、まったく別のブドウ品種です。

白ワインで多く使われているブドウ品種トレビアーノ・ダブルッツォは、ほかの地方のトレビアーノよりミネラル分が強く、フローラルな香りが特徴的です。

また、ペコリーノ、パッセリーナ、ココッチョラなどの土着のブドウ品種も、その爽やかな味と香りで最近特に注目されています。
• モンテプルチャーノ
• トレビアーノ・ダブルッツォ
• トレビアーノ・トスカーノ
• ペコリーノ
• サンジョヴェーゼ
• チリエッジョーロ
• ピノ・ビアンコ
• ピノ・グリッジョ
• ピノ・ネーロ
• リースリング・イタリコ
• リースリング・レナ―ノ
• ココッチョラ

アブルッツォ州のテロワールについて

グランサッソ(GRANSASSO)山やマイエッラ(MAIELLA)山などの3000m近い高さをほこる山々がそびえるアペニン山脈があるアブルッツォ州は、山岳部が全体の約65%も占めていて、残る約35%の丘陵部にほとんどのブドウ畑が広がっています。

また、丘陵部の中でもブドウ畑の半分以上はアドリア海に近い側に位置しています。

アブルッツォ州の気候は大きく二つに分かれていて、アドリア海に面した東側は、地中海性気候で夏は暑く乾燥した気候で、冬は穏やかな気候です。特に丘陵部は雨が多く降ります。

一方、アペニン山脈側の内陸部は高い山の影響を受けた大陸性気候で、寒暖の差が激しいという特徴が強く表れています。

アペニン山脈とアドリア海からの風の影響を強く受けた丘陵部の土壌は、石灰粘土質です。この土壌は、モンテプルチャーノ種のようなしっかりしたブドウに適しています。

また、海に近い丘陵部は、砂粘土質の土壌をしていて、白ワイン用のブドウが多く栽培されています。

アブルッツォ州の格付けについて

アブルッツォ州のワインで最も有名なのは、DOCワインのモンテプルチャーノ・ダブルッツォ。このワインは、イタリアで生産されるDOCワインの上位3位に入るほど、生産量が多いことでも有名です。実際、アブルッツォ州で生産される格付けワインの約8割を占めています。

モンテプルチャーノ・ダブルッツォは、1968年のイタリア初の格付けでDOCに認定されていましたが、特に良質なコリーネ・テラマーネ(COLLINE TERAMANE)地区のものが、2003年に州唯一のDOCGに認定されました。

現在、モンテプルチャーノ・ダブルッツォは、5つのソットゾーナがありますが、そのうちカサウリーアとテーレ・ディ・ヴェスティーニが、単独でのDOCGへ申請中です。

このほか、DOCが7銘柄、IGTが8銘柄あります。

アブルッツォ州の主な産地

ほとんどのブドウの生産地はアドリア海側の丘陵地に広がっていて、ほぼ全域でモンテプルチャーノ・ダブルッツォが生産されています。アドリア海沿岸部でも北部になだらかな丘陵地帯のあるテラモ(TERAMO)県では、長期熟成に耐え味も香りもしっかりしたDOCGのモンテプルチャーノ・ダブルッツォ・コリーネ・テラマーネを生産しています。また、白ワインのペコリーノやパッセリーナもこの地方の特産です。

沿岸部にある州第二の都市ペスカーラ(PESCARA)を中心とするエリアでは、モンテプルチャーノの他、トレッビアーノ・ダブルッツォなどの白ワインも多く生産されています。

また、アペニン山脈側では、ブドウの栽培できるエリアが非常に限られていますが、激しい温度差を利用した高品質なワインを生産しています。

テラモ:モンテプルチャーノの中でもDOCGに格付けされた生産地

アブルッツォ州のワイン生産量

アブルッツォ州は、2016年に比べて約20%も生産量が減少しましたが、2017年3,166ヘクトリットルのワインを生産し、イタリア全体で5番目の生産量を誇っています。内訳は、赤ワインとロゼが58.5%、白ワインが41.5%です。

