5大シャトーの高級ワインは本当に美味しい?味の特徴や歴史について

Good Wine 編集部Good Wine 編集部

2019.09.18 公開 | 2019.09.20 更新

ワインの樽

メドックの格付けにおいて“第一級”の称号を与えられた高級ワイン、5大シャトー。

5大シャトーの味の特徴や歴史について紹介します。

5大シャトーとは

5大シャトーは、1855年のパリ万国博覧会開催の際、ナポレオン3世の命により制定されました。

今でもボルドーワイン市場の強力な原動力であり、その価値は純金の重さにさえ換算出来ないとまで言われています。

それぞれの特徴をシャトーごとに見ていきましょう。

シャトー・ラフィット・ロートシルト

ルイ15世が愛した「王のワイン」と呼ばれ、1855年の格付けでは、真っ先に1級に選ばれた伝説のシャトーです。

特徴

「5大シャトーで、最もエレガントで繊細」

常にエレガントさが前面に出るスタイルと、長期熟成能力に長けています。

そんなラフィットのシャトーのセラーには、1855年以前のヴィンテージさえ眠っており、どのシャトーからの追随をも許さないポテンシャルが伺えます。

歴史

小さな丘を意味する「フィット」から命名されたその領地名は、古く14世紀から存在していました。

その頃すでに葡萄畑もあったとの記録もありますが、銘醸ワインとなり評価が高まるのは18世紀初めの隆盛の基礎をセギュール家が築いてからです。

後のフランス革命の結果、国有財産となり没収されてしまいますが、1868年に競売落札をしたロスシルド家が150年もの間現在まで守り続けています。

当たり年

ボルドーにおいての大当たり年だった1982年。

ラフィットにおいても例外でなく、あのロバートパーカーから100点が付いたグレートヴィンテージです。

同じくグレートヴィンテージだった1953年、1959年と並び最も偉大なラフィットとも言われ、驚くほどの力強さを持つヴィンテージです。

セカンドラベル

「カリュアド・ド・ラフィット」

葡萄畑のあるカリュアド台地(Plateau des Carruades)はシャトー・ムートン・ロスシルドと分け合っており、その葡萄はグランヴァンにも使用されています。

ファーストラベルと比べてメルロー比率が高く、果実の凝縮味とタンニン、柔らかな仕上がりが特徴的です。

滑らかでセクシーさを兼ね備えた様子は、ファーストラベルとまた違った楽しみ方があります。

シャトー・マルゴー Château Margaux

「5大シャトーの中で、最も女性的」なのがシャトー・マルゴーです。文豪ヘミングウェイなど歴史に名を馳せる人物たちに愛されたシャトー。

しなやかなタンニンが長期熟成と共に成熟した貴婦人の様に妖艶な変化を遂げていきます。

特徴

マルゴーの魅力は、果実の濃縮感、エレガントなアロマ、そして並外れたタンニンのしなやかさにあります。

しなやかさだけでなく内面には秘めた強さを持ち合わせている為、支配人のポール・ポンタリエ氏はマルゴーを「ベルベットの手袋のなかの鋼鉄の拳」と命名したのは、有名な話です。

また、オーク樽熟成に関する論文で醸造学の博士号を取得しているポンタリエ氏。

100%新オーク樽で細心の注意を払って熟成を行い、その仕上がりはまさしく「ボルドーの宝石」とまで呼ばれています。

歴史

マルゴーの起源は古く12世紀、当時は「ラ・モット・ド・マルゴー」と呼ばれていた農園で当時そこにはまだ葡萄畑はありませんでした。

その後、マルゴーが今日の様な姿になったのは、16世紀にレスナック家が所有してからです。 18世紀に入ると既に今の姿を確立していたシャトーマルゴーですが、1960年代から1970年代と品質面での評価において厳しい時代を経ています。

そんな厳しい時代を終わらせたのは、革新的な技術やセラーの新築など、再建を行ったアンドレメンツェロプーロス氏の存在でした。

その努力が実り、マルゴーは1978年のヴィンテージをきっかけに、以降現在まで素晴らしいワインを造り続けています。

当たり年

1961年のボルドーは世紀の当たり年と言われているグレートヴィンテージ。

厳しい時代を迎えていた1960年代のマルゴーですが、’61の世紀の当たり年はマルゴーにとっても例外でなく、戦後最大のビッグヴィンテージの一つとなっています。

セカンドラベル

「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」

セカンドの登場は古く、1908年に誕生しました。 マルゴー同様、ブドウは手摘み、オーク樽にて熟成。 ファーストラベルに比べメルロの比率が高く肉付きの良いふくよかなスタイルです。

葡萄はマルゴーに比べて若い樹齢15年前後のものを使用し、若木は樽の影響を受けやすいため新樽率は50%に抑えられています。

ファーストラベルに負けない、高評価の対象となっています。

シャトー・ラトゥール

「5大シャトーの中で最も力強く、男性的」 ラトゥールのワインを表現する際は必然的に「男性的」な形容詞を使うことが多くなります。

特徴

特にカベルネ ソーヴィニオンの品質を大切にしているシャトーラトゥール。ワインそのものにおいても晩熟で長命、生命力溢れるパワーが特徴です。

ラトゥールが所有し中心核となるのが「アンクロ」と呼ばれる畑で、ワイン造りにおいて最高のブドウを生み出すこの畑から、ラトゥールのグランヴァンが誕生していきます。

歴史

14世紀に初代の塔(トゥール )が建てられた際、それにあわせて葡萄樹が植えられた事が始まりです。

本格的に発展していったのは、18世紀のセギュール家の時代。

その後、一度1963年に英国へと買収されましたが、1993年に現在のフランスの実業家フランソワ・ピノのものとなりました。

当たり年

カベルネ ソーヴィニオンが94%を占めたヴィンテージ「2008年」。

「ラトゥールではカベルネ ソーヴィニオンに焦点を絞り、メルローはスタイル的に控え目にさせておく必要がある」と醸造長のアンジェラが語る通り、カベルネソーヴィニオンのポテンシャルの高さと、ブレンド技術の進化を物語った代表的なヴィンテージです。

