ラングドック・ルーションワインの特徴、当たり年やおすすめワインまとめ

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2018.11.22 公開 | 2018.11.22 更新

今回紹介するのは、フランス南部は地中海に面した広大なワイン産地「ラングドック・ルーション地方」です。

フランスワインと聞けば、日本では誰もがボルドーやブルゴーニュを思い浮かべると思います。

しかし、実はフランスで生産量が一番多いワイン産地は、ラングドック・ルーション地方なのです。

ワイン界では「フランスの新世界」とも呼ばれ、伝統と新しさが混じり合い個性に溢れたワインがたくさん造られています。

ブドウ品種や格付けなどの基本的な情報をチェックし、ラングドック・ルーション地方のワインの歴史を掘り下げていきましょう。

ラングドックワインについて

フランスの高級ワインと言えばブルゴーニュ地方やボルドー地方が有名です。

一方、ヴァン・ド・ターブルやヴァン・ド・ペイなどの気軽なワインは、その大半がラングドック・ルーション地方で造られています。

ブドウ栽培に適した土地柄、昔は品質よりも量を重視した生産を行っており、めきめきとブドウの栽培面積を増やしました。

しかし、2000年初頭にその傾向が見直され、数を大幅に減らすことで品質を重視したブドウ栽培とワイン造りが行われるように。

近年はビオディナミやビオロジックを実践する生産者や、伝統品種と新世界の品種をアッサンブラージュするなどの独自性を追求しています。

生産されているブドウ品種

ラングドック・ルーション地方で生産されているブドウ品種は以下の通りです。

〈赤〉
● グルナッシュ
● シラー
● カリニャン
● ムールヴェルド

〈白〉
● クレレット
● グルナッシュ・ブラン
● ピクプール
● ユニ・ブラン
● マルサンヌ

ピクプールやムールヴェルドはスペインからきた土着品種であり、この地域ならではの個性を生み出しています。

ラングドック地方のテロワールについて

ラングドック・ルーション地方は地中海性気候の影響を受けており、夏には雨が少ないため日照時間が多いのが特徴です。

太陽の陽をたくさん浴びてブドウが糖を蓄えるためアルコール度数が高く、どっしりした印象のワインに仕上がります。

風が強く乾燥しているためブドウ栽培に向いており、害虫の被害に遭いにくいことも、ラングドック地方のワイン生産が盛んになった理由のひとつ。

ラングドック・ルーション地方のテロワールで重要なのが「ガリッグ」という石灰岩の灌木林地帯です。

これはラングドック地方における土壌の大きな特徴ですが、広大な面積を持つ産地なだけにその土壌は地域によって大きく異なり、シストや石灰岩質が目立ちます。

ラングドック地方のAOC(格付け)について

ラングドック地方ではAOCが階層化されており、上から

● クリュ・デュ・ラングドック
● グラン・ヴァン・デュ・ラングドック
● AOCラングドック

と格付けされ、その下にヴァン・ド・ペイやヴァン・ド・ターブルが続きます。

ラングドック内で最上位とされる「クリュ」の格付けは以下の6つです。

● コルビエール・ブトナック
● ミネルヴォワ・ラ・リヴィニエール
● サン・シニアン・ベルル
● サン・シニアン・ロックブラン
● フォジェール
● ラ・クラップ