アブルッツォ州のワインは、アメリカを筆頭にドイツ、イギリスの順に輸出をしていて、毎年、順調な伸びを示しています。2016年には150百万ユーロの輸出額で、前年に比べ6.8%の伸びを記録しました。

アブルッツォ州のワインの歴史

古代ローマ以前

アブルッツォ州では、古代ローマ時代以前のエトルリア人が、紀元前1000年ころからアドリア海側の丘陵地で、すでにワインを生産していたと言われます。古くは紀元前2世紀のギリシア人の歴史家が、アブルッツォのワインを称賛する記述も残しています。

古代ローマ時代にも、アブルッツォの土壌が豊かで、ブドウも栽培されていることが記録されています。

中世からルネッサンス

アブルッツォ地方も、そのほかのイタリアの地方と同様に、古代ローマ帝国の崩壊後、ブドウ畑も荒廃します。約13世紀の終わりになって、トレビアーノ種がマルケ州やアブルッツォ州で栽培されているという記録があり、ブドウの栽培が再開され、ワイン業も盛んになっていきます。

16世紀にはファルネーゼ公妃マルゲリータが、宮廷内で高品質のアブルッツォのワインを使って賓客をもてなし、ヨーロッパ宮廷にアブルッツォ産のワインを広めました。700年代になると、現在最も多く栽培されているモンテプルチャーノ種による記録も登場します。

近代以降

20世紀になると、アブルッツォ州もフィロキセラの大きな被害に遭い、モンテプルチャーノ種も絶滅寸前の危機にまで陥りました。その後、質より量を重要視し、大量生産したために、一時期はアブルッツォのワインと言えば、テーブルワインを指すような状態に陥りました。

20世紀の後半になってから、イタリアのそのほかの州のように、質を重要視したワイン造りに方向転換します。現在でも、モンテプルチャーノをはじめ、多くの個性的な土着品種から作られるアブルッツォワインアをアピールしようと、州をあげて様々なプロジェクトを展開しています。

アブルッツォ州で特に有名なワイン

アブルッツォのワインは、手ごろなイタリアワインの中でも良質なものが多いために、日本でも比較的人気が高いです。

カザーレ・ヴェッキオ・モンテプルチャーノ・ダブルッツォ(ファンティーネ・ファルネーゼ)

ワイン漫画「神の雫」で、コストパフォーマンスの良さを絶賛されたモンテプルチャーノ・ダブルッツォは、ガンベロ・ロッソでも高い評価を受けています。ブドウを4分の1の量に剪定することによって、通常のモンテプルチャーノ・ダブルッツォよりも濃縮した香りと味わいが魅力的なワインです。

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ペコリーノ(コッリフリージオ)

人気のワイン雑誌「ワイン王国」のコスパ部門の特集で最高評価を得たアブルッツォ州のワイン、ペコリーノ。アブルッツォの同名の土着のブドウ品種ペコリーノ100%で作られるペコリーノは、最近イタリアでも人気のワインです。

ワイナリーの3代目にあたる2人の若者に生み出されるコッリフリージオのワインは、アブルッツォの自然を生かしながら有機農業も行う一方で、最新技術をも取り入れ、すべての行程を自社で行うという徹底した管理のもとに作られています。

イタリア国内でも、最高生産者賞を連続で受賞するなど高い評価を受けているワイナリーです。

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まとめ

アブルッツォ州のワインで最も有名なモンテプルチャーノ・ダブルッツォは、山と海に囲まれた豊かな自然の中で生み出されるだけあって、香りも味もしっかりした赤ワインであるにもかかわらず、手軽に楽しめる価格設定で、イタリア国内でも人気のワインです。日本にも多く輸入されているので、試してみる価値があります。

赤ワインのイメージが強いですが、実際にはトレビアーノ・ダブルッツォをはじめ、ペコリーノ、パッセリーナなどの土着の個性的な白ワインのブドウ品種も、コストパフォーマンスの良いワインとして注目されています。スパークリングワインも、これからが楽しみです。