ビオワイン(オーガニックワイン)と自然派ワインの違いは?

Good Wine 編集部by Good Wine 編集部

2018.07.02 公開 | 2018.09.11 更新

世界中で広まっている健康志向の高まりに合わせて、ワインの業界でも「ビオワイン(オーガニックワイン)」や「自然派ワイン」といった言葉を見かける機会が増えています。

特に、年々注目されているビオワインという言葉は、実は日本でのみ使用されているもの。

「ビオロジック」と「ビオディナミ(バイオダイナミクス)」という農法で栽培されたブドウを使用して造られたワインの総称として使われています。

明確な定義付けのされていない「ビオ」や「オーガニック」、「自然派」といった言葉がどのようなワインを表しているのか、よくわからない人も多いですよね。

今回は、これらの表現について解説したいと思います。

オーガニックワインとは

オーガニックとは、化学肥料や除草剤といったケミカルを使用せず、また遺伝子組み換えや放射線処理されたものの使用が禁止されたものを指します。

基本的には、栽培方法の考え方として使われています。

栽培前に2年以上ケミカルを使用せず、有機肥料で土作りを行い、栽培を始めて3年以上オーガニック栽培することで、この認証マークを取る権利が得られます。

オーガニックという認証は、各国で出されており、日本では「有機JASマーク」が認証マークとされています。

他にもEUでは「ユーロリーフ」、アメリカでは「USDA」、オーストラリアでは「ACO」などそれぞれの国で認証が行われています。

オーガニックは、さらにリュット・レゾネ(減農薬栽培)と、ビオロジック(有機栽培)、そしてビオディナミという栽培方法があります。

リュット・レゾネ

「LutteRaisonnee」と表記されるフランス語のリュット・レゾネは、減農薬農法の総称として使われています。

除草剤や殺虫剤、化学肥料など、人工的に生成されたものは基本的に使用せず、病害や虫などが発生した場合に、必要最低限の量で、ブドウの生育をする方法です。

厳密な使用量の定義などがないため、有機農法と認められない場合もありますが、現在もっとも世界で広く採用されている栽培方法です。

また、人によってやり方も様々なため、次に紹介するビオロジックを採用している生産者よりも、厳しい基準で栽培を行っている造り手も多く存在しています。

ビオロジック

多くの場合、オーガニックと表現するときに想像される栽培方法がこのビオロジック(有機農法)です。

自然を尊重した農法で、除草剤や殺虫剤などのケミカルに頼らないことを指しています。

有機肥料を使用し、虫や微生物と共存できる土壌を作り上げることで、自然酵母(野生酵母)が生成されます。

これによって、基本的には酵母を添加することなく、発酵が進んでいきます。(発酵を促すために、少量の酵母を添加する生産者もいます。)

ビオディナミ

ビオロジックをさらに1歩進めた農業のやり方が、このビオディナミ農法です。

ビオロジック同様、化学肥料や農薬を使っていない土壌で、占星術や天文的影響を加味して栽培をしていきます。

月の満ち欠けに合わせて、収穫や剪定、澱引きや瓶詰めなどといった作業を行います。

また、ホメオパシーの延長として、500から508までの8つの調合材(プレパラシオン)があります。それぞれの目的に合わせて、花や家畜などを利用しています。

ビオディナミは、フランス語で「生体力学」を意味しています。

1920年代に、オーストリアの哲学者、ルドルフ・シュタイナーによって提唱されたものです。

ビオロジックやオーガニック栽培が「何をしないか」ということに重きを置いた理論なのに対し、ビオディナミは、そのビオロジックに「何をしていくか」という考えを持っています。

栽培過程で生じた問題に対して、処置・手当をするのではなく、問題が生じないように予防をする方法と考えられています。

多くの場合、一つの場所にいくつかの農産物を育てており、同時に動物を飼育しています。

自然派ワインとは

オーガニック農法やビオディナミ農法が栽培過程の方法だとすると、自然派ワインというのは、醸造の過程についての話になります。

基本的に、オーガニックやビオディナミで栽培されたブドウを使用しています。

酵母や砂糖、酸を添加することなく、人の手をなるべく加えることなく生産するのが自然派ワイン(Vin Nature)と呼ばれるものです。

また、清澄や濾過をしないので、濁った色味になっているワインも多いです。

酸化防止剤として使われる亜硫酸塩(So2)の使用量もゼロないしごく少量のみが認められています。

ビオディナミや自然派ワインとしての認証は、Demeterという組織(https://www.demeter.net/)が行っており、厳密な定義やルールが制定されています。

それぞれの製法で造られるワインの紹介

それぞれの方法を実践して、ワインの生産を行っているワイナリーが世界中にあります。

アルザス地方の名門、トゥルクハイムがリュット・レゾネで生産するワインや、イタリア・シチリア島でビオロジックを実践しているフェウド・モントーニ、ビオディナミの先駆者として知られるロワールのニコラ・ジョリーのワインを紹介します。

【LutteResonnee】France Alsace Turkheim Vin d’Alsace Riesling 2016

ドイツ国境に隣接するブドウ産地であるアルザスで、リュット・レゾネ農法をいち早く導入したワイナリートゥルクハイムのリースリングらしいリースリング。

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【Biologic】Italy Sicily FeudoMontoni Nero d’Avola 2011

ネロ・ダーヴォラの原種を唯一持っているフェウド・モントーニは、100%ビオロジックを行う生産者の1人。

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【Biodynamic】France Loire Domaine Nicolas Joly Clos de la Coulee de SerranSavennieres-Coulee de Serran 2015

世界中のビオディナミの先駆者にして、教祖的存在となっているニコラ・ジョリーのシュナン・ブラン100%使用したフラッグシップのワイン。

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まとめ

ビオワインや自然派ワインの人気が伸び続けている中で、その過度な信仰に疑問を持つ人がいるのも事実です。

とりわけ、ワイン業界に身を置いている人たちの間では、賛否が大きく分かれ、物議を醸しています。

認証を取っているワインだけが自然派ワイン、ビオワインなのか。

その認証をエチケットに載せるためには、それぞれの認証を発行している組織に、お金を支払う必要があります。そこに疑問を持つ人や生産者が多く、実際はビオディナミやオーガニック農法を行っているのに、認証を取らない人もいます。

とはいえ、美味しく品質の高いワインがあるのも、また事実です。

まずは、自然派ワインやビオワインを味わい、ご自身の味覚や嗅覚に合うものなのか、自分自身の感覚でしっかりと判断する必要があります。