ルーション地方には以下のようなAOCがあります。

● バニュルス(天然甘口ワイン)
● コリウール
● コート・ド・ルーション(ヴィラージュ)
● リヴザルト(ミュスカ・ドゥ・リヴザルト)
● モリー

ラングドック地方内の主な産地

ラングドック・ルーション地方は北部ラングドック、南部ラングドック、ルーションの3つに大きく分けられます。

〈北部ラングドック〉
● クレレット・デュ・ラングドック
● ミネルヴォワ
● サン・シニアン
● ラングドック
● フォジェール
● カバルデス

〈南部ラングドック〉
● コルビエール
● マルペール
● フィトゥ
● リムー

〈ルーション〉
● コート・デュ・ルーション
● コリウール

ラングドックワインの生産量

フランスで最もワインの生産量が多いラングドック・ルーション地方は、世界中のワインのおよそ5%をも占めています。

約22,400ヘクタールの面積に21,300ヘクタールを超えるブドウが植えられ、年間で1億ヘクトリットルを超えるワインを生産。

これはフランスワインの3分の1を占めており、フランスが輸出するワイン全体の約40%にものぼる量です。

その約80%が赤ワインであり、白ワインは10%、ロゼが14%となっています。

ラングドックワインの歴史

フランスにブドウ栽培とワイン造りが伝わったのは西暦0年の頃で、1~2世紀にかけてフランス全土へ広まりました。

その後、ワインがキリストの血としてキリスト教と結びつくと、各地の修道院と修道僧がワインの生産と管理を行うように。

農作の1つとして行われていたワイン造りが経済力を持つ人々の手に渡ったことにより、ブドウ栽培やワイン造りの技術やクオリティが飛躍的に伸びたのです。

ワイン好きのカール大帝(シャルルマーニュ大帝)

ラングドック・ルーション地方でワイン造りが最初に盛んになったのは6~7世紀の頃で、ワインが大好きなシャルルマーニュ大帝のためだったといいます。

フランス南部はワイン造りが伝わった場所でもあるので、ほかの地域よりも技術が発達しており、良好な気候も手伝ってワイン造りが活発になりました。

アニアーヌの聖ベネディクトゥス

イタリア生まれの聖ベネディクトゥスは400年台後半から活躍する、西ヨーロッパに大きく影響を与えたベネディクト修道会の創設者です。

彼が定めた「聖ベネディクトゥスの戒律」の中では、ワインの飲み方や飲む量についても言及されています。

彼の死後、6~7世紀頃に「聖ベネディクトゥスの戒律」を用いる革命家として、アニアーヌのベネディクトゥスが活躍します。

ベネディクト修道会では自給自足のような労働が美徳とされていたので、ブドウ畑がどんどん広がり、ワイン造りが盛んになっていったのです。

19世紀のフィロキセラによる被害

フランスワインの歴史を大きく変えた出来事のひとつに「フィロキセラ禍」があります。

ラングドック・ルーション地方でもフィロキセラによる被害は大きかったものの、恵まれたテロワールによってブドウ栽培が復活しました。

回復してからしばらくは大量生産のためのワインがメインで、あまり品質が良くないとされていたラングドック・ルーションワイン。

近年は伝統を守りつつも、自然派ワインの試みや新世界のブドウ品種を取り入れるなど、独自の進化を遂げている真っ最中です。

ラングドック地方でとくに有名なワイン

いざ、ラングドック・ルーション地方のワインを飲もう!と思ったとき、どのワインを選べばいいのか迷ってしまいますよね。

ここではラングドック・ルーションの中でも特に有名なワインを数本選んで紹介します。

天然甘口ワイン バニュルス

ルーション地方で有名な天然甘口ワイン。こちらは軽やかさがあるので飲みやすく、甘口ワインが苦手な人でも楽しめるでしょう。

デザートと一緒に飲んでもいいですし、締めのワインとしてゆっくり味わうのもおすすめです。

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ドメーヌ・フーリエ・フォジェール・アダージョ・デ・テロワール

ブルゴーニュ地方で活躍する造り手である「ドメーヌ・フーリエ」はジュヴレ・シャンベルタン村を中心に高級路線のワインを造っています。

そのドメーヌがラングドックで造ったワインが「ドメーヌ・フーリエ・フォジェール・アダージョ・デ・テロワール」です。

本場のブルゴーニュワインを買おうと思っても簡単には手が出ませんが、こちらのワインは造り手をそのままに低価格を実現しています。

自然派ワインのパイオニア「ジェラール・ベルトラン」

2011年にヨーロッパで一番優れたワイナリーに選出された「ジェラール・ベルトラン」は世界で注目され続ける造り手の一人です。

フランスのオーガニックワインを牽引する巨匠とも言われ、高級レストランやエアラインのファーストクラスなどで使われています。

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まとめ

ボルドー地方やブルゴーニュ地方のブランド力が強いせいか、ラングドック・ルーション地方がフランスで一番のワイン生産量を誇る地方だと聞いて驚いた方もいるかもしれません。

恵まれたテロワールのおかげでかつては手をかけずに行っていたブドウ栽培が見直され、現在では品質にこだわる生産者が増えています。

ヴァン・ド・ターブルやヴァン・ド・ペイなどの気軽に楽しめるワインが多い一方、これからは個性豊かで味わい深いワインに出会える機会が増えるでしょう。