セカンドラベル

1966年に誕生した「レ・フォール・ド・ラトゥール」。ファーストラベルに使われるぶどうが40%以上も使用され、工程もグランヴァン同様。

「セカンドというよりは、このヴィンヤードから生まれた全く異なったワインであり、その味わいは他ヴィンテージのラトゥールに勝るものである。」とロバートパーカー 氏も絶賛しています。

シャトー・オー・ブリオン

「別地区グラーヴから、異例の格付け獲得」 五大シャトーで唯一グラーヴ地区から選ばれ、一級を獲得した異例のシャトー。

ブドウ栽培と醸造の両分野で常に最新の技術を取り入れ、ボルドーで最先端を走り続けています。

特徴

オー・ブリオンの特徴は、時としてメルローの比率が高く、若い時から既に官能的な魅力を発揮する反面、長期熟成にも十分に耐えうる能力を発揮します。

メルロー由来の柔らかさが他のシャトーとは一線を画していると言えます。

また「ワイン造りにおいて重要なテロワールも、育てるのは結局は人間である」と言う造り手の言葉通り、歴代の真摯なシャトー所有者や、科学技術の上手な取り入れによって、一貫した気品と品質を感じられるのもオーブリオンの魅力の一つです。

歴史

1533年にジャン・ド・ポンタックによりドメーヌとして創設されたオーブリオン。

フランス革命後、歴史的要因に多少揺さぶられましたが、併合を重ね着々と葡萄畑を拡張し、1855年にグラーヴ地区から唯一格付け一級を獲得するまでになりました。

ボルドー最古と言ってもいい程歴史は古く、革新的な手法でボルドーを常に引率して来たました。

当時、最先端だった澱引や、二酸化硫黄の添加の手法も世界で初めて取り入れ技術革命を起こしました。

全てはオーブリオンから始まり、今日のボルドーの新たなスタイルの基盤を築いたと言っても過言ではありません。

当たり年

1998年 ワイン評論家達が「けたはずれのオーブリオン」と絶賛のヴィンテージ。

この年のオーブリオンはエネルギーに溢れて、深く、濃密。 飲み頃は最低でも2035年と言われるほど、ポテンシャルの高さが伺えます。

セカンドラベル

「ル・クラレンス・ド・オーブリオン」(2007年までは「シャトー・バァン・オーブリオン」)

シャトー・オー・ブリオンと同一畑で収穫した若い樹齢の葡萄を使用し、同じ工程を経て造られています。

スタイルはオーブリオンをまるで写したものの様で、若いうちからでもみずみずしいアロマや気品を十分に堪能することができるセカンドです。

シャトー・ムートン・ロスシルド

「118年の時を経て、格付け二級から一級へと昇格」

昇格を果たした際、オーナーであるバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵は「今第1級なり、過去第2級なりき、されどムートンは不変なり」の言葉を残し、最高を目指すためにあらゆる努力を惜しまない姿勢を貫きました。

有名画家によるエチケットデザインや、オーパスワンなどのジョイントベンチャー、ビジネスにおいても革新的でワインラヴァーの心を掴み続けているシャトーです。

特徴

平均樹齢50歳の葡萄を使用し、低温による発酵を行う為、ムートンの特徴でもあるきめの細かいシルキーなタンニンが生み出されます。

また総生産において、1980〜90年代はグランヴァン生産量が全体の8割だったのに対し、2005年は約6割と葡萄のセレクションが非常に厳しくなっています。

近年、更に品質の向上が著しいシャトーです。

歴史

1920年代初めフィリップが若干20歳の時にシャトーの経営を任された事に始まります。

葡萄畑はその70年前、ブラーヌ・ムートンと言う名前で既に先代が購入。その際に、すぐに今の名前に変更されていました。

フィリップはボルドーで初めてシャトー元詰めを開始したり、ワイン界で初めて、毎年有名画家にエチケットを依頼するなど、独創的な販売戦略を立案しワインツーリズムの先駆者でした。

その革新的なスタイルとワインへの執念は、一級への格上げと言う歴史的偉業を成し遂げました。

当たり年

1986年エチケット:ベルナール・セジュルネ作。

「非の打ち所のない金字塔である」とロバートパーカー氏が100点を付け、ムートン史上において、信じられない位の名声を獲得したヴィンテージ。

セカンドラベル

「ル・プティ・ムートン」

長らくセカンドをリリースしてこなかったムートンですが、1993年に初めてリリースされました。

ファーストラベルに負けない豊富なアロマと長期熟成能力がありポテンシャルが高いと人気ですが生産本数が少ないセカンドは入手困難になる事も多々あります。

まとめ

5大シャトーと一言に言っても、それぞれに違った歴史的歩みがあり、造り手の想いや、手法、ヴィンテージによる味わいも様々です。

ステイタスに重きを置かれがちな5大シャトーですが、それぞれのシャトーの歴史的背景や想いと共に、選んだヴィンテージにタイムスリップして味わって見るのも、また格別な楽しみ方です。

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2019.10.18 更新